第59回スーパーボウルが2月9日(現地時間)、米ルイジアナ州ニューオーリンズで開催。地元ニューオーリンズ出身のジョン・バティステが国歌斉唱を担当。彼の美しい歌声がスタジアムに響き渡り、その感動がピークに達した瞬間、上空には完璧なフォーメーションを組んだ戦闘機が通過した。
【動画】ジョン・バティステによる国歌斉唱の後、上空を戦闘機が通過
.@JonBatiste delivers a stunning performance of the National Anthem ?? #SBLIX pic.twitter.com/YfM3oZn4Q0
— NFL (@NFL) February 9, 2025
スーパーボウルでは、国歌斉唱が終わると同時に戦闘機がスタジアム上空を通過する「フライオーバー(Flyover)」が恒例の演出となっている。時速500~600マイル(約800~960km/h)で飛行する戦闘機が、国歌斉唱が終わったタイミングに合わせ、どんぴしゃりで上空を通過するのは至難の業に思えるが、この瞬間は、どのようにして実現されているのだろうか?
【動画】史上最高のフライオーバー10選
事前の綿密な計画
アメリカ空軍の公式サイトaf.milによると、フライオーバーは数週間から数か月前に計画され、軍のパイロットや航空管制官、スーパーボウルのイベント運営チームが協力して準備するという。
スタジアムの位置や周囲の建物、気象条件を考慮しながら最適な飛行ルートが設計され、適切な編隊を組み、速度や高度を調整することで、スタジアムの上空を一定のタイミングで通過できるよう計算されるのだ。
国歌の演奏時間の分析
また、国歌の終了と同時にフライオーバーを実施するためには、演奏時間の正確な分析が欠かせない。
過去のパフォーマンスを分析して歌手の歌うスピードを予測し、本番前のリハーサルで正確な演奏時間を測定し、それをパイロットに伝達することで、より高い精度を実現する。
チェックポイントとタイミング調整
さらに、戦闘機は事前に設定されたチェックポイントを通過しながらタイミングを調整する。特定の空域で旋回しながら待機する「ホールドパターン」を利用し、必要に応じて速度を微調整することで、国歌の進行にぴったりと合わせる。地上の管制官「エア・ボス(Air Boss)」が無線でパイロットにリアルタイムで指示を出し、戦闘機の速度を約800~1,000 km/hの範囲で細かく調整することで、誤差を最小限に抑えるのだ。
この完璧なタイミングの背景には、軍が戦術作戦で使用する「Time on Target(TOT)」という高度な技術がある。これは、複数の戦闘機や爆撃機が異なる地点から飛来しながらも、ターゲット地点に同じ瞬間に到達するための計画技術であり、スーパーボウルのフライオーバーにも応用されている。
スーパーボウルのフライオーバーは、単なる演出ではなく、軍の精密な技術と調整力の結晶ともいえるだろう。長期間の準備とリアルタイムの調整によって、国歌が終わる瞬間にぴったりと戦闘機がスタジアムの上空を飛ぶという、完璧な演出が可能になっているのだ。
今年のスーパーボウルの貴重なリハーサル映像
今年(2025年)の第59回スーパーボウルは、2月9日にルイジアナ州ニューオーリンズのシーザーズ・スーパードームで開催され、試合前の国歌斉唱は、地元ニューオーリンズ出身のジョン・バティステが担当し、彼の力強い歌声が会場を盛り上げた。
そして海兵隊創設250周年を記念して、アメリカ海兵隊が主導するフライオーバーが実施された。参加した航空機には、海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA)542所属のF-35BライトニングIIや、海兵中型ティルトローター飛行隊(VMM)774およびVMM-764所属のMV-22Bオスプレイが含まれる。
リハーサルは2月7日に行われ、その際の貴重な映像も公開されている。
B-Roll: U.S. Marine Corps Superbowl LIX Flyover Rehearsal
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