イギリス大衆紙「サン」が俳優ジョニー・デップのことを「DV夫」と表現した記事について、アンドリュー・ニコール判事は「おおむね事実」と認定。名誉棄損だとして同紙を訴えていたジョニー・デップはこの判決をくつがえすべく、英控訴裁判所に上訴していたが、棄却されることとなった。
先週行われた聴取にて、デップの弁護側は元妻アンバー・ハードが離婚和解金700万ドル(約7億6000万円)を寄付するとしていた件について、新たな証拠を出すように求められていた。デップの弁護士アンドリュー・カルデコットがアンバー・ハードのこの主張を「計算され、操作されたウソだ」と訴えたからだ。
確かにアンバーは、2016年に2人が離婚した際、和解金700万ドルはロサンゼルスのこども病院やアメリカ自由人権協会(ACLU)に寄付すると語っていた。しかしアンドリュー・カルデコットによると、実際に寄付されたのはこども病院に10万ドル(約1000万円)とACLUに45万ドル(約4900万円)のみだったという。なおアンバー自身は、この後さらに50万ドル(約5100万円)を寄付したと主張している。
カルデコットはアンバーのこの行為を「人間としての信頼性を向上させるためのものだ」とし、「裁判冒頭からジョニーへの見方を一変させた」と語った。そして、「全額寄付すると主張したことでアンバーへの印象が変わり、それが判決に影響したのではないか」と付け加えた。
なおアンドリュー・ニコール判事は、デップがアンバーのことを「金目当ての女」と表現したことについても、「金目当てであれば、和解金を寄付するはずがない」として棄却している。
一方サン側の弁護士アダム・ウォランスキーは、ジョニーが提出した新証拠は「判決に大きな影響を与えていない」としている。ジョニーがアンバーのことを「金目当て」と言及したことは彼女の寄付行為と矛盾しており、証拠として成立していないためだ。アダム・ウォランスキーはさらに、「アンバーに対し『金目当て』というレッテルを張ったのは女性差別的でもある。もはや絶望的だ」と付け加えた。
現地時間25日午前10時、ジョニー・デップの上訴は棄却されることが決定した。