先日ドナルド・トランプ米大統領率いる政権が、動画アプリTikTokをアメリカ国内で使用禁止する方針を発表。これに対し、TikTokの開発元が起訴する準備を始めていると伝えられた。
TikTokは動画共有アプリで、今や世界的に人気のアプリとなり、若者を中心に、海外セレブたちも利用している。またTikTokでバイラル化した動画や、それに使用された音楽は世界的ヒットを飛ばしたりと、業界にとっても大きなプラットフォームとなっている。
そんなTikTokだが、アメリカのドナルド・トランプ大統領が8月はじめ、TikTokが共産主義の中国の企業であることなどから個人情報の取り扱いの危険性を懸念し、アメリカ国内での利用を禁止する方針であることをメディアに発表したのだ。
Varietyによると、これに対しTikTok側はトランプ大統領を起訴する準備を進めているという。この起訴では、大統領が同アプリの使用を禁じると言った行為は憲法に違反しており、実行されるべきではないと主張するという。
またTikTokは、同社の意見が全くもって政権に聞き入られなかったとし“国家緊急事態”を宣言すると主張。これは米国憲法で定められた言論の自由権利の侵害であり、アプリのコンピューターコードは一種の表現であること、そしてそれは合衆国憲法修正第一条にて守られるべきであることを訴える。また同アプリ使用禁止命令は政権が持つの権力を超えているとも主張している。
TikTokは声明で「まず明確にしたいのは、私たちは訴訟よりも建設的な会話をはるかに望んでいます。しかしアメリカで使用禁止をするという脅しに対しては、選択の余地がありません。この大統領命令で、1万人ものアメリカ人の仕事が失われ、このアプリでエンターテインメントや繋がりを楽しみ、生計を立てる何百万人もの人々に危害を加えます」と綴った。
2020年7月の時点では、TikTokは毎月約7億人ものアクティブユーザーがいることがわかっている。ダウンロード数は累計で20億回以上にものぼる。
先日、TikTokアメリカ支部のゼネラルマネージャーであるヴァネッサ・パッパスは、SNSを通じてトランプ大統領の意向に対する反論のビデオメッセージを投稿した。「毎日TikTokを利用してくださっている何百万人というアメリカ人ユーザーの方々に感謝したいです。彼らは私たちの日常生活に創造性と喜びをもたらしてくれています」「私たちはどこへも行くつもりはありません。TikTokはクリエイターたち、そしてアーティストたち自身のアイディアや、違ったバックグラウンドの人々とのつながりを持てるホームであり、私たちはTikTokを彼らのホームだと呼ぶ様々なコミュニティーをとても誇りに思っています」と、撤退するつもりはない意向を示していた。
アプリ会社が一国の政権を訴えるという異例の事態。今後の展開はどうなるのか・・・。