2025年2月14日(金)に公開された『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』。シリーズ4作目となる本作は、MCUを追いかけていない人でも楽しめる作品だが、これまでの関連作品を知っているとより深く楽しめる内容となっているため、本記事では、本作を最大限楽しむために知っておきたいキーワードを紹介する。
ただし、以下の内容で紹介することで「本編の展開に関わる」というネタバレ要素になるキーワードもあるため、完全予習派向けの内容となることを予め断っておきたい。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』予習まとめ
『インクレディブル・ハルク』に登場する重要人物たち
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エドワード・ノートン演じるブルース・バナー(『インクレディブル・ハルク』より)© 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
まずは天才科学者ブルース・バナーから説明しよう。当初エドワード・ノートンが演じ(『インクレディブル・ハルク』)、後の作品(『アベンジャーズ』以降)ではマーク・ラファロが演じることになったこの人物は、ガンマ線実験の事故で「ハルク」に変身する力を得た。怒りや興奮で緑色の巨人に変身するが、その力の制御に苦心する悲劇のヒーローである。
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ハルク(『インクレディブル・ハルク』より)© 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
対する重要人物が、サドリアス・“サンダーボルト”・ロスだ。当初ウィリアム・ハートが、今回の最新作ではハリソン・フォードが演じるこの米軍将軍は、超人兵士の開発に執着する人物である。後に国務長官としてヒーローたちの管理に関わることになり、最新作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』ではついに米国大統領の地位までのし上がる。
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ウィリアム・ハートが演じていたサディアス・ロス(『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』より)© 2016 Marvel All rights reserved.
その娘ベティ・ロスは細胞生物学者で、バナーの恋人。父とバナー/ハルクの対立に板挟みになりながらも、常にバナーを支え続けた存在である。最新作におけるサディアス・“サンダーボルト”・ロス大統領にとって、バナーと対立したことによる娘ベティとの確執は非常に重大な問題となっている。
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ベティ・ロス(『インクレディブル・ハルク』より)© 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
また、ハルクの力に対抗するため超人血清とガンマ線の影響を受けて変身したエミル・ブロンスキー(アボミネーション)も重要だ。ハルクに似た姿だが、より攻撃的で制御不能な存在となった。
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アボミネーション(『インクレディブル・ハルク』より)© 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
このアボミネーションの変身に関わった科学者サミュエル・スターンズにも注目。バナーの血液に接触し頭部が異常変形した彼の存在は、重要な伏線となっている。
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サミュエル・スターンズ(『インクレディブル・ハルク』より)© 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
キャプテン・アメリカの誕生と超人血清
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先代キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース © 2010 MVLFFLLC. TM & ©2010 Marvel Entertainment, LLC and its subsidiaries. All rights reserved.
第二次世界大戦時、やせ細った青年スティーブ・ロジャースは、エルスキン博士の開発した「超人血清」によってキャプテン・アメリカとなった。この血清には「良い人はより良く、悪い人はより悪く」なる特徴があり、使用者の本質が増幅される特殊な薬品である。
アベンジャーズの結成とヒーローたちの対立
70年の眠りから覚めた現代では、キャプテン・アメリカことスティーブがアイアンマンやソー、ハルクらと共にアベンジャーズを結成。しかし、その活動による被害を懸念した国連は「ソコヴィア協定」を制定する。サンダーボルト・ロスが押し進めたこの協定は、ヒーローたちを二分する大きな対立を引き起こした。
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アベンジャーズ © 2012 Marvel
その過程で、超人犯罪者収容のための「ラフト刑務所」も登場。最高度のセキュリティを備えた海上施設として、後の物語でも重要な場所となっている。
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ラフト刑務所(『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』より) © 2016 Marvel All rights reserved.
ワカンダとヴィブラニウム
アフリカに位置する秘密の超文明国家「ワカンダ」は、特殊金属「ヴィブラニウム」の産出国である。この金属は地球上で最も硬く、振動を吸収する特性を持ち、キャプテン・アメリカの盾にも使用されている。
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ワカンダ(『ブラックパンサー』より)© Marvel Studios 2017
人類消滅と復活がもたらした影響
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サノス(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』より)© Marvel Studios 2018
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』ではサノスによる「スナップ(指パッチン)」で宇宙の生命の半分が消滅、多くのヒーローも犠牲となった。5年後を描く『アベンジャーズ/エンドゲーム』で人々は復活を果たすも、この出来事は世界に大きな混乱をもたらした。この時期、高齢となったスティーブ・ロジャースは、ファルコンとして彼を支えた相棒のサム・ウィルソンにキャプテン・アメリカの盾を託している。
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(『アベンジャーズ/エンドゲーム』より)© Marvel Studios 2019
新キャプテン・アメリカの誕生
元空軍パラレスキューのファルコンことサム・ウィルソン(『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』で初登場、最新作の主人公)は、当初その重責に迷いを見せた結果、盾を国に寄贈。しかし、国が新たにキャプテン・アメリカに任命した白人の軍人ジョン・ウォーカーの暴走を目にしたサムは、アフリカ系アメリカ人として背負う歴史も受け入れた上で、真のキャプテン・アメリカとしての責任を引き受けることを決意した(「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」)。
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キャプテン・アメリカを継承したサム(「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より)© Marvel Studios
この過程で、1950年代に存在した黒人の超人兵士イザイア・ブラッドリーの存在も明らかになっている。彼は不当な軍の実験にさらされ、その後投獄までされた経験を持っており、最新作でも重要なキャラクターとなる。
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イザイア・ブラッドリー(「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より)© Marvel Studios
また、技術者ホアキン・トレスの存在も重要だ。彼はサムの装備の改良を手がける重要な協力者として描かれ、最新作でも相棒的なポジションを獲得している。
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ホアキン・トレス(「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」より)© Marvel Studios
その他の重要要素
ソビエト連邦の秘密計画「レッドルーム」は、少女たちを暗殺者として育成するプログラムだった(『ブラック・ウィドウ』)。最新作ではこのプログラム出身者、通称“ウィドウ”と呼ばれるうちのひとりが登場する。
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(『ブラック・ウィドウ』より)© Marvel Studios 2021
また、宇宙最古の種族「セレスティアルズ」の存在も明らかになっている。特に地球の中心に眠る「ティアマット」は、人類復活による人口増加で目覚めかけ、その部分的な出現はインド洋に巨大な石像として痕跡を残している(『エターナルズ』)。この石像が最新作で重要な位置を占める。
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ティアマット(『エターナルズ』より)© Marvel Studios 2021
以上が『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を深く楽しむための予習ポイントである。新生キャプテン・アメリカことサム・ウィルソンが、これらの要素をどのように活かした物語を見せてくれるのか、副次的要素も楽しみながら、注目いただきたい。
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フリーライター(tvgroove編集者兼ライター)。2019年に早稲田大学法学部を卒業。都庁職員として国際業務等を経験後、ライター業に転身。各種SNS(Instagram・X)においても映画に関する発信を行いながら、YouTubeチャンネル「見て聞く映画マガジンアルテミシネマ」にて映画情報・考察・レビュー動画などを配信したり、映画関連イベントの企画・運営も行っている。