テイラー・スウィフトのチケット1000枚を不正転売したハッカーが逮捕 ー 約9500万円を荒稼ぎした手口とは

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テイラー・スウィフト Brian Friedman / Shutterstock.com
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世界的な歌姫テイラー・スウィフト「エラズ・ツアー(Eras Tour)」のチケット約1000枚が不正に盗まれ、転売によって63万5000ドル(約9500万円)以上の利益が得られていたことが明らかになった。

ニューヨークの検察当局によると、オンラインチケット販売プラットフォーム「スタブハブ(StubHub)」をハッキングした2人の容疑者が逮捕・起訴され、人気アーティストのコンサートチケットを狙った組織的な不正の実態が浮き彫りとなっている。

 

ハッキングによるチケット窃盗の手口

事件は2022年6月から2023年7月までの約1年間にわたって行われた。逮捕されたのは、ジャマイカ・キングストン出身のタイロン・ローズ(20)と、ニューヨーク市クイーンズ地区のジャマイカ地区在住のシャマラ・P・シモンズ(31)だ。

ローズは、スタブハブの業務委託先である「サザーランド・グローバル・サービシズ」に勤務していたが、内部のアクセス権を悪用し、不正にチケット情報を操作していた。

スタブハブでは、購入者に専用URLが送られ、そのリンクを開くことでチケットをダウンロードできる仕組みがある。しかし、容疑者たちはこのURLを本来の購入者ではなく、自分たちの仲間に転送することで、チケットを不正に取得していた。

そして彼らは不正に取得したチケットを、スタブハブ上で再販売し、高額な利益を得ていたのだ。

 

標的となったイベント

盗まれたチケットは、テイラー・スウィフトの「エラズ・ツアー」のほか、アデルやエド・シーランのコンサート、NBAの試合、全米オープン(US Open)などの人気イベントが含まれていた。特にエラズ・ツアーのチケットは世界中で争奪戦となり、チケットの価格が高騰していたこともあり、転売による利益は莫大なものとなった。

 

スタブハブの対応と捜査の進展

スタブハブは、この不正行為を発見後、即座にサザーランド・グローバル・サービシズと契約を打ち切り、影響を受けた注文の払い戻しを行った。また、セキュリティ対策を強化し、同様の事件が再発しないよう措置を講じたと発表している。

ニューヨークの検察当局によると、捜査は現在も継続中であり、他に関与した人物がいる可能性があるという。ローズとシモンズは、大規模窃盗罪(第2級)、コンピューター不正改ざん(第1級)、共謀罪(第4級)などの罪に問われており、最大で15年の懲役刑を受ける可能性がある。

 

エラズ・ツアーの影響と転売市場の問題

エラズ・ツアーは、過去最大の興行収入を記録し、総売上が20億ドル(約3000億円)を超えたと言われている。しかし、その人気ゆえに転売市場では高額チケットが横行し、ファンが正規価格でチケットを入手することが困難な状況が続いた。

アメリカでは、チケット転売をめぐる問題が深刻化しており、大手チケット販売企業が市場の独占に関与しているとして独占禁止法違反で訴えられるなど、業界全体の構造的な課題が指摘されている。今回の事件は、そのような混乱の中で発生したものであり、今後の再発防止策が求められるだろう。

 

 

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