映画撮影の際に最も重要と言えるのが、キャスティングだ。過去の大ヒット作品の中で、主演がもともとキャスティングされていた俳優と別の俳優に変わるということは少なからずある。今回は主演俳優が交代した作品や、その理由などをご紹介する。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)
公開するやいなや大ヒットとなり、今でも熱烈なファンが多いSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』。主演のマーティをマイケル・J・フォックスが演じ、もはや彼以外のマーティは想像できないほど板についている。
同役にはもともとマイケル・J・フォックスが候補にあげられていたが、当時マイケルはドラマ「ファミリータイズ」のレギュラーを持っておりスケジュール的に厳しかったため、『バタフライ・エフェクト』などで知られる俳優のエリック・ストルツが起用された。彼を主演とした『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は5週間の撮影期間で三分の一ほど撮り終えていた。
しかしストルツは、ドクとの掛け合いでの違和感などの理由から撮影開始から6週間で降板させられてしまったのだ。監督のロバート・ゼメキスは再度「ファミリータイズ」のプロデューサーに掛け合ったところ、「ドラマ撮影を優先する」といった条件で最終的にはマイケルを主演として落ち着いた。
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)
映画史に残る大ヒットを記録した『ロード・オブ・ザ・リング』の三部作。このシリーズでアラゴルン役を演じたのはヴィゴ・モーテンセンであったが、もともとは『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』など出演のスチュアート・タウンゼントがこの役にキャスティングされていた。
彼は、同作の撮影を開始のたった数日後に降板となった。理由は監督が「彼はこの役には若すぎる」と判断したため。そのごヴィゴ・モーテンセンが同役につき、彼の代表作のひとつとなった。
スチュアート・タウンゼント
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『X-MEN』(2000年)
俳優ヒュー・ジャックマンのブレイク作となった『X-MEN』。しかし撮影開始当初は、ドラマ「デスパレートな妻たち」のイアン役などで知られる俳優のダグレイ・スコットが主演として決定していた。しかし当時かなり多忙であったダグレイは他のプロジェクトが長引き、X-MENの撮影に参加できなくなってしまう。そこでこの役はヒュー・ジャックマンに渡り、今ではヒューはトップ俳優の一人となった。
『パニック・ルーム』(2002年)
女優ジョディ・フォスターが主演のサスペンス映画。しかしもともとはニコール・キッドマンが主人公役にキャスティングされており、撮影も途中まで進んでいた。
しかしニコールは同作の撮影中、ヒザにヒビが入るケガを負ってしまった。彼女は映画『ムーラン・ルージュ』の撮影中でも同じ場所を負傷していた。これが原因でニコールは撮影継続が不可能になり、ジョディ・フォスターへと交代。当時彼女は自身が監督として映画を撮影する予定であったが、出演者であるラッセル・クロウが負傷し撮影が中止になったため、スケジュールの都合もよかったのだとか。
これらのどの作品も、今ではなかなか別の俳優が演じているところを想像するのは難しい。しかしこれらのトリビアを知って再度映画を見ると、また視点が変わるかも・・・?