ハリウッドの巨匠スティーヴン・スピルバーグが、アカデミー賞からのNETFLIXの配信作品締め出しを提言。波紋を広げている。
第91回アカデミー賞において、アルフォンソ・キュアロン監督作「ROMA/ローマ」の動向は大きく注目された。同作は劇場ではほぼ公開されず、NETFLIXでの配信のみリリースされた作品として、初めてアカデミー賞作品賞にノミネート。新しい形の「映画」として、その動向は多くの人から関心を集めた。
しかしそんな状況にスティーヴン・スピルバーグは意義を唱えた。彼はITVのインタビューで、「少数館での1週間に満たない公開作品は、アカデミー賞の候補になるに値しない」との見解を示した。ストリーミングサービスを介して公開される作品は、「テレビ映画」であると定義し、「オスカーではなくエミーを競うべき」と述べたのだ。
「ROMA/ローマ」の例を挙げると、同作はNETFLIXでの世界同時配信に先駆け、アメリカ国内の映画館で、3週間だけ限定上映された。現時点で、アカデミーを主催する映画芸術科学アカデミーは、1週間の上映をノミネートの条件にしており、「ROMA」はその条件を満たしているわけだが、スピルバーグは今後、このルールの改正を求めていく見通しだ。
こうしたスティーヴン・スピルバーグの発言に対し、NETFLIXは「劇場がない地域に居住する人々へ届ける」「どこにいても、誰でも、同じ時期に作品が解禁される」「フィルムメーカーに多くの機会を与える」ことを、「映画を愛すのと同じように」重要視していると反論している。
We love cinema. Here are some things we also love:
-Access for people who can't always afford, or live in towns without, theaters
-Letting everyone, everywhere enjoy releases at the same time
-Giving filmmakers more ways to share artThese things are not mutually exclusive.
— Netflix Tudum (@NetflixTudum) March 4, 2019
一方でDigitalSpyによれば、アカデミー賞側はストリーミング作品に関する新たなルール設定のための話し合いを続けており、4月に行われる理事会の行方が注目されている。スピルバーグが所有する映画会社「アンブリン・パートナーズ」の広報は、IndieWireに対して「ストリーミングと劇場では環境が大きく異なると、強く感じている」とスピルバーグの考えを代弁。上記の会議にて「賛同する方々が増えれば喜ぶことでしょう。彼は今後の成り行きを見守る考えです」と述べた。
俳優たちはこの議論をどう見ているのか?
最新作「トリプル・フロンティア」が、3月13日からNETFLIXにて配信されるベン・アフレックは、「映画や配給の未来を自身が定義すると自覚できるんだから、とてもエキサイティングだ」とAP通信に対して語り、NETFLIX側を擁護している。
「誰にも各自の意見があり、反論があることも理解している」としつつ、「NETFLIXとの仕事に関われることは、とても楽しいものだった」と語り、恵まれた環境であったことを強調している。
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