人気ラッパーのジェイ・Zが、白人警官に殺害された黒人男性ジョージ・フロイドさんの事件に関し、殺人が起こったミネソタ州の州知事と電話をして直接正義を訴えたことがわかった。
米時間5月25日(月)、ミネソタ州ミネアポリスで、ジョージ・フロイドさんが「偽札を使った疑い」があるとして白人警察官のデレク・ショーヴィンに7分以上にわたり首を圧迫され、そのまま亡くなるという事件が起きた。無抵抗の被害者を拘束し、首を膝で押さえつけた警察官は、フロイドさんが「息ができない」と助けを求めたにもかかわらず、それに応じず死に至らしめた。
人種差別の象徴ともいえるこの事件に対し、全米各地で抗議デモが行われ、またフロイドさんの死に多くのセレブたちもショックを受け、終わらない人種差別、そしてその後のドナルド・トランプ大統領の暴力賛美ととれる発言に、怒りのコメントを発表している。
この騒動の中、ラッパーのジェイ・Zも全力で人種差別をなくそうと動いている著名人のひとり。彼は5月31日、ミネソタ州の州知事ティム・ワルツ氏を電話で話し、ジョージ・フロイドさんの死に関わった警察官たちの公訴を直接訴えた。
インスタグラムで「今日、ワルツ州知事が俺と人間同士の会話をしたことを明かした。俺は苦しんでいる人間、父、そして黒人だが、そんな人は俺だけじゃない」と書いたジェイ・Z。ワルツ氏との電話会議で、ワルツ氏に対しフロイドさんの死に関わった警察官を公訴してほしいと要求したところ、ワルツ氏はジェイの話を聞き入れ、州の司法長官であるキース・エリソン氏に引き継いだという。
ジェイは「ワルツ州知事、司法長官にこの件を引き継いでくれてありがとう。正しいことだ」と書いた。さらに「これは正義の道への単なる第一ステップにすぎない」とし、「これから出てくるであろう抑圧者などには負けないほど、正義のために覚悟している」と語っている。
「この国の全ての政治家、検察官、警察官が勇気を持ち、正義ある行動をすることを懇願している。俺たちを人間、父、兄弟、姉妹、そして母として見てほしいし、苦しんでいるとわかってほしい。その上で自分自身を見てほしい」と訴えたジェイ・Z。最後には「ショーン“ジェイ・Z”カーター」と、本名を交え署名している。
ジェイ・Zの他にも声をあげているアーティストは大勢おり、中でもトランプ大統領に対するテイラー・スウィフトのツイートは大きな話題に。
トランプ大統領の「この“悪党たち(暴徒化するデモ)”は、ジョージ・フロイド氏への追悼を不名誉にしており、今後こんなことは起こさせない。ティム・ウォルツ知事と話し、軍は知事を全面的に支援することを伝えた。どんな困難であろうと、私たちはコントロールする。略奪が始まれば、銃撃を始める。以上!」と警告ツイートをしたことに対しテイラーは「大統領就任期間ずっと白人至上主義と人種差別を掻き立てておいて、暴力で脅す前に道徳的に優れているというフリをするの?『略奪が始まれば、銃撃を始める』ですって?11月の大統領選ではあなたを落選させる」と痛烈批判し、またトランプ大統領をタグづけし直接送りつける形でツイートした。
After stoking the fires of white supremacy and racism your entire presidency, you have the nerve to feign moral superiority before threatening violence? ‘When the looting starts the shooting starts’??? We will vote you out in November. @realdonaldtrump
— Taylor Swift (@taylorswift13) May 29, 2020