Amazon MGM Studiosが『007』シリーズの今後に関する重要な方針を発表した。
次期ジェームズ・ボンドは「英国または英連邦出身の男性」
MailOnlineが伝えたところによると、次期ジェームズ・ボンドもこれまでと同様「男性であり、英国または英連邦出身である」という方針が、Amazonの社内向けメモによって伝えられたという。
これにより「女性版ボンド」や「完全に異なる国籍の俳優が起用される可能性」は否定された。
「WOKE化」でシリーズ崩壊の懸念
Amazonによる『007』シリーズの買収は、ファンの間で大きな波紋を呼んでいた。「ハリウッドの“WOKE(ウォーク)化”により、伝統的なジェームズ・ボンドが変えられてダメになってしまうのでは」との声も上がっていた。
実際、Amazonの創業者であるジェフ・ベゾス氏が、バーバラ・ブロッコリ氏とマイケル・G・ウィルソン氏から7億7000万ポンド(約1400億円)でフランチャイズの権利を取得した際、「ボンドは英国のスーパースパイではなくなってしまうのでは?」という疑問が投げかけられた。
「WOKE」とは、近年のハリウッド映画において、人種・ジェンダー・LGBTQ+などの社会的多様性を強調する傾向を指す言葉で、従来のキャラクター設定やストーリーが大きく変更されることを批判的に表現する際に使われることが多い。
この動きに対しては賛否があり、「多様性を尊重するのは良いこと」という意見がある一方で、「人気キャラクターの本来の個性や設定が変えられ、作品の魅力が損なわれる」という懸念を持つファンもいる。
特に、Amazon MGM Studiosがスピンオフ作品の開発に積極的であることが議論を呼んでいる。
最も物議を醸しているのが、「ミス・マネーペニーの若き日々を描くスピンオフ」の企画だ。この作品が実現すれば、これまでボンド映画を支えてきたクラシックなスパイ・アクションのスタイルから逸脱する可能性があるため、ファンの間では「伝統的なボンド映画の魅力が失われるのでは?」という懸念が高まっている。
Amazon創業者は大の『007』ファン
しかし今回の発表により、次期ジェームズ・ボンドは「これまで通り男性であり、英国または英連邦出身である」ことが正式に決定し、こうした懸念の一部は払拭された。Amazon MGM Studiosは「ボンドの精神を守る」と明言し、キャラクターの根幹が揺るがないことを強調している。
また関係者によると「Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は熱狂的なボンドファンであり、シリーズの核となる要素は守られる。だからこそ、今回のメモを発行し、ファンを安心させる必要があった」とのことだ。
さらにシリーズを長年支えてきたバーバラ・ブロッコリ氏とマイケル・G・ウィルソン氏は、Amazonとの交渉において「ボンドの英国的なアイデンティティは絶対に維持されるべき」という条件を強く主張。シリーズの伝統が守られる形となった。
しかし、Amazon MGM Studiosの関係者によれば、「次期ボンドを有色人種の俳優が演じる可能性は議論の対象になっている」とのことで、最終的なキャスティング決定に注目が集まっている。
次期ボンド俳優の候補は?
現在、次期007を演じる俳優について正式な発表はないものの、有力候補としてアーロン・テイラー=ジョンソン、リチャード・マッデン、イドリス・エルバ、トム・ハーディ、ヘンリー・カヴィルらの名前が挙がっている。
また、監督候補にはクリストファー・ノーランの名前が浮上しており、彼が次回作のメガホンを取る可能性があると報じられている。
前作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』から次回作へ
最後のボンド映画は、2021年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』 で、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じた。彼の退任後、新たなボンドのキャスティングについてさまざまな憶測が飛び交っていたが、今回のAmazon MGM Studiosのメモにより、ボンド像の基本的な方向性が維持されることが明確になった。
しかし、Amazonがスピンオフ作品や新たな展開を模索しているのは確かであり、今後の『007』シリーズがどのように進化していくのかはまだ不透明だ。次期ボンド俳優の正式発表とともに、シリーズの未来についての続報を待ちたい。

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