先日行われた音楽授賞式「アメリカン・ミュージック・アワード(AMAs)」の授賞式で圧巻のパフォーマンスを披露した歌手テイラー・スウィフト(29)。これまでのヒット曲をメドレーで披露したテイラーだったが、そこにはたくさんの隠れたメッセージがあったのだ。E!Newsが伝えている。
式はロサンゼルスのマイクロソフト・シアターにて行われ、その日テイラー・スウィフトは「アーティスト・オブ・ザ・ディケイド」という、この10年間で最も偉大な功績を残したアーティストに贈られる特別な賞を受賞した。これを記念して彼女はこれまでのヒット曲をメドレーにして披露した。
その1曲目は彼女の最新アルバム「Lover」からのヒット曲「The Man」。彼女が着ている衣装には「Lover」以前の6つのアルバムタイトル「Taylor Swift」「Fearless」「Speak Now」「Red」「1989」「Reputation」が書かれており、そこに力強いメッセージが込められていることが伺える。
ファンはご存知の通り、彼女は現在、「Lover」以前の自身の作品の版権を巡って闘争中である。この闘争は、彼女が長年一緒に働いてきたスコット・ボーチェッタが設立したレーベル「ビック・マシーン・レコード」を敏腕音楽マネージャーのスクーター・ブラウンが買収したことで始まった。その後テイラーは「リパブリック・レコード」に移籍し、「Lover」はこのレーベルから出版されているが、それ以前の6つのアルバムは「ビック・マシーン・レコード」を通して出版されており、その版権は今スクーター・ブラウンのもとにあると言う。この闘争は、彼女のTumblrの投稿を通して公になったが、その際に彼女は、この買収行為を「悲しくて大変不快」だと表現し、この2人を強く批判した。
「AMAs」の数日前にも彼女はこの闘争についてSNSで言及。スクーターとスコットが授賞式で「Lover」以前の作品を披露してはならないと指示を出したと言うのだ。授賞式当日、実際に彼女が2人の名前を出すことはなかったが、この闘争に対する彼女の想いはパフォーマンスやスピーチを通して十分に伺える。
また「アーティスト・オブ・ザ・デケイド」の授賞スピーチでテイラーは「アーティストっていうのは誰でも“生きながらえるもの”を作りたいと思ってる。この賞が、ここ10年間の努力と作品と喜びと記憶に対して贈られるものだと思うとそれが身に染みてわかるわ。そして、それはファンと一緒に作り上げてきたものだと思うと本当に胸が熱くなる」「みんな、これまで遊び心とスリルに溢れた時間を共にしてくれてありがとう。アーティストとしてキャリアを始めた最初の日から今夜まで、私がこのステージに立てるのはずっとみんなのお陰です。みんなのこと、心から愛しています、ありがとう。『AMAs』にも感謝を捧げます。この機会が与えられていること、それが本当に幸運なことだから」と語った。
テイラーはこの日、歴史的快挙を達成したわけだが(注:アメリカン・ミュージック・アワードで、彼女はこれまでに通算29の賞を獲得し「キング・オブ・ポップ」と呼ばれた故マイケル・ジャクソンの最多記録を3賞差で更新)、彼女はこの1年を「複雑」だったと述べた。スピーチの中でテイラーは「この1年間、これまでの人生の中で最も素晴らしいことと最も辛いことの両方があったわ。ちなみに、その内の大半は公になっていません。そんな中、ファンは私の人生においてずっと変わらない存在でいてくれた。本当にありがとう。音楽業界っていうのは不思議なもので、そこにいると人からの評価とか人気の波に左右されて気分もかなり左右されるの。そんな中でも私が忘れることのない存在が私をサポートしてくれるファンであり友人です」
またテイラーのパフォーマンスにはたくさんのメッセージが込められていたようだ。
衣装に記された“声明”
#AMAs Artist of the Decade Taylor Swift begins her performance medley with "The Man" and a jacket with all of her album titles on it pic.twitter.com/FAkUtWEHDk
— MTV NEWS (@MTVNEWS) November 25, 2019
ステージに登場したときの衣装には「Lover」以前の6つのアルバムタイトルが太字で書かれており、これは彼女なりの「声明」だと言える。「作品は私の一部である」「私が作った作品だ」「作品は永遠に私のものである」ととらえられる。またこの“声明発表”の方法は、テイラーがディクシィー・チックス(女性カントリー・トリオで、最新アルバム「Lover」でコラボ曲「Soon You’ll Get Better」を発表)が、2000年に入ってから発表したドキュメンタリー映画「ディクシー・チックス:シャット・アップ・アンド・シング」のポスターからインスパイアされたものだと言われており、ファンによるTumblrの関連投稿にテイラー自身「いいね」をしている。
恐れ知らず
She's my fearless leader!#TaylorSwift #ArtistOfTheDecade pic.twitter.com/VzCT56DHgY
— mahi ⁷🌌🌊 (@taytan713) November 25, 2019
うしろを向くと彼女の背中に刻まれているのが、彼女の2枚目のアルバムタイトルでもある「Fearless」(注:恐れ知らず、という意味)。パフォーマンスの1曲目は、彼女がもしこの音楽業界で男性だった場合を想像した内容の「The Man」であったが、その中には「I’d be a fearless leader, I’d be an alpha type(きっと恐れ知らずの率先的なリーダーになっていただろう)」という歌詞がある。彼女は、これらを通して「女性でも恐れ知らずの率先的なリーダーになれる」ことを証明しているのではないだろうか。
未来の女性に向けて
📷 | Taylor Swift and the kids performing ‘The Man’ #AMAs pic.twitter.com/MAoMatVEew
— Taylor Swift News (@TSwiftNZ) November 25, 2019
「The Man」のパフォーマンスでテイラーは、小さな女の子たちともにダンスを披露した。ここには「あなたたちも女性でも恐れ知らずの率先的なリーダーになれるのよ」という彼女の力強いメッセージが込められていると言える。
立ち上がれ!声を上げろ!
シャツの下に着ていた彼女の衣装は「Speak Now」(彼女の3枚目のアルバム。“立ち上がれ!声を上げろ!”という意味)のツアー衣装を思い出させる。この言葉はまさに、この日の彼女のパフォーマンスを象徴しているといえるだろう。彼女は今まさに信念のために立ち上がって声を上げている。
美しいピアノに隠された秘密
wish we had more pictures of this piano! It has all her old albums on it (from taylors right, red, fearless, 1989, speak now, reputation and Taylor Swift in top in front of her) lover was on her mic.
one part said Delicate. I wonder if there are more song titles! #TaylorOnAMAs pic.twitter.com/R1nb7fI6z9— Kristin ~I stand with Taylor~🫶🏻 (@swiftie06_13) November 25, 2019
彼女がパフォーマンスの最後に披露した曲「Lover」で使っていたピアノ、そこには美しい筆跡で彼女の曲のタイトルがいくつか刻まれている。
6つの賞と6つのアルバム
今回の「AMAs」でテイラーは6つの賞を受賞した。ファンがSNSで述べているよう、これは彼女が版権を取り戻そうとしている6つのアルバムと数字が重なる。