ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害される事件がきっかけで、人種差別反対の抗議デモ「BlackLivesMatter」が、アメリカのみならず世界に広がりを見せている。そして一部は暴徒化しており、高級品店などに侵入し商品を奪略するケースも増加している。
そんな中、アメリカの大手配信サービス「HBO Max」が名作『風と共に去りぬ』の配信を一時停止したことで世間を驚かせた。本作は南北戦争下のジョージア州アトランタ市を舞台に、スカーレット・オハラの半生を描いており、「奴隷制度を正当化している」と批判を浴びたことでも知られている。
こうして人種差別反対の抗議は、芸術面にも非常に影響を及ぼしている。また、『風と共に去りぬ』だけでなく、ハリウッドの保管庫には、人種、セクシュアリティ、障害など、ステレオタイプの描写が含まれた映画がたくさんある。この先、『風と共に去りぬ』のように上映前と上映後に免責事項とディスカッションが必要になる名作を、Varietyがまとめている。
『フォレスト・ガンプ』(1994年)
本作は、アカデミー賞で6部門受賞し、多くの人に愛されている。しかし、「障害者、ベトナム帰還兵、エイズ患者などを見下している」とVarietyライターは言う。感動作として知られるこの一本も、実際には抗議活動家や活動家、カウンターカルチャーには敵対的なのかもしれない。
『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』 (1984年)
本作は、1930年代のアクション映画を意識しており、”エキゾチック “な悪役は、原始的で血に飢えた外国人として描かれている。結果としてインドやヒンドゥー教の習慣を否定的かつステレオタイプに描いてしまっているという。
『世界一キライなあなたに』 (2016年)
本作は、ルイーザ(エミリア・クラーク)が、四肢麻痺になって車椅子生活を余儀なくされているウィル(サム・クラフリン)の介護を務めるというストーリー。感動的なロマンティック・コメディとして人気を博した一方で、障害者の自殺ほう助・安楽死を扱ったことで、多くの障害者活動家から非難の声が寄せられていた。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019年)
クエンティン・タランティーノ監督作品で、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットがW主演を務め話題となった本作。そんな本作では、ハリウッドでも数少ないアジア系スターの一人であるブルース・リーが登場しているのだが、その描写が物議を醸し、さらに黒人がまるで存在しないように見えたり、映画の中で呼ばれている「メキシコ人」が車の係員やウェイトレスだったりといったシーンが、問題視されている。
そのほか、『ダーティハリー』や『噂の二人』などがリストに入っている。今後の映画制作においても、人種、セクシュアリティ、障害などのステレオタイプの描写については最大の配慮を払わなくてはならないだろう。