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2021年TCA賞最終投票済み 今年も1俳優/作品のみが残って、投票はスムーズに完了

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HBO Maxのヒット代表作となった「Hacks」。主演のジーン・スマートは、TCA賞に始まって、賞と言う賞を総ナメしそうだ。

コロナ変異株が7月2週目から猛威を振るっており、入院患者数が7割増と急増する中、7月17日からロサンゼルス近辺では、マスク着用に逆戻りとなり、夏場の開放感に水を差しています。デルタ株感染者の9割は、ワクチンの接種を拒否したにも関わらず、独立記念日の4連休にパーティーや人混みに敢えて参加した人達。カリフォルニアは、接種率50%と他の州に比べると高いにも関わらず、デルタ株感染率が跳ね上がったこともあり、まだまだ油断禁物の今日この頃です。やはり、良識人軍団と何を考えているんだか?軍団で米国を真っ二つに分断し、国境を管理する時が来たのでは?(笑)このような状況を予知していたのでしょうか、今夏のTCAプレスツアーも、8月~9月の5週間余りにバーチャル・プレスツアーとして開催されます。この調子で行くと、来年早々のプレスツアーもバーチャルとなるかも知れません。

例によって例の如く2021年TCA賞ノミネーション(各カテゴリーに4俳優/作品を挙げる)の第一次投票は、6月10日に締め切られました。今年は、私の天の邪鬼を存分に活かして、人気・話題性の高さを完全に無視、私が納得した俳優/これは面白い!と思った作品をあーでもない、こーでもないと捻り出したので、かなり困難を極めました。かつてのケーブル局のように、ターゲットが極端に絞り込まれ、超ブティック化しているため、私好みの作品の絶対数が減少しているような気がします。昨年と同様、1カテゴリーに投票したい俳優/作品が1人か1作品あれば、儲けもの!となりました。

と言う訳で、今年はTCA賞最終候補俳優・作品を網羅し、私がTCA賞に最終投票した俳優・作品を一番上に太字で表示しました。さらに、去年とは嗜好を変えて、エミー賞候補とどれだけ重複しているか、あるいは各団体の好みが如何に違うかも見て頂きたいと思います。但し、TCA賞とエミー賞では、カテゴリーが大きく異なります。個人功労賞はドラマとコメディ部門にのみ二分し、女優・男優、主演・助演を問わない点に、ご留意ください。

*個人功労賞ドラマ部門

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
アニャ・テイラー=ジョイ 「クイーンズ・ギャンビット」
ミカエラ・コーエル 「I May Destroy You」
イーサン・ホーク 「The Good Lord Bird」
スソ・ムベド 「地下道~自由への旅路~」
エリザベス・オルセン 「ワンダヴィジョン」
Mj・ロドリゲス 「POSE/ポーズ」
オマール・シー 「LUPIN/ルパン」
ケイト・ウィンスレット 「Mare of Easttown」

配信開始が2020年10月だったので、記憶に新しくないと言うハンデがあるものの、アニャ・テイラー=ジョイの「クィーンズ・ギャンビット」しか考えられないファンは多い筈。因みに私はベスを養女にしたアルマを演じたマリエル・ヘラーもこのカテゴリーに投票した。(c) Phil Bray/Netflix

*個人功労賞コメディ部門

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
ジーン・スマート 「Hacks」
ボー・バーナム 「Bo Burnham: Inside」
ケイリー・クオコ 「フライト・アテンダント」
マヤ・アースキン 「Pen15」
レネイ・エリース・ゴールズベリー 「Girls5eva」
シャーロット・ニクダー 「Mythic Quest」
ジェイソン・サダイキス 「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
ハンナ・ワディンガム 「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」

「Hacks」でコメディの真髄を披露したデボラ役ジーン・スマート(左端)の年と言っても過言ではないほどの人気だ。因みに私はデボラのコメディを「今風にする」為に雇われたZ世代のエヴァ役ハンナ・アインバインダー(右端)もこのカテゴリーに投票した。(c) Jake Giles Netter/HBO Max

*最優秀ドラマ賞

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
「ザ・クラウン」
「ブリジャートン家」
「フォー・オール・マンカインド」
「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」
「ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路」
「マンダロリアン」
「POSE/ポーズ」
「Pバレー:ストリッパーの道」

今年の「ザ・クラウン」は、チャールズ皇太子(ジョシュ・オコナー)とダイアナ・スペンサー(エマ・コリン)の出会いから始まり、2人の問題だらけの結婚の行方が描かれている上、通常謎のベールに包まれたチャールズや王室側のダイアナ対策が明かされていて特に面白いシーズンだった。真偽の程はそこそことは思うものの、英国はNetflixが「フィクション」と明記していないことを問題視。

 

*最優秀コメディ賞

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
「Hacks」
「フライト・アテンダント」
「Girls5eva」
「Mythic Quest」
「Pen15」
「スーパーストア」
「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
「ゾーイの超イケてるプレイリスト」

「Hacks」はコメディ界の現状を、旧世代デボラ対Z世代エヴァのジェネレーションギャップを通して描く奥の深い内容で、しかも笑えて泣ける今年の傑出作品だ。(c) Jake Giles Netter/HBO Max

最優秀コメディ賞に挙がった8作品の半分は邦題が見当たらないと言うことは、基本的にコメディは日本に入ってくる率が低いと言う事です。尤も、「フライト・アテンダント」はコメディのレッテルを貼る事自体、問題があると思いますし(ほとんど笑った記憶がない)、「スーパーストア」や「ゾーイのイケてるプレイリスト」は、地上波局NBCが辛うじて候補に滑り込みセーフの快挙を遂げたことは認めますが、いずれもリストアップする程面白いか?と考えると. . .更に、「Girls5eva」(ティーナ・フェイ制作だから?)「Mythic Quest」「Pen15」も、コアファンの組織票ではないかと思ってしまいます。「シッツ・クリーク」が総ナメした2020年とは大違いです!

 

「フライト・アテンダント」はサスペンスドラマと言う触れ込みだが、呑んだくれのチャラい女キャシー(ケイリー・クオコ)の世界を股に掛けた破茶滅茶ドラマ。「HOMELAND/ホームランド」シーズン1を観た時と同様の極度の疲労感を覚えた(キャリーは精神疾患、キャシーはアルコール依存症と理由は異なるものの)割には、尻すぼみな結末にがっかりした。シーズン2も同様の破茶滅茶ドラマなのか?(c) Phil Caruso/HBO Max

 

*ミニシリーズ/限定シリーズ部門最優秀作品賞

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
「クイーンズ・ギャンビット」
「Bo Burnham: Inside」
「The Good Lord Bird」
「I May Destroy You」
「IT’S A SIN 哀しみの天使たち」
「Mare of Easttown」
「地下道~自由への旅路~」
「ワンダヴィジョン」

 

ミニシリーズ/限定シリーズの復活と共に、毎年過当競争が続くカテゴリー。正直言って、「クィーンズ・ギャンビット」と「Mare of Easttown」のパイロット版しか観たことがない。「ワンダヴィジョン」と「The Good Lord Bird」の存在は認めるが、残りの4本は初耳!評論家受けするニッチ番組なのか?(c) Phil Bray/Netflix

 

以下の2カテゴリーは、エミー賞には存在しません。従って、エミー賞候補のどのカテゴリー候補として挙がっているかは、末尾の(コメディ)、(ドラマ)、(ミニシリーズ)で表示しました。注目は、2020~2021年シーズンの最優秀作品賞のみ、「ハックス」か「クィーンズ・ギャンビット」のいずれに投票するか迷いに迷って、「クィーンズ・ギャンビット」にしました。

*2020~2021年シーズンの最優秀作品賞

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
「クイーンズ・ギャンビット」
(ミ)
「Hacks」
(コ)
「ブリジャートン家」
(ド)
「I May Destroy You」
(ミ)
「Mare of Easttown」
(ミ)
「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
(コ)
「地下道~自由への旅路~」
(ミ)
「ワンダヴィジョン」
(ミ)

*2020~2021年シーズンの最優秀新作賞

TCA Final nominees/shows
Emmy nomination
「Hacks」
(コ)
「ブリジャートン家」
(ド)
「フライト・アテンダント」
(コ)
「I May Destroy You」 」
(ミ)
「Mare of Easttown」
(ミ)
「Pバレー:ストリッパーの道」
「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」
(コ)
「ワンダヴィジョン」
(ミ)

 

エミー賞のコメディ部門に挙がった作品の中で最も驚いたのは、ゴールデングローブ賞の接待疑惑でケチがついた「エミリー、パリへ行く」です。何も考えずに、文句なく楽しめるし、映像が超美しいロマコメだったので、私はTCA賞にノミネートしたかったのですが、何かの折に「『エミリー、パリへ行く』に投票したって?評論家の風上にも置けない!」と、吊し上げにあう可能性が高いので、控えてしまいました。無記名投票の筈ですが、触らぬ神に祟りなし!です。自由気ままに自分が良いと思ったものに投票できない、遠慮してしまうなどと言うのは妙な話です。尤も、TCA賞は内輪だけで楽しむ授賞式(放送しない)と言うこともあり、外部やSpecial Interest Group(特定の主旨や興味を持った人たちが集まって、問題解決を追求する組織や団体。以降、SIGと省略。)からの圧力がないだけ、自由と言えば自由ではありますが、裏を返せば、知名度も影響力もないと言うことです。(笑)

業界誌「ハリウッド・レポーター」6月23日号に「An Open Letter to Emmy Award Voters」と題した人目を引く広告が掲載されました。エミー会員に物申すと言うタイトル通り、「これまで完全に無視されてきた少数派グループにスポットライトを当てる時が来た!歴史的一歩を踏み出す勇気は、テレビアカデミー会員の手中にある」で始まるこのキャンペーンは、LGBTQ擁護40団体が協力して出した所謂嘆願書です。

ドキッとする効果満点の嘆願書。上のコピーでは、文章自体は白に見えるが、実物は赤紫色のバックグラウンドの所為か、文字はブルーに見えて、更に衝撃的。思わず、読んでしまった。

 

今年6月に「POSE/ポーズ」が完了し、エイズ感染者のキャラは皆無となり、トランスジェンダーのレギュラー出演キャラは21人に急減してしまったこと、「POSE/ポーズ」が社会に如何に貢献したか、又歴史的にトランスジェンダーのコミュニティが暗闇に閉じ込められ(差別、嫌悪、無視等々)、100年余りに渡り、トランスジェンダー文化を正しく描写した映画やテレビは皆無であることを指摘します。

2019年、「POSE/ポーズ」でビリー・ポーターがゲイの黒人として初のエミー賞を受賞し、最優秀ドラマ賞にもノミネートされましたが、今年が受賞の最後のチャンスなので、エミー会員に同番組に出演したトランスジェンダー女優/男優、ノンバイナリーにも受賞の機会を与えてください!と嘆願しています。更に、世間ではいまだにBLMに注目が集まっていますが、第73回エミー賞には、Mj・ロドリゲス、ドミニク・ジャクソン、インディア・ムーア、ヘイリー・サハル、アンジェリカ・ロスなどに該当カテゴリーの賞を「授与するべき」だと促します。ピーボディ賞を始めとして数々の名誉ある賞を受賞した「POSE/ポーズ」は、今人類が取り組まなければならない題材=トランスジェンダー嫌悪、同性愛嫌悪、人種差別、ホームレス問題、貧困問題、暴力沙汰、有色人種ゲイの言い分、エイズ問題などを積極的に描いてきましたが、実社会でも挑戦する必要があることを、エミー賞授与という形で世に知らしめて頂きたいと締め括っています。

しかし、ビリー・ポーターが最優秀男優賞に、Mj・ロドリゲスが最優秀女優賞、シリーズは最優秀ドラマ賞、最優秀脚本賞、最優秀監督賞等々、全9部門にノミネートされるだけに終わってしまいました。いつも、この手のSIGからの圧力は逆効果ではないかなと思っていましたが、各擁護団体の要求を鵜呑みにしていたら、この手の授賞式の本来の意味が完全に消滅してしまいます。例えば、2020年の米国の人口は、白人60.1%、ラテン系18.5%、黒人12.2%、アジア系5.6%、その他3.6%です。エミー賞もこの割で決まるなら、味気ないし、会員の投票は無意味です。各擁護団体が保護したい人種、宗教、ライフスタイルなどが受賞者・作の数として反映されなければ、誰も満足できないと言うのなら、こんな賞自体失くしてしまった方が、潔くありませんか?本当に、世知辛い世の中になってしまいました。

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