人気歌手テイラー・スウィフトのアルバム「Lover」の2枚目のシングル「You Need to Calm Down」。同曲といえば、ヒットを飛ばしたことで知られているが、その知られざる制作秘話が明かされた。E!Newsが伝えている。
【動画】Taylor Swift – You Need To Calm Down
テイラー・スウィフトは昨年6月、アルバム「Lover」から2枚目のシングルとして「You Need To Calm Down」をリリース。このアルバムからの1枚目のリードシングル「ME!」は初登場にしてビルボードチャート2位を獲得。「ME!」と同様「You Need To Calm Down」でも、プロデューサーのジョエル・リトルとコラボしたこの曲は、ファンのハートをガッツリ掴み、ビルボードチャート2位を獲得した。
しかしながらこの曲には、賛否両論が巻き起こったのだ。
実はこの曲、LGBTQ(性的マイノリティー)を支持する内容となっており、テイラーからLGBTQを反対する人達に向けたメッセージソングである。
テイラーは曲の中で、「ちょっと落ち着いて、心の平穏を取り戻しましょう/嫌いな人に対する怒りをコントロールして」「怒りや憎しみをぶつけても、ゲイであることに変わりないのよ」と歌っている。
テイラーはこれまで、SNS上で政治的な発言をしたことがあった。そして今回初めて、曲の中でも自身の意見を取り込んだのだ。また、この曲がリリースされたのは、LGBTQの人々がその権利や文化を主張する「プライド月間」の真っ最中である。
個人の意見を前面に押し出したこの曲に、ファンは置いてきぼりにされるのではないかと考えられていたが、結果として12週連続でトップ20にランクイン、MTV・ビデオ・ミュージック・アワードを2部門授賞しただけでなく、グラミー賞では3部門にノミネートと、大ヒットとなった。
そして今回、この楽曲でコラボしたジョエル・リトルがE!Newsの取材に答えた。「ぼくは全面的にテイラーを信頼しているよ」「感じたことや言いたいことを歌にするのは、とても重要だと思うんだ。テイラーは最初、曲の一部分だけをボイスメモでぼくに送ってきた。パッとそのメロディーが浮かんだらしい。ぼくはすぐにPCを立ち上げて、ボイスメモに録音されたコーラスをアレンジしたんだ。だから、彼女がスタジオに入る頃には、もう曲のほとんどが出来上がっていたよ」「特に注意を払ったのは曲のトーンだった。ポップで踊れるような曲にしたかったんだよ。説教じみた、耳障りな曲は誰も聴きたくないからね。だから、ちょうどいいトーンが大切だった」と、語っている。
【動画】Taylor Swift Performs ‘You Need to Calm Down’ & ‘Lover’ | 2019 Video Music Awards
また、この曲にはLGBTQへのメッセージが込められている一方、テイラーのような女性ポップシンガーに向けたエールも含まれている。
注目してもらいたいのは、曲の”つなぎ”の部分だ。リトルによると、当初のプランは現在のものとは異なっていたそうだ。「僕はただ、つなぎの部分にも伝えるべきメッセージを込めるべきだと思ったんだ。単なる間奏じゃなくてね。結果的に、とても良い曲に仕上がったよ。」と語った。
「この曲で彼女は、人それぞれであること、異なる価値観があること、みんなが折り合いをつけて生きていること、意見の異なる人達を批判する権利は誰にもないことを伝えている。とても重要で素晴らしいことだよ。」
またリトルは、「彼女は類まれな作詞力を持っているよ。本当に非の打ち所がないんだ」と語り、スウィフトの作詞家としての能力にも称賛の声を送っている。実際のところ、「The Man」などアルバムに収録されている政治的な楽曲について、リトルはほとんど手を加えていないそうだ。
「収録されている曲は長い時間をかけて作られたものなんだ。全部が同時に出来上がるわけじゃない。その時々のテイラーの考えが取り入れられている。彼女が正しい思う考え方があって、それを正しい時に正しい方法で伝えようと思ったときに、存在したのがこのアルバムなんじゃないかな」「ぼくはただ、その手伝いをしただけだ。ぼくが、『今日はこの国(アメリカ)についての曲を書いたらどうかな?』なんて言ったことは一度もないよ。アイデアを出すのはいつだってテイラーだ」と、語った。
さらに、「You Need To Calm Down」が社会現象を巻き起こしながらも、アルバムがヒットしたことについて、「とても感慨深いよ。たくさんの時間と労力をかけて仕上げてきたからね。毎回毎回、素晴らしい曲ができるとは限らない。そんな中で自分たちが誇りをもって発表できるアルバムをリリースできたことはとても嬉しいよ」とコメントしている。
そして、曲とともに発表されるMVについても言及し、「毎回とてもクレイジーなMVだろ?あれもテイラーのアイデアなんだ。彼女はいつも『ねえ、こんなアイデアがあるんだけど』と提案してくれて、しかもどれも期待を裏切らない。だからとても楽しいよ」と、明かしている。