コロナ禍が原因でこのところ増えつつある、アジア系米国人を標的とした憎悪犯罪(ヘイトクライム)。今回70歳の高齢女性が男に襲撃されたが、猛反撃をし、男は担架で運ばれる結末となった。
CBSによると事件が起きたのは米時間3月17日の朝10時半、サンフランシスコのマーケット・ストリート付近。70歳のアジア系女性を、30代と見られる白人の男が襲った。その場にいた目撃者が撮影した動画では、女性は取り乱し、手には木の棒のようなものを持っている。彼女は片目を負傷し氷のようなもので冷やしている。
目撃者が撮った動画(ケガの部分が映り込みます。視聴には十分注意してください)
一方で白人の男はこの高齢女性の反撃により負傷。頭から血を流し、救急隊の担架の上で寝ており、手には手錠がかけられている。目撃者によると、女性は襲撃してきた男を殴り返していたという。
同誌によると、襲撃者と被害者はふたりとも病院へ運ばれ、治療を受けたという。
この動画で女性は中国語で「この野郎、なんで私を殴ったんだ」と男に向かって叫び、その後は集まった目撃者たちに「この男が殴ってきたんだ」と繰り返し説明した。さらに彼女は電柱に寄りかかってただ立っていたところ、男に突然殴られたことも話している。
サンフランシスコ警察は現在この男を取り調べ中だが、男が女性を襲った理由として人種が関係あるかどうかはわかっていない。また同じ日の朝、別の83歳のアジア系男性が襲われた事件もあり、同じ男が犯人かどうか調査中だという。
現在アメリカでは、新型コロナウィルスの感染拡大を原因とし、アジア系の人種に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が多発している。
3月16日には米ジョージア州アトランタにあるマッサージ店3か所で発砲が相次ぎ、8人が殺害されるという悲劇が起こった。死者の多くはアジア系女性であった。ジョー・バイデン大統領は先週の演説で、「アジア系アメリカ人を襲い、嫌がらせをし、非難し、スケープゴートにする悪意に満ちたヘイトクライム」を糾弾していた。