先日、テイラー・スウィフトが過去に所属していたレコード会社を、ジャスティン・ビーバーなどのマネージャーを務めるスクーター・ブラウンが買収し、結果的にテイラーが過去に自分が制作したアルバムなどの原盤の権利がスクーターにいくという事態が発生。テイラーがこれに対し激怒し、長文で批判の声明を出した。
アーティストが魂を込めて作曲した楽曲の権利が、なぜ本人のもとへ属するのがそんなに難しいのだろうか?
スクーター・ブラウンは先日、テイラーが過去に所属していたレコード会社「ビッグ・マシーン・レコード」を買収。テイラーは昨年11月に同レコード会社との契約を解除し、現在は「リパブリック・レコード」と契約している。
ビッグ・マシーン・レコードは、テイラーが所属していた時代にリリースしたアルバムの原盤の権利を持っている。彼女は会社との契約を解除する際、会社側から「新しいアルバムを1つ出すたびに、1つアルバムを取り戻せるという契約にサインする機会」を得たが、それを拒否した。なぜならもしテイラーがその契約をしたら、「ビッグ・マシーン・レコード」のCEOがレコード会社を売り、結果的にテイラーの将来の権利も売られるだろうと分かっていたからだと声明で書いている。
しかしその後、ビッグ・マシーン・レコードのCEOスコット・ボーチェッタは声明でそれを否定。「わが社はテイラーに対し、新しい契約にサインすれば彼女の作品100%の権利をすぐに渡すと言いました」と反論している。
これと同じようなケースが、1980年代にも起こった。ザ・ビートルズの楽曲の権利を、故マイケル・ジャクソンが買収した際だ。マイケル・ジャクソンは1985年にザ・ビートルズの楽曲の著作権を4750万ドル(約52億2500万円)で買収している。これにより、生存しているザ・ビートルズのメンバー、ポール・マッカートニーとマイケルの仲が険悪なものとなった。
テイラーとザ・ビートルズに共通しているのは、2組ともかなり若い時期にレコード会社と契約をしており、その契約条件はアーティスト側にとって大変不利なものであったということだ。テイラーは15歳の時に、ビートルズはポール・マッカートニーが21歳、ジョン・レノンは23歳の時に契約をしている。
ポールは1995年に、「バンドを始めたころはジョンも僕も著作権の事などは全く無知だったし、契約することを悩まなかった。その後、自分が同意してしまった条件に悩まされることになった」と話している。
ジョンとポールは1963年、版権管理会社「ノーザン・ソングス」をパートナーとともに設立したのだが、同社の株式のうちジョンとポールがそれぞれわずか20%で保有する形で契約が行われ、このパワーバランスが長年にわたってジョンとポールに重くのしかかることとなった。
この他にも、プリンスなど若くしてレコード会社と不利な契約をしてしまった多くのアーティストがこの問題について話してきている。
今回、当時15歳であったテイラーと元レコード会社「ビッグ・マシーン・レコード」の間でどんな契約が交わされていたかなどの詳細は明らかとなっていない。しかし今回テイラーはビッグ・マシーン・レコードのCEOスコット・ボーチェッタの名前も出し批判しているため、成功を収めた後の彼女にとってフェアな条件ではなかったようだ。
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