ディズニープラスにて、プレミアム配信されているディズニー実写化映画『ムーラン』。本作の撮影ロケが、イスラム教徒を拘束しているとされる新疆ウイグル自治区にて行われていたことが発覚し、批判の声が上がっていたが、その論争についにディズニーが反論した。
ディズニー・アニメーションの傑作『ムーラン』の物語を空前のスケールで実写映画化した本作は、愛する父の身代わりとなり、男性と偽って兵士となったムーランをを描くファンタジー・アドベンチャーだ。
ディズニーは本作のエンドロールの中で、ウイグル人やカザフ人等のイスラム教徒を100万人規模で弾圧しているとされる地域にある複数の中国共産党機関に謝意をのべていた。その中には、人権侵害に加担したとされるトルファン市の公安局も含まれていたという。これにより批判が殺到した。
先日、ディズニーの映画制作社長であるショーン・ベイリーは、この地域で撮影するという決定を擁護した。ベイリー氏の声明は、英国議会議員のアイアン・ダンカン・スミスからの批判の書簡に対する回答として発表された。
Disney's corporate policy does not appear to care about the human rights issues affecting the #Uighurs. It seems human rights come second to the corporate policy of not upsetting China. (2/2) pic.twitter.com/3wXVQLuVOf
— Iain Duncan Smith MP (@MPIainDS) October 8, 2020
スミス氏がツイッターで公開したベイリー氏の回答には、「映画製作では、経済性、物流、アクセスのしやすさ、俳優のスケジュールの可能性、信憑性など、映画をどこで製作するかを決定する際に、いくつかの要因が考慮されます。この時代劇のために中国のユニークな地理と風景を正確に描写するため、プロデューサーは、新疆省のクムタグ砂漠を含む全国20箇所のランドスケープを撮影することを選択しました。砂漠の風景の歴史的な撮影は、ニュージーランドでの143日間の撮影と比較して、4日間の短い期間で行われ、映像は1時間55分の映画の78秒で構成されています」と説明した。
さらには、「このケースでは、米国に拠点を置く映画スタジオと幅広く仕事をしてきた民間企業であるBeijing Shadow Times Culture Co., Ltdが、中国での制作関連サービスの提供を請け負い、2017年に州や地方の政府機関への許可申請を開始しました。この間、英国や米国政府は、企業向けのリスクアドバイザリーを実施しておらず、同地域に関連する政策決定も行っていませんでした」「映画の制作期間中に様々な機関や個人から提供された協力、承認、支援を映画のクレジットに記載することは、世界中の映画業界で慣例となっています」と、中国での撮影許可の申請についてや、クレジットに載せた経緯についても説明した。
この声明文に対し、スミス氏は「新疆地方でのムーランの撮影に関しては、非常に(説明力に)欠けていて虚言に満ちています。現実は、ディズニーは単に中国を怒らせたくないだけで、中国の要求に屈し、それに立ち向かおうとしません。ディズニーの企業方針は、#ウイグル人に影響を与える人権問題を気にせず、中国を動揺させないという企業方針よりも、人権が二の次になっているようです」と痛烈に批判した。