授賞式は数あれど、こんな素敵なオープニングがあっただろうか。
2025年2月23日、ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムで開催された第31回SAG賞(全米映画俳優組合賞)にてホストを務めたのは、同授賞式2回目の当番となる女優のクリステン・ベル。
クリステンはオープニングモノローグで、大ヒット映画『アナと雪の女王』の挿入歌「Do You Want to Build a Snowman(雪だるまつくろう)」のパロディ曲「Do You Want to be an Actor?」を披露した。ちなみにクリステンは『アナ雪』でアナを演じていることでも有名だ。
彼女は曲の中で、俳優としてのキャリアの始まりや苦労をユーモラスかつ感動的に表現。そして歌に合わせ、スクリーンには多くの俳優の初期の頃の姿が映し出されるという演出が披露された。
【動画』クリステン・ベル「Do You Want to be an Actor?」
大物俳優たちが最初に演じた恥ずかしい・微笑ましい役柄を紹介
クリステンは、コミカルな歌のメロディとリズムにのせて、一人一人の俳優のエピソードを紹介していく。それがとても面白く、また感動的なのだ。
「ハロウィンでたくさん叫べるか?」という一節でスクリーンに映ったのは往年のホラー映画『ハロウィン』の映像。同時に画面上のワイプ映像には、会場にいるジェイミー・リー・カーティスが映る。『ハロウィン』は彼女のスクリーンデビュー作なのだ。若き頃の自分を見たジェイミーはうれしそうに何度もうなずいている。
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映画『ハロウィン』に出演した自分の映像によろこぶジェイミー・リー・カーティス
「デスパレートな妻たち」で知られるエヴァ・ロンゴリア。彼女は若い頃に地元のミスコンで優勝した経験があるが、その時の写真が披露された。
「紫の恐竜をハグできますか?」という一節で、セレーナ・ゴメスが幼少期に出演した「バーニー&フレンズ」の映像が映される。ワイプで抜かれた会場のセレーナはちょっと恥ずかしかったのか、唇を閉じ、小さく顔を左右にふっている。
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「バーニー&フレンズ」に出演したセレーナ・ゴメスの映像を見る本人
今を時めく人気俳優のティモシー・シャラメは、無名時代に演じたICU(集中治療室)にいる患者の役の映像が映されると、あまりに意外だったのか、大きく笑った。
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無名時代に演じた集中治療室での患者の映像によろこぶティモシー・シャラメ
ティモシーのすぐ横に座っていたエル・ファニングのあどけない幼女のころの映像が映されると、会場のエル本人はとろけそうな表情になって喜んだ。
ジェフ・ブリッジスについては、なんと赤ん坊で出演している映像が映される。ちなみにジェフは現在75歳。とてつもなく長い間、俳優をしていることになる。
ハリソン・フォードは、1966年の『現金作戦』(Dead Heat on a Merry-Go-Round)で、ベルボーイの役で登場する映像が映し出された。ハリソンは御年82歳の大ベテラン俳優だが、このベルボーイの役はクレジットがない役だったそうで、どんな大俳優も最初は小さな役からはじめるのだということを思い知らせてくれる。
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ベルボーイの役を演じる若き日の自分を見るハリソン・フォード
他にも、スイカを食べるジェイソン・シーゲル、モーターバイクでジャンプするミシェル・ヨー、日焼け止めの宣伝をするジョディ・フォスターと、大物俳優たちが現在のイメージからは想像もできないような役をこなす映像が続く。
五重塔をバックにした若き日の真田広之も登場。会場の本人は照れくさそうにし、隣にいた穂志もえかに拍手されていた。
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若き日の真田広之とそれを見る本人、拍手をする穂志もえか
『ホーム・アローン』で初出演したキーラン・カルキンの映像も登場。会場にいた本人もうれしそうだ。
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映画『ホーム・アローン』に出演したキーラ・カルキンの映像とそれを見る本人(右下)
誰もがどこかからスタートしている
このようにクリステン・ベルは、ハリウッドの大物俳優たちが最初に演じた恥ずかしい(または微笑ましい)役柄を紹介しながら、俳優業の不安定さや努力を強調。単なるパフォーマンスではなく、俳優としての旅路を称え、初心を思い出させるような温かみのある内容だった。
また、彼女自身も過去のCM出演映像を見て「私も俳優になりたい? うん、そうだね」と締めくくることで、自己皮肉も交えながら共感を呼ぶ演出になっていた。
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クリステン・ベルは最後に自分が子供のころに出演したCMの映像を見せ、「私も俳優になりたい? うん、そうだね」と締めくくった。
要するにこのモノローグは、「俳優という道は険しいけれど、誰もがどこかからスタートしている」「どんな小さな一歩からでも未来へ繋がる可能性がある」という励ましのメッセージを含んでおり、俳優業への愛情とリスペクトを込めたものになっていたのだ。
クリステン・ベルが発した温かい言葉は、多くの俳優やファンの心に響き、夢を追い続ける勇気を与えたことだろう。
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