イギリスの有料放送グループ運営会社「Sky」が、一部の名作映画に「時代遅れな表現を含みます」といった警告文を追加したことがわかった。
Skyはイギリスのメディア関連企業。衛星放送・ストリーミング放送の運営などを行い、ヨーロッパ最大の有料放送事業者となっている。1994年以降21世紀フォックス等ルパート・マードックの率いる一連のメディアグループが大株主であったが、 2018年にコムキャストの傘下となった。
Varietyによるとこの警告文が表示される作品は、オードリー・ヘップバーン主演の『ティファニーで朝食を』、ディズニーのオリジナルアニメ版『ジャングル・ブック』、日本が舞台となった『ラスト サムライ』など16作品。警告文には「この映画には前時代的な表現、言葉遣い、文化描写が含まれており、現代では侮辱的と捉えられる可能性があります」といった説明が入っている。
今年5月下旬、ジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害される事件がきっかけで、人種差別反対の抗議デモ「BlackLivesMatter」が、アメリカのみならず世界に広がりを見せている。そんな中、アメリカの大手配信サービス「HBO Max」が名作『風と共に去りぬ』の配信を一時停止したことで世間を驚かせた。本作は南北戦争下のジョージア州アトランタ市を舞台に、スカーレット・オハラの半生を描いており、「奴隷制度を正当化している」と批判を浴びたことでも知られている。
こうして人種差別反対の抗議は、芸術面にも非常に影響を及ぼしている。また、『風と共に去りぬ』だけでなく、ハリウッドの保管庫には、人種、セクシュアリティ、障害など、ステレオタイプの描写が含まれた映画がたくさんある。
これらの差別やステレオタイプをなくそうといった意識が映画界でも急速に広まっている今。今後エンターテインメントは大きく変わりそうだ。