人気歌手ビリー・アイリッシュのドキュメンタリー「ビリー・アイリッシュ:世界は少しぼやけている(原題:Billie Eilish: The World’s a Little Blurry)」は、多くのことを伝えてくれた。
2月26日にApple TV+にて配信されたこの番組では、天才と呼ばれる人間が音楽業界で世界的なスターダムにのぼりつめる様子が描かれていた。同時に、自立しようとする1人の少女の成長物語でもあった。さらに番組の中で公開された大ヒットアルバムの製作過程は大変魅力的であったし、コンサート映像のようでもあった。
ドキュメンタリーといえば、先月5日に放送された歌手ブリトニー・スピアーズの番組「Framing Britney Spears(原題)」も大きな話題となった。そして2つの番組を通して、卓越した才能を業界がどのように扱ってきたのか、その変化を感じさせる内容になっていた。
今回ビリー・アイリッシュのドキュメンタリーで監督を務めたR.J・カトラーは、ビリーを17歳のころから追い始めた。
17歳のビリーといえば、アルバム「ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?」の製作をしながら、運転免許の試験も受け、ボーイフレンドとの関係に悩み、その中で多忙なツアースケジュールによるプレッシャーと闘っていた。その1年間に、彼女は運転免許の取得とグラミー受賞という夢を叶え、誰もがうらやむような高みにいながら、ツアーによるケガや、年配男性が多い業界での居心地の悪いやりとりなど辛い時期も経験した。
この番組を見て、「彼女はこのままで大丈夫なのだろうか?」と心配になった人もいるのではないだろうか。
放送の1時間前、監督のR.J・カトラーはE!ニュースの取材に対し、「ブリトニー・スピアーズについて、彼女の歌の功績以外に知っていることは何もないよ。でもビリーのことはよく知ってる。すばらしいサポートシステムと基盤があることもね。それはこの番組の中でほのめかされているだけではない。この番組の主題なんだ。彼女の両親は常に彼女のそばにいて、彼女の周りにはいつも家族がいる。人生の早い段階で勢いに乗って、大きな成功をおさめた若者にありがちな落とし穴を回避するために様々なツールを提供するという、大きな役割を果たしている」と彼女の成功に裏に家族の存在があったことを明かした。
その上でカトラーはこの番組について、「もちろん、これは1人の世界的な有名アーティストの成長物語だ。でも、普通の女の子の成長物語でもある。ハイランドパークに住む、たぐいまれな才能を持った普通の女の子がそれを開花させるために一生懸命努力する。そんな彼女には、実の兄という最強の相棒がいる。そして、そんな兄妹に大きな愛情を注ぐ両親も。そういうストーリーなのさ」と語った。