先日、名誉毀損裁判の敗訴がきっかけとなり『ファンタスティック・ビースト』の最新作『ファンタスティック・ビースト3(原題:Fantastic Beasts and Where to Find Them 3)』の降板を表明したジョニー・デップ。これにより、ジョニーの元妻であるアンバー・ハードを『アクアマン2』から解雇させるように請願書が作られるなどしていたが、アンバーがジョニーと同じ運命をたどる可能性は低いかもしれない。米ScreenRantが分析している。
ScreenRantによると、『アクアマン2』からアンバー・ハードを解雇させるためのファンの動きが活発化しているのにもかかわらず、ワーナー・ブラザーズは、彼らがジョニーに『ファンタスティック・ビースト3』を辞任するように求めたように、彼女を解雇したり、辞任する要求をしたりすることができないという。これは、さまざまな法律が絡んできてしまうようだ。
ジョニーの『ファンタビ3』降板のワケ
ジョニーは、今年7月に行われた英メディア「ザ・サン」誌に対する名誉毀損裁判に敗訴した。ここで勘違いしやすいのだが、アメリカと英国の名誉毀損法には違いがあることに注意が必要である。アメリカの裁判所では、人格の名誉毀損事件の立証責任は原告にあり、一方で、英国の裁判所では、立証責任は告発されたジャーナリストにある。そのため、英国では記者が悪意を持って活動していなかったことを証明しなければならないだけでなく、報道の正確性も証明しなければならない。調査記者に対する民事訴訟の多くがイギリスで起こされているのはこのためで、名誉毀損法や裁判所は訴訟を起こす側に有利な傾向にあるという。
しかし、この裁判で「ザ・サン」誌が勝訴。アンバー・ハードが主張した14件の具体的な虐待疑惑のうち、ニコル判事の法的見解では、そのうち12件については立証責任が満たされていた。この結果により、ワーナー・ブラザーズがジョニーに“辞任するように頼んだ(彼を解雇したが、平和的に去るようにジョニーに選択肢を与えた)”後、ジョニーは自ら『ファンタスティック・ビースト』シリーズから去ることを表明したと報道されている。
なぜワーナー・ブラザーズはアンバーを解雇できない?
ジョニーの辞任を受けて、アンバーに対抗する動きが活発化し、『ジャスティス・リーグ』のスナイダー・カットや『アクアマン2』など、今後のDCEU映画で彼女がメラ役を演じるのを外そうとする動きが強まっている。すでに『アクアマン2』からアンバーの解雇を求めるファンの請願書には100万人以上の署名が集まっているのだ。では、なぜワーナーはジョニーと同じようにアンバーに辞任を求めることはできないのだろうか。それは通常、スタジオが俳優との契約を破棄することは、刑事告訴されない限り不可能であるからだ。そして世論がアンバーを虐待者だと判断したとしても、彼女に対する民事判決が出ていないため、スタジオ側がアンバーに辞任を求めることができないという。
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ジョニーがアンバーに対する民事訴訟で勝訴し、彼女が嘘をついていたことなどが、アメリカの裁判所が納得するまで証明することが今後あれば、この状況は変わるかもしれないと分析されている。現時点で確実なのは、この問題がすぐにでも解決される可能性は低いということ、ただそれだけだ。