“ルーカス”といえば、誰もが思い浮かべるのがあの壮大なスペースオペラ『スター・ウォーズ』シリーズの原作者、ジョージ・ルーカスだろう。彼の映画は誰もが認める大成功をおさめていたが、実はそれを上回る功績を上げた人物がいる。
ジョージ・ルーカスはかつて『アメリカン・グラフティ』と『スター・ウォーズ』でアカデミー賞優秀監督賞と優秀脚本賞にノミネートしていたが、最優秀に選ばれたことはなかった。ところが彼の家族のうち1人が、オスカー像を手にしていたのだ。
その人物とは、ルーカスの最初の妻マルシアだ。1978年、彼女は『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』にて、アカデミー賞最優秀編集賞に選ばれた。1983年のインタビューでマルシアは、「私は編集がすごく好きなの。そして、才能もあると思っているわ。本能的に、いい素材をみつけ、よりいいものを作り上げたり、悪い素材でもそれなりに仕上げることができるの。まるでとりつかれたようにね」と語っている。
[PR]1969年にルーカスと結婚したマルシアは、ルーカスの頼みで『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の編集を担当。作品を感情にあふれたエキサイティングなものへと変貌させた。
彼女がたずさわったのは編集だけではない。ルーカスが作り上げるストーリー展開において、オビ=ワン・ケノービはダース・ベイダーによって命を奪われるべきだとアドバイスしたのもマルシアだった。ときには矛盾点を指摘し、ときには励まして、脚本に取り組むルーカスをサポートしたのだった。映画の公開後マルシアは一線を退いたものの、ルーカスへのアドバイスは続いていたようだ。
しかし映画が成功をおさめ、『スター・ウォーズ』が大きく展開していくのと同時に2人の結婚生活にかげりが見え始める。そして1983年6月、2人の離婚が正式に発表された。
マルシアとの破局は、『スター・ウォーズ』作品にも大きな影響を与えた。2013年、ルーク・スカイウォーカーを演じていたマーク・ハミルはあるインタビューで、マルシアと離婚したあとの作品は「まったく別物になってしまった」と語っている。
さらにルーカスが身を引いた『スター・ウォーズ』続三部作以降のファンの反応を考えると、マルシアがバラバラになった銀河をまとめあげる役割をしていたといっても過言ではないだろう。