今年6月にリリースされた、カミラ・カベロやマイリー・サイラスなどの女性シンガーが多数参加したマーク・ロンソンのアルバム「ミッド・ナイト・フィーリングス」。「サッド・バンガーズ」と称されたチルソングが集められたアルバムの中で、新鋭女性シンガーのイエバはなんと3曲でフューチャーされた。
その1ヶ月後にリリースされたエド・シーランの「No.6 コラボレーションズ・プロジェクト」にもイエバは参加。他にはジャスティン・ビーバーやトラヴィス・スコット、エラ・メイ、スクリレックスなど、エド自身がファンだと公言している著名アーティストが参加している。イエバにとって2019年は大躍進を遂げた1年となった。
本コラムでは、そのソウルフルで透き通った歌声で大物アーティストからのオファーが絶えないイエバにフォーカス。彼女の輝かしい経歴や、錚々たるアーティストたちとのコラボによって生み出された楽曲を紹介していこう。
【エド・シーラン、マーク・ロンソン、チャンス・ザ・ラッパー、サム・スミスら大物アーティストからのラブコールが絶えないシンガー、YEBBA(イエバ)とは?】
1995年生まれのイエバは、アーカンサス州のウエストメンフィスで育ったアメリカ出身のシンガー・ソングライター。幼い頃からゴスペルを聴いて育った彼女が初めて注目を浴びたのは、2016年12月に放送されたテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」でのチャンス・ザ・ラッパーのパフォーマンスだった。
バックコーラスで魅せた圧倒的な存在感は、チャンスが驚き振り返るほど。放送後にチャンスはツイッターで「半端ないボーカルで注目をさらった女の子はイエバ・スミスだよ!」と紹介をした。
その後イエバは、サム・スミスが2017年にリリースしたアルバム「スリル・オブ・イット・オール」に収録されている「ノー・プレイス」で彼とコラボレーションを果たす。お互いの透き通るような美声が心地よく重なるバラードを披露し、アルバムは全米アルバム・チャート初登場1位を記録した。
【動画】No Peace – Sam Smith ft. YEBBA
さらにイエバは音楽界でもっとも栄誉ある賞に輝く。マルーン5のメンバーでキーボードとコーラスを担当するPJ モートンと共演をした「ハウ・ディープ・イズ・ユア・ラブ」が、グラミー賞最優秀トラディッショナルR&Bパフォーマンス賞を受賞したのだ。コラボをしたのは、彼女がまだデビューをする前のことだったいうから驚きだ。
【動画】PJ Morton feat. YEBBA How Deep Is Your Love ‘Gumbo Unplugged’
そして、2019年はイエバにとって人生のハイライトともいえる年となる。マーク・ロンソンが今年6月にリリースした「レイト・ナイト・フィーリングス」では、「ノック・ノック・ノック」、「ドント・リー ヴ・ミー・ロンリー」、「ホエン・ユー・ウェント・アウェイ」の3曲に参加。「ドント・リー ヴ・ミー・ロンリー」に関しては、「すべての始まりとなった曲」と SNS で紹介。マーク・ロンソンがグラストンベリー・フェスティバルに出演した際、素晴らしいアコースティック・セッションを披露した。
【動画】Mark Ronson and YEBBA perform “Don’t Leave Me Lovely” at Glastonbury
その後イエバは、エド・シーランが発売したアルバム「No.6 コラボレーションズ・プロジェクト」の「ベスト・パート・オブ・ミー」でフィーチャーされた。この歌はイエバの最初のチャート入りしたシングルとなり、USチャートで99位となった。
前述の通り、「No.6 コラボレーションズ・プロジェクト」にはジャスティン・ビーバーをはじめ、ブルーノ・マーズやカーディ・Bなどの名だたる時代を牽引するアーティストが参加している。イエバの抜擢は大きな意味を持つのだ。
【動画】Ed Sheeran and YEBBA perform “Best Part Of Me” at Abbey Road
【最愛の母の死後、「イエバ」という名で活動をスタートし、初のソロ楽曲をリリース】
YEBBA=イエバ(本名アビー・スミス)というステージ・ネームを持ったのは2016年ごろのこと。幼い頃に母親から本名の「Abbey(アビー)」を逆さまに読んだ「イエバ」という愛称で呼ばれていたことが由来になっている。
イエバの初のソロ楽曲「マイ・マインド」を収録した約1週間後に、母親が自ら命を絶ってしまうという悲しい出来事が起こる。母親の死後はブルックリンに拠点を移し、YEBBA(イエバ)として活動を始めた。
Facebookでは母親について「私の母とその人生への愛と尊敬を表すものとして、私は自身のアーティスト名をYEBBA(イエバ)としました。私にとってこれはステージ・ネームでもないし、もうひとつの人格ということでもありません。大きな宣言ということでもないのです。これは私自身、そのものです」と綴っている。
現在イエバのオフィシャルHPでは、「マイ・マインド」をフリーでダウンロードできるようになっており、母のように、精神的な病気を抱えている人をサポートする団体への寄付も募られている。母に捧げた「マイ・マインド」のSofar NYCでのライブ映像は、現在800万回以上の再生回数を誇っている。
【動画】YEBBA – My Mind Sofar NYC
続けて、2017年に「エヴァーグリーン」をリリース。Spotifyでは現在1200万回以上の再生を記録し、ローリング・ストーン誌などで絶賛され、教会でパフォーマンスされたミュージックビデオの撮影はApple MusicとBeats 1のサポートを受けて行われた。
【動画】YEBBA : Evergreen [Official Video] Beats 1 Apple Music
【今年8月に最新曲「ホエア・ドゥー・ユー・ゴー」がリリース!】
音楽界のビッグネームたちの注目を集めるイエバは、最新シングル「ホエア・ドゥー・ユー・ゴー」を8月にリリースしたばかり。名プロデューサー、BJバートンによりプロデュースされたこの曲は、深い祈りのような幻想的な世界が広がる一曲に仕上がっている。
【動画】YEBBA – Where Do You Go
購入リンク: https://lnk.to/YEBBA_WhereDoYouGoJPSG
リスナーの心の深い部分に触れ、巧みに感情を揺さぶる歌声を持つイエバは、音楽シーンを牽引するアーティストたちが、今最も共演したがるシンガーだといえるだろう。オリジナルアルバムのリリースも期待され、今後さらなる飛躍が期待されるイエバに注目していきたい。
(文:加藤優花)
Lindsay1992年京都府生まれ。幼い頃から祖父の影響でブラックミュージックを聴き始めた事がキッカケで、海外エンターテインメントの世界にどっぷりハマっています。大学在学中は大阪を拠点にDJ活動もしていました。イベントやパーティーなど華やかな場所が大好き!現在はニューヨークやロサンゼルスなど海外生活で培った幅広い知識を活かし、ライターとして各メディアで活動しています。
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