アメリカの人気下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)」が、株の55%を5億2500万ドル(約588億円)で売り渡し、買収されたことが明らかになった。
ここ数年経営難と言われ、去年は業界では注目のファッションショーまで開催することができなかった「ヴィクトリアズ・シークレット」。ここ1~2ヵ月前から買収のウワサが出ていた。
そして今回、ついに投資会社の「シカモア・パートナーズ(Sycamore Partners)」が、「ヴィクトリアズ・シークレット」、若者向けラインの「ピンク(PINK)」、そしてコスメラインを運営する「Lブランズ(L BRANDS)」の株式55%を5億2500万ドル(約588億円)で買収し、1963年から同社を経営してきた創業者のレスリー・ウェクスナーは、会長兼CEOを退任することとなった。
これを受け、会長のレスリー・ウェクスナーは「今回の分離は、これからのビジネスの収益性と成長のための最良の道であると考えています。小売業界での豊富な経験と成功の実績を持つしかモアは、これからのビジネスに新たな視点と大きな焦点をもたらすでしょう」とコメントしている。
経営難の原因
下着ブランドの中ではダントツの地位と名誉を誇っていた「ヴィクトリアズ・シークレット」。しかし、他の下着ブランドが様々な体型のモデルを起用し多様性をもたらしたにも関わらず、チーフ・マーケティング・オフィサーでショーのキャスティングディレクターを務めるエド・ラゼックが、トランスジェンダーやプラスサイズのモデルは採用しないとブランドの方針を明らかにしたことで大バッシングを受けた。
また、2018年の「ヴィクトリアズ・シークレット」のショーは、ベラ・ハディット、ベハティ・プリンスルー、ジジ・ハディッドなどのトップモデルを起用したにも関わらず、最低の評価しか得られなかった。
その後同ブランドは、トランスジェンダーやプラスサイズモデルを起用し、多様性をアピールしたものの、すでに他ブランドより遅れをとっており、また最近ではエド・ラゼックが、ベラ・ハディッドをはじめとする複数のモデルにセクハラ発言をしていたという疑惑が浮上し、そちらも問題視されていた。
今回の買収をキッカケに「ヴィクトリアズ・シークレット」は、過去の栄光と地位を取り戻すことができるのだろうか…。