俳優ヒュー・ジャックマン(50)が、約1年ぶりに来日。新作主演映画「フロントランナー」PRのため、日本記者クラブにて記者会見を行った。
映画「フロントランナー」は、“J・F・K の再来”“当選確実”と言われていた米大統領最有力候補が、たったひとつのスキャンダル報道で政界から葬られた1988年の事件の真相に迫るサスペンス・ドラマ。カリスマ性を放つ天才政治家でありながら、政界の表舞台から姿を消した実在の人物ゲイリー・ハートを、ヒュー・ジャックマンが演じている。
この日、来日記者会見が行われたのは、日本の中心である霞ヶ関に位置する日本記者クラブ。まさに作品や役柄を意識したものといえよう。
本人登壇直前には、実際に当時の出来事を知る人物として、パトリック・ハーラン(パックンマックン)が登壇。ロナルド・レーガンによる共和党政権が二期続いたあとで、慣例からいって同党のジョージ・H・W・ブッシュの当選はないと見られていたこと、マスコミが「越えてはいけない一線を越えて」ゲイリー・ハートのスキャンダルを報じたことで、その流れが変わってしまったこと、そして「そのときのショックはまだ消えていない」と当時を振り返った。
「ゲイリー・ハートはとても親しみやすい政治家で、自分を含む若者に人気があった。それが浮気疑惑で一変した。歴代のアメリカの大統領はみんな浮気したし、それを見て見ぬふりをするいわば紳士協定があった。ビル・クリントンは弾劾されたけど生き残り、浮気どころか複数の女性からセクハラを訴えられいる大統領が無傷でいる。なのに、なぜ彼だけが貧乏くじを引いたのか」
しこりを残すトークのあと、会場へ現れたヒュー・ジャックマンは、まず「おはようございます」と日本語であいさつ。「発音は大丈夫?」と穏やかに微笑みながら、「東京を再び訪れることができて素晴らしい気持ち。この作品とともに来日できたことを栄誉に思います。ぜひ日本のみなさんにも楽しんでいただき、そして議論してほしい。それが必要だと思うから」と述べた。
【ヒュー・ジャックマン来日中🎌】
主演映画 #フロントランナー PRのため来日しているヒュー・ジャックマンより「オハヨウゴザイマス!」
本日朝に記者会見が開かれ、実在の政治家を演じた新作への思いを語りました👔
後ほど記事にて詳しくお伝えします😉✌️ @RealHughJackman #ヒュージャックマン pic.twitter.com/NM3EbaxBb7— tvgroove 海外セレブ/エンタメ/ファッションNews (@TVGroove) January 21, 2019
代表作「X-MEN」シリーズでは、コミックキャラクター“ウルヴァリン”を演じ、また、2017年(日本では2018年公開)のヒット作「グレイテスト・ショーマン」では夢見がちなサーカスのオーナーを歌とダンスで魅力的に演じた。「スキャンダルで失脚した実在の政治家」というキャラクターは、彼のキャリアで異色を放っているが、この役を受けた理由について、まず彼は「ジェイソン・ライトマン監督の作品が好きだから」と、「JUNO/ジュノ」(2007)、「マイレージ、マイライフ」(2009)といった作品タイトルを上げた。
「彼はキャラクターを白黒つけて描かない。そして本作のストーリーにも惹かれた。たった3週間の出来事なんだ。確かに自分が演じてきた役とも、自分自身とも似ても似つかないけれど、政治や世界中で起きている出来事について、いろいろな疑問がわいてくる。そして答えを出していないという点も気に入った」
パトリック・ハーランはこの事件をきっかけに、「マスコミと政治家の関係性が変化した」と定義した。ヒュー・ジャックマンも同様の意見を述べており、またかつて大学でジャーナリズムを専攻していた立場からも「会見で不倫が取り沙汰されたり、真夜中にメディアから追いかけまわされるなんて、それまでありえないことだった」と振り返っている。
この役を演じるにあたり、ゲイリー・ハートと面会したヒューは、「人生最悪の3週間の映画化」という本人の言葉を引用している。「存命の人物を演じるのは初めての体験だったため、ことさら責任を感じた」と、事前のリサーチを徹底的に行い、いまだに意見が分かれる予備選撤退は、家族や選挙の神聖さを守るためだったという彼自身の話を聞き取った上で撮影に臨んだという。
「ゲイリー・ハートは、理想主義者で、多くの若者をインスパイアした。ケネディの再来と称され、世間を変えてくれると信じられていた。先見の明があって、無名時代のスティーブ・ジョブズとランチをともにし、すべての教室にコンピューターをと話し合ったこともある。中東問題、米ソ冷戦の結末、テロを予想するなど未来が見えていたんだ。だからこそいまだに愛されていて、若い人をインスパイアし続けている」
会見中、SNSが普及した現代は、なんでも即時性と正確さが求められるため、政治家、そしてジャーナリストにとっては大変な時代になったと語る場面も。ジャーナリズムを専攻していたことから「もしかしたら自分がそっち(記者席)に座っていたことがあったかも。だからこそみなさんを尊敬します」と、彼のため朝から集まった大勢の記者たちをねぎらった。
また、一つひとつの質問と真剣に向き合うあまりに、つい長く答えてしまうことを「ごめんね(笑)」と謝り、自ら通訳の女性のためコップへ水をつぐ場面も。短い時間ながら、ヒュー・ジャックマンの人柄がよく見えた会見であり、シリアスな作品とは対照的な心温まる印象を残した。
公開情報
『フロントランナー』
2019 年2月 1 日(金) 全国ロードショー
【動画】映画『フロントランナー』予告第二弾
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