新型コロナウイルスの感染拡大により多くの株取引が影響を受けている中、動画配信サービスの「ネットフリックス」社は過去最高の登録者数を記録した。marketwatch.comなどが報じている。
米ネットフリックス社の報告によると、第一四半期では過去最大となる1577万人の追加登録があったと発表した。当初の増加予想は700万人であったため、2倍以上となったことになる。そして収益は前年の45億2000万ドル(約4874億円)から57億7000万ドル(約6147億円)に増加したとのことであった。
ネットフリックス社幹部は、株主に向けた文書の中で「第一四半期の最初の2ヶ月は過去2年間と同様の増加率だった。3月以降、多くの国々がロックダウンを行ったことで、登録者数が激増したと考えられる」と、つづっていた。
現在新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック宣言され、世界中の人々が感染防止のため自宅待機を行っており、その影響でネットフリックスを見る人が激増しているようだ。
ネットフリックス社の最高経営責任者であるリード・ヘイスティングス氏は火曜、ビデオインタビューに応じ、今四半期の業績は残りの四半期の「前倒し」であるとし、新型コロナウイルスの影響が落ち着くころには増加数も鈍化することになると語った。
アップルTVやディズニー・プラス、アマゾン・プライム・ビデオなど多くの動画配信サービスがある中で、競争に勝ち抜けたのは「タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!」や「ペーパー・ハウス」などオリジナルドラマの爆発的な人気によるものだろう。
第二四半期以降の登録者数減少を防ぐため、グレッグ・ダニエルズとスティーヴ・カレルが制作し、スティーヴ・カレル本人やジョン・マルコヴィッチ、リサ・クドローが出演するSFコメディドラマ「スペース・フォース」のリリースが予定されている他、ケニア・バリスが脚本を担当するホームドラマ「#BlackAF」や、恋愛リアリティー番組「ザ・ジレンマ: もうガマンできない?!」、スポーツチャンネルのESPNと共同制作したマイケル・ジョーダンのドキュメンタリー「マイケル・ジョーダン: ラストダンス」などの公開が予定されている。
同時に、第二四半期にはラブコメディ映画「The Lovebirds」、第三四半期にはミリー・ボビー・ブラウン主演の「エノーラ・ホームズ」などの映画を買収し、ネットフリックス上で公開することを発表、コンテンツの充実をはかっている。
外出自粛が続いている今、視聴者を飽きさせないコンテンツを発掘し続けるのはネットフリックスの大きな強みだろう。
デジタルマーケティング会社である「eMarketer」の専門家エリック・バグストーム氏は、「ネットフリックスは、自宅にこもる視聴者達を楽しませようと全力を注いでいる。映画やスポーツライブに依存している他の動画配信サービスとは異なり、現在の状況にうまく適応している」と、語っている。
デジタルコンサルティング会社「Publicis Sapient」の副社長であるウェンディ・ヨハンソン氏によると、「ネットフリックスはこの世界的な危機とも呼べる状況のなかで『文化的な規範』を作り上げた」と語った。
しかしながら、ネットフリックス社の幹部は、この盛り上がりには限界があると認めている。株主に宛てた文書の中には、「やがてウイルス対策が進歩し、外出が解禁される日も訪れる。そうなれば、視聴率は減少することになるだろう。内部では、第二四半期の純増数は750万件と予想している」とつづられている。
なお、ネットフリックス社の株価は過去12ヶ月間に比べて13.6%上昇している。