『スター・ウォーズ』のなかで最も印象的で人気のある要素といえば、「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」から始まるそのオープニングロールだろう。『スター・ウォーズ』の舞台が過去の銀河系であることがはっきりとわかる一文だ。しかし原作者のジョージ・ルーカスは当初、作品の舞台を過去にするつもりではなかったという。
『スター・ウォーズ』シリーズは1977年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』からスタートした。この作品ではシリーズの肝となるルーク・スカイウォーカーやレイア・オーガナ、ハン=ソロ、ダース・ベイダーといった主要なキャラクターが続々と登場した。
その後『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』へと続き、オリジナル・トリロジーと言われるこの作品たちはアナキン・スカイウォーカーがダース・ベイダーになるまでを描くプリクエル・トリロジーや新世代のヒーローと悪役を描いたシークエル・トリロジーへと物語を展開させていった。
[PR]そのどの作品も、オープニングは「遠遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」という青い文字で始まり、観客たちはストーリーの概要を知ることができるだけでなく、これから時代も場所もまったく異なる世界へ導かれるんだというワクワクした感情を抱くことができた。
ところがジョージ・ルーカスは当初、この物語の舞台を全く別の時代の、より「身近」な設定で作ろうとしていたというのだ。
これまでにも様々なエッセイなどで明かされてきたが、なんとルーカスは当初、舞台を33世紀の天の川にある地球以外の星に設定していたのだ。『新たなる希望』も制作初期の段階ではルーク・スカイウォーカーは「サムライのようなスーパー戦士」で、モス・アイズリーは「ゴードン」と名づけられていた。さらにジェダイの武器は「レーザーソード」という名で、ドロイド達も登場する予定はなかったというのだ。
このような大幅改編は、壮大なシナリオや様々なキャラクターが交錯するストーリーではよくあることだ。『スター・ウォーズ』シリーズも、作品を成功させるべく何度も脚本が書き直され、そのどこかのタイミングで33世紀の設定はなくなり、舞台は天の川ではなく、はるかかなたの銀河系へと移った。結果として、SF映画にありがちな未来を描く作品とは一線を画す存在となり、世界中の人々に愛されるスペースオペラへと成功したのだった。