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なぜキャリア10年以上のサブリナ・カーペンターが新人賞にノミネートされたのか? 本人もビックリ… グラミー賞の選考基準とは

サブリナ・カーペンター MUSIC/ARTISTS
サブリナ・カーペンター photo: Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com

2025年2月2日(現地時間)に開催される第67回グラミー賞で、主要4部門を含む6部門にノミネートされたサブリナ・カーペンター。その中でも特に注目を集めたのが「最優秀新人賞」へのノミネートだ。

なぜなら、彼女はすでに音楽キャリアが10年以上あり、6作のアルバムをリリースしているからだ。そんな彼女がなぜ「新人」の扱いとなったのだろうか?

 

サブリナ本人もびっくり

サブリナ自身もこのノミネートには驚きを隠せなかったようだ。ノミネーション発表後、彼女は自身のInstagramの動画で「2025年に“新人”と見なされることができるなんて信じられない」と冗談を交えながら語っている。

「どうしてそんなことが可能なの? 私は“最優秀旧人賞”にふさわしいわ!」

 

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グラミー賞における「最優秀新人賞」の定義とは?

では、なぜサブリナ・カーペンターがこの部門にノミネートされたのか?

それは、グラミー賞の「最優秀新人賞」は、単にデビュー年や作品数で決まるわけではなく、特定の基準によって選ばれるからである。

グラミー賞を運営するレコーディング・アカデミーのCEO、ハーヴィー・メイソン・ジュニアは、最優秀新人賞の選考基準について次のように述べている。

「このカテゴリーはアーティストの“新しさ”ではなく、その年にどれだけ知名度を上げ、音楽シーンに影響を与えたかによって決まる。」

かつては、アルバムをリリースしたことのあるアーティストは最優秀新人賞の対象外とされていた。しかし、2010年にルールが変更され、過去に楽曲がグラミー賞にノミネートされていても、新人賞にノミネートできるようになった。

また、2021年には「最大リリース数」の制限が撤廃され、キャリアが長くても「ブレイクした年」と判断されればノミネート可能になった。

 

過去の実績と2024年のブレイク

サブリナ・カーペンターはこれまでに6枚のアルバムをリリースしており、ディズニーチャンネル出身のアーティストとして一定の知名度はあったが、彼女を音楽業界でトップクラスの地位に押し上げたのは、やはり2024年のアルバム『ショート・アンド・スウィート』の大ヒットだろう。

このアルバムには、「エスプレッソ」(年間最優秀レコードにノミネート)、「プリーズ・プリーズ・プリーズ」(年間最優秀楽曲にノミネート)といったヒット曲が含まれており、彼女のポップスターとしての地位を決定づけた。

2021年にもシングル曲「Skin」がビルボードHot 100にランクインしたが48位どまりだったのに対し、2024年には「Espresso」「Please Please Please」「Taste」といった楽曲が相次いでトップ10入りした。

さらに最新アルバム『Short n’ Sweet』は4週間連続で全米1位を獲得し、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュらと肩を並べるトップスターとしての人気を証明したことが今回のノミネーションにつながったようだ。

 

キャリアがあるのに“新人”扱いされたアーティストは他にも

サブリナ・カーペンターのように、ある程度音楽業界でのキャリアがありながら、新人賞のノミネートされた事例は他にもある。最優秀新人賞は「デビューしたばかりのアーティスト」ではなく、「その年にブレイクしたアーティスト」が選ばれる傾向にあるようだ。

ペトゥラ・クラーク(1965年)
1956年にデビューし、イギリスやフランスで成功を収めていたが、1964年に「Downtown」が国際的に大ヒット。その影響で翌年グラミー最優秀新人賞にノミネートされた。

エイミー・ワインハウス(2008年)
2003年にデビューアルバム『Frank』をリリースしていたが、2006年の『Back to Black』が世界的にブレイクし、グラミー賞で新人賞を含む5冠を達成。

グリーン・デイ(1995年)
1990年にデビューし、インディーズで活動していたが、1994年にメジャーデビューアルバム『Dookie』が大ヒットし、グラミー最優秀新人賞にノミネートされた。

ボン・イヴェール(2012年)
2007年に自主制作アルバム『For Emma, Forever Ago』をリリースし話題になっていたが、2011年のアルバム『Bon Iver, Bon Iver』が批評家から高評価を受け、一躍メインストリームのアーティストとなり、グラミー新人賞を受賞。

チャンス・ザ・ラッパー(2017年)
2013年からミックステープをリリースしていたが、2016年の『Coloring Book』がストリーミングのみの配信ながら異例の成功を収め、グラミー最優秀新人賞を受賞。

 

サブリナのグラミー初受賞に期待

最優秀新人賞のカテゴリーは時代とともに進化し、今では「純粋なデビューアーティスト」ではなく「新たにブレイクしたアーティスト」を評価するものへと変化している。そのため、過去に音楽活動を行っていたとしても、大きな成功を収めた年にノミネートされることがあるようだ。

果たして、サブリナ・カーペンターは初のグラミー賞受賞なるか。2月2日(現地時間)の第67回グラミー賞授賞式に注目だ。

サブリナ・カーペンターの第67回グラミー賞ノミネート一覧

  • 年間最優秀レコード:「エスプレッソ」
  • 年間最優秀アルバム:『ショート・アンド・スウィート』
  • 年間最優秀楽曲:「プリーズ・プリーズ・プリーズ」
  • 最優秀新人賞
  • 最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ):「エスプレッソ」
  • 最優秀ポップ・アルバム:『ショート・アンド・スウィート』

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