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尻切れとんぼドラマ近況報告 「グッドガールズ4」3月7日プレミア、「NYガールズ・ダイアリー5」更新

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デトロイト労働階級の「日常」と「非日常」が共存するシーズン4。左からルビー(レタ)、ベス(クリスティーナ・ヘンドリックス)、アニー(メイ・ウィットマン)は相変わらず偽札偽造に勤しむのか?

昨年12月18日「益々猛威を振るうパンデミックに翻弄される米テレビ業界 ― ドラマ編」、12月11日「益々猛威を振るうパンデミックに翻弄される米テレビ業界 ― コメディ、ドラメディー編」でご紹介したコロナ禍の犠牲となり尻切れトンボで終了、次シーズンの再開日未定、あるいは更新自体が危ぶまれていたドラマ/コメディ/ドラメディーの最新情報をお届けします。

「グッドガールズ:崖っぷちの女たち」

NBCは、来たる3月7日(日)の午後10時にシーズン4を再開すると発表しました。

上記の記事にも書きましたが、シーズン3の12話の1シーンのみ未撮影の時点で撮影中止となり、11話をフィナーレ回として放送せざるを得なくなった「グッドガールズ」です。予定通り、シーズン3の12話~16話を内容や展開を変えることなく10月末から撮影して、シーズン4のプレミアに向かってまっしぐらが功を奏したのに違いありません。来たる3月7日、シーズン4の再開が可能になった模様です。気になるのは、メイ・ウィットマン(アニー役)が逸話監督デビューを果たせたのか?ですが、プレスリリースでは触れられていません。

リオ(マニー・モンタナ)を抹殺するしか生き残る道はないと、仲良し三人組は、手を替え品を替え、必殺仕置人を探し当てるのですが、リオは健在のまま、シーズン3が終了となりました。更に、ターナー捜査官が狙撃された後、偽札偽造の本家本元を嗅ぎ分けて、ドネガンFBI捜査官(ローレン・ラプカス)の捜査の手が忍び寄る. . .ジャジャーンで終わりましたが、ソロソロ決着をつける潮時ではありませんか?シーズン3でさえ、私は「もう勝手にして!」の境地に落ち込んでいたので、有終の美を飾って欲しいと祈っていますが、プレスリリースにはそんなことはおくびにもだされていません。まだまだ、この蟻地獄を続けるつもりでしょうか?「グッドガールズ3」については、2020年5月20日に掲載した「『グッドガールズ:崖っぷちの女たち3』蟻地獄から這い出せなくなった3人を観るのが辛い!?と言うより、一旦ヤクザな商売に手を染めると、決して堅気には戻れないと悟ると、もう勝手にして!と思うから不思議」を参考にしてください。

「グッドファイト」

[左からデルロイ・リンド(エイドリアン・ボウズマン役)、クリスティーン・バランスキー(ダイアン・ロックハート役)、クッシュ・ジャンボ(ルッカ・クィン役)。シーズン5には、リンド、ジャンボ、いずれの姿も見られないのは残念だ。]

昨年5月14日にシーズン5更新が発表された「グッドファイト」ですが、制作できなかったシーズン4の8~10話は当然没になりました。コロナ禍でパラダイムシフトした上、今年1月に就任したバイデン大統領による民主主義復興を目指す「ニューノーマル」が到来しました。しかし、今後50年かけても、元通りに戻すことは不可能だと言われているトランプの置き土産(悪・不正・不祥事)や、トランプを教祖と崇めるカルト教団の信者達(主に白人至上主義者や福音主義者など)のあり得ない盲信・盲従行為は尽きることがありません。今年1月6日の連邦議会襲撃事件が、その好例です。まだまだ、何が起こるか分からない不安なご時世ですが、「唸るほど面白い、深く考えさせるドラマ」を生み出す長年の実績を持つクリエイターのキング夫妻のことです。「グッドファイト」シーズン5に多大なる期待を寄せても良いでしょう。最も気になるシーズン5のプレミア日は、2022年と憶測されますが、前半なのか、後半になるのかは未だに不明です。

残念なのは、エイドリアン・ボウズマン(デルロイ・リンド)とルッカ・クィン(クッシュ・ジャンボ)の好演をシーズン5は観られないことです。2021年1月27日、米オンライン・エンターテイメント誌「デッドライン」の独占記事が、ジャンボに代わって、チャーメイン・ビンワが登板したと報道しました。ビンワは、レディック・ロックハート法律事務所のクライアントに立ち向かう気力も能力も備えた、タフな叩き上げカルメン・モヨを演じます。

「グッドファイト」も10話制作を予定していたものの、コロナウィルスで制作・撮影がが中断され、第7話を以ってシーズン4を終了せざるを得なくなりました。第7話は、ジェフリー・エプスタインの収監先での怪死を捜査する、少々毛色の違う逸話だったため、完全に尻切れトンボに終わらない工夫が凝らされたことは、昨年12月18日「益々猛威を振るうパンデミックに翻弄される米テレビ業界 ― ドラマ編」でお伝えしました。以前、これだけ反トランプを如実に描いて、訴訟大好き人間トランプに訴えられないのが不思議と書きましたが、シーズン4フィナーレ回で取り上げた故エプスタインの弁護士を務めたこともあるアラン・ダーショウィッツから「グッドファイト」のプロデューサーや放送局ViacomCBSが名誉毀損で訴えられていたことが明らかにされました。現実には、ダーショウィッツはエプスタインのセックス奴隷からマッサージを受けたと証言しているにも関わらず、フィナーレ回に登場する架空のダーショウィッツを毛嫌いしている弁護士に「弁護士の風上にも置けない輩」と名誉を毀損されたと言うものです。因みにダーショウィッツは、性犯罪裁判で著名な被告人を弁護することで名を馳せた弁護士ですが、何しろ82歳!現実とフィクションの区別が付かなくなったとしか思えない訴状内容には、笑ってしまいました。

余談ながら、ジャンボは「The Beast Must Die」(ニコラス・ブレイク著の邦題「野獣死すべし」)をドラマ化したBBC作品で熱演しています。AMCケーブル局で今春デビューするため、現在進行中の2021年冬のTCAバーチャル・プレスツアーでパネルインタビューが予定されている作品で、2話まで観ました。ジャンボは、ルッカのあっけらかんとしたドライなキャラとは正反対の、復讐に燃える母親役です。

 

「NYガールズ・ダイアリー 大胆不敵な私たち」

視聴率低迷やダイバーシティ欠如など数々の理由で、更新が危ぶまれていた「NYガールズ・ダイアリー」。詳しくは、12月11日「益々猛威を振るうパンデミックに翻弄される米テレビ業界 ― コメディ、ドラメディー編」を参照してください。

1月27日にFreeform局からプレスリリースが送られて来て、シーズン5制作に入ったこと、但し5でシリーズ完了となることが判明しました。前途多難と見られていましたが、バーチャル本読み初日の動画も送られて来たことですし、どうやらキャット役アイシャ・ディーが要求した「抜本的調整」が講じられた模様です。

但し、この作品もいつ頃、お目見えするのかは不明のままの、何とも的を得ないプレスリリースです。「ジェーン、キャット、サットンの3人が成長し、それぞれの道を選んで歩き始める」な~んて、そんなこと最初から分かっていますよ。

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