今年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで警察に首を圧迫され死亡したアフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさん。彼が過去に、同じく警察に撃たれていたこと、彼の死の直前に警察官が話していたことなどがわかった。
ジョージ・フロイドさんの首を膝で圧迫し、直接殺害に関与した元警察官のデレク・ショーヴィン被告は、第3級殺人と過失致死に加え、第2級殺人の罪に問われている。また、当時現場にいたとされる残りの3名、トウ・タオ、J・アレクサンダー・ケーン、トーマス・レーン被告は殺人ほう助と扇動の疑いで起訴されている。
デレク・ショーヴィン
The police officer who pressed his knee against George Floyd's neck dismissed his pleas that he couldn't breathe, saying "It takes a heck of a lot of oxygen to talk,” according to transcripts of officers' body camera video. Floyd later died. https://t.co/m5bFcAjURl
— The Associated Press (@AP) July 8, 2020
この中の一人、トーマス・レーンは容疑を否認しており、証拠として今回裁判で事件当日に自身がつけていたボディーカメラの映像から、現場での会話を文字に起こした書類を提出した。
この書類では、警官たちとジョージ・フロイドさんの詳細な会話が明らかに。トーマス・レーンは銃を手にしながらフロイドさんの車へ近づき「手をあげろ」と言うと、フロイドさんは「ごめんなさい、ごめんなさい。俺は前にも撃たれたんだ、これと同じ状況で、警察官さん」と、冒頭から謝り以前にも警官に撃たれたことがあると話した。フロイドさんの車には女性も乗っており、レーン容疑者はその女性に「なぜ彼(フロイドさん)がこんな変な動きをして、手をあげないんだ?」と聞くと、彼女は「以前撃たれたからです」と回答した。
またJ・アレクサンダー・ケーン容疑者のボディーカメラでは、ケーンがフロイドさんを拘束した際、フロイドさんは身分証明書を出し、また「前回俺は撃たれたんだ、同じことだよ」と話していた。
偽札を使用した容疑で拘束されたフロイドさん。この書類によると、フロイドさんが地面にねじ伏せられている間に警官たちが「心臓発作で死ぬぞ。車(パトカー)に乗れ」などと話していたこともわかった。
フロイドさんがデレック・ショーヴィン容疑者に圧迫されている間、レーン容疑者は「彼(フロイドさん)の足をあげるべきか?」とショーヴィンに聞いたが、ショーヴィンはこれを却下。警察官の間で「フロイドは薬物を使用しているのか」といった会話もあった。
このカメラがとらえたフロイドさんの最後の言葉は「息ができない」「お願いです、お願い」そして最後にもう一度「お願い」であり、その後は喋ることができなくなった。レーン容疑者は、フロイドさんの体を横に動かすべきか、とショーヴィン容疑者に提案したが、これもまた彼によって却下。ショーヴィンは「だから救急車を呼んでるんじゃないか」と発言しており、これはフロイドさんを傷つけていると自覚していたともとらえられる。
またショーヴィンは「息ができない」というフロイドさんの訴えに対し「話すには大量の酸素が必要だろ」と述べ、呼吸ができなかったという彼の嘆願を却下した。
フロイドさんの首がショーヴィン容疑者により圧迫され、亡くなるまでの映像は世界中に広がった。この痛ましい事件で、多くの人が正義を強く訴えている。