2019年に公開された『スター・ウォーズ』続三部作の三作目『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』には、2017年の前作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』に登場したストーリーや設定を破ったり、無視しているのではないかと思われる部分がある。その中には、きわめて重要なメッセージも含まれていたのだ。
たとえば、『最後のジェダイ』において、ヨーダのフォースゴーストがルークに語りかけるシーン。ヨーダは「失敗こそが最大の教えである」とし、失敗を乗り越えて成長したものがジェダイマスターであると説いた。
これは『最後のジェダイ』だけでなく『スター・ウォーズ』シリーズ全てにおいて核となる要素と言えるだろう。見る人の心にも訴えかける、きわめて重要で美しいシーンだ。ルーク自身の物語の中でも最も貴重な瞬間であり、シリーズ全体のテーマとも言える。また、レイが失敗を重ねて成長するための土台にもなっていた。
ところが、『スカイウォーカーの夜明け』に中では、レイが自身の失敗と向き合わなければならない場面でも、そこから学んだことがほとんどなかったのだ。ルークはパルパティーンを倒すようにと、レイにライトセーバーを手渡したが、これ自体は過去におこなわれたことを単純に繰り返しているだけなのだ。
『最後のジェダイ』の中で、悪役のカイロ・レンが「Let the past die.(過去を葬れ)」と言い放つシーンがある。このセリフにより、ヨーダがルークに伝えた「過去とは、そこから学び、築き、前進させ、必要のないものを取り除き、うまく活用させるためのものだ」という教訓を際立たせている。一方『スカイウォーカーの夜明け』はただ過去を美化し、懐かしさに浸るばかりで前進していると思えない。ある意味、「過去を葬り去る」ことができていなかったのだろう。