売り上げの低迷に悩む米アパレルブランド「GAP」が、人気ラッパーのカニエ・ウエストを起用し、新しいブランドラインの展開に向けて動き出したことが明らかになった。
「GAP」は今後カニエ・ウエストと彼のファッションブランド「Yeezy」と組み、2021年上半期から「Yeezy Gap」と呼ばれる新しい製品の販売をスタートさせる。
「Yeezy」のデザイナーたちは、カニエ・ウエストの指揮のもと、「リーズナブルでありながら、現代的で遊び心のある製品を男性、女性、そして子供たち向けに開発する」という。カニエ・ウエストは洋服のデザインだけでなく、店舗内での並べ方やオンラインショップでの見せ方についてもアイデアを出す予定だ。
また今回のコラボは、「GAP」がカニエ・ウエストの起業家であり、ラッパーであり、デザイナーであるという万能さに賭けたものだ。「GAP」とカニエ・ウエストは今後10年間の契約を結び、5年ごとに更新する予定だとしている。「GAP」は新たなラインである「Yeezy Gap」に、年間10億ドル(約1070億円)の利益を期待しているという。なお「GAP」自体は昨年、世界全体で46億ドルの利益をあげている。契約の詳細について、「GAP」側はコメントを出していない。
「GAP」は同名のブランド以外に、「オールドネイビー」や「バナナ・リパブリック」などのブランドを抱えているが、売り上げの急速な減少により経営を見直し、北アメリカにある100店舗以上を閉店した。現在も生き残る手段を探っている状態だ。
なお、カニエ・ウエストは10代の頃「GAP」で働いていた経験を持っており、2015年には「『GAP』のスティーブ・ジョブズのような存在になりたい」と語っていることもあり、GAPの改革に意欲的なようだ。