昨年6月、歌手テイラー・スウィフトの過去の楽曲の権利を買収したマネージャーのスクーター・ブラウン。買収によりテイラー本人や業界から強いバッシングを受けていたが、今回その権利を売却したようだ。Varietyが伝えている。
昨年6月、テイラー・スウィフトがデビュー時から2018年まで所属していた、カントリー音楽に特化したレコード・レーベル「ビッグ・マシーン・レコード」が、ジャスティン・ビーバーなどを手掛ける敏腕マネージャーのスクーター・ブラウンの会社に約300億円で買収されたことがニュースに。これによりテイラーの過去の楽曲の権利は実質スクーターのものとなり、テイラーは自分が作った楽曲であるにもかかわらず自分の曲を自由に使えない、パフォーマンスできないなどの制限ができていたと言われている。
これにより、テイラー本人がスクーターらを強く批判。ファンやメディア、業界全体もこのことについて議論をすることとなった。
この事態から17ヵ月が経った先日、関係者はVariety誌に対しスクーターの会社「イサカ・ホールディングス」はこのビッグ・マシーン・レコードを別の会社に売却したと話した。この時点ではどの会社が買ったのかはまだわからないが、個人の投資ファンドで、330億円以上だと言われているビッグ・マシーン・レコード売却の契約は2週間で成立したという。
そしてこの報道の直後にテイラー本人がSNSを更新。長文で書かれた声明を出し、この売却騒動の裏でなにが起こっていたかを明確に説明した。
Been getting a lot of questions about the recent sale of my old masters. I hope this clears things up. pic.twitter.com/sscKXp2ibD
— Taylor Swift (@taylorswift13) November 16, 2020
この声明で「みんなにアップデートを伝えたいと思います」と書いたテイラーは、彼女のチームがスクーター側にこの1年間必死に交渉してきたことを明かした。さらにスクーター側は、“ビッグ・マシーン・レコードを買い取りたければ、スクーター・ブラウンの事に関してポジティブなこと以外何も言わない”といった内容の秘密保持契約にサインするよう求めてきたと明かす。スクーター側は見積もりなどすら見せてくれなかったそう。テイラーの弁護士は「こんな要求は、暴行を訴える人を黙らせる際に口止め料を払う時以外見たことがない」と言ったそうだ。
さらにテイラーは数週間前、彼女のチームに「シャムロック・ホールディングス」という株式会社から手紙が送られ、そこにはテイラーの音楽、ビデオ、アルバムアートをスクーターから100%買い取ったと書かれていたと明かす。テイラーは「自分の全く知らないところで版権が売買されたのはこれが二度目」と書いた。同社は彼女の版権を買収する前にテイラーに連絡を取りたかったというが、スクーターがそれを止めるよう指示。もしテイラーに連絡をしたら契約は結ばないと言ったという。
シャムロック・ホールディングスが100%買収したとはいえ、それでもスクーターはこれからもテイラーの過去の楽曲版権から利益をもらい続けることをシャムロック社から知ったというテイラー。シャムロック社と提携を結びたいが、スクーターが関わる限りはあり得ないと書いた。
加えてテイラーは「最近私は過去の曲を再レコーディングしていて、とても楽しいしクリエイティブです。みんなにはたくさんサプライズがあるよ。この事態に対するみんなのサポートに感謝します。みんなに早く私がしていることを聞いて欲しいな」と、再レコーディングしていると発表。「愛しています。世間では言うよね、クルーズし続けなさいって。テイラー」と締めくくった。
また彼女は「より明確にするため」と書き、今年10月28日にシャムロック社に送った返事の手紙の写真もつけて投稿している。
テイラーの版権が彼女の元を離れてしまっているのは、デビューアルバムを含む最初の6枚のアルバム。しかし法的にテイラーは、2020年11月以降であればこれらすべてのアルバムを再度録音しなすことができ、新たにレコーディングをしたアルバムの版権は自分で持つことができる。
彼女の今後の展開から目が離せない。