アメリカのある日本食レストランが、TikTokの動画がバズったことで大盛況に。しかし店の料理人が、ある不満を漏らしている。
1996年、本間学氏はデンバーに日本食レストラン「DOMO」をオープンした。以降25年間にわたり、彼は現地の人々に食事だけでなく文化的にも豊かな体験を提供し続けている。
客は和風に装飾された店内、または日本庭園を模した屋外で食事ができることも、人々を魅了してきた理由の一つだ。2021年にはザガット誌が全米で5本の指に入る日本食レストランとして紹介し一躍地元の有名スポットとなったが、SNSの威力は想像を超えるものだったようだ。
今年7月、動画共有アプリTikTokに投稿された一本の動画。この動画ではDOMOレストランの様子が15秒ほどにも満たない長さで紹介されていた。ナレーションはついていないが、日本の庭園を彷彿とさせる美しい庭や、日本をイメージした店内、そして美味しそうなヌードルの動画が収められている。
@denverfoodsceneDomo is a beautiful Japanese restaurant located in Denver ##colorado ##coloradoeats♬ original sound – Zane Gentry
この動画はわずか1日で何千回もの再生を記録。大きな話題となった。
DOMOレストランの料理人ニノミヤ・コウイチさんは「動画が話題になってからは一気にお客様が殺到し、普段の客層も変わってしまいました」と語る。
数日のうちに、レストランにはオープン前から行列ができる程のにぎわいぶりとなった。行列は伸びに伸び、半ブロック先のアパートまで到達したほどだ。
ニノミヤさんはこの状況を「幸福であり不幸」と表現した。
「多くのお客様が来てくださるのはありがたいです。しかし同時に、スタッフ1人にとっても全体にとっても、容量を超えている状態なのです。私たちは、お客様の要望にお答えできる準備が十分に整っていませんでした」と語った。
さらにリピーターも多くなったことから、最大30分だった待ち時間が3時間にまでふくれあがってしまった。そのため客の間にもイライラがつのり、DOMOレストランのフェイスブックページには暴言が書き込まれることもあった。
オーナーの本間氏は突然の大反響に驚きを隠せなかったが、2週間休業し手順を見直すことにした。まず営業日を週7日から3日に減らし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため座席数を制限したのだ。
ニノミヤさんは「まだ忙しいことに変わりありません。営業している3日間はいつも満席です」と語る。それでもニノミヤさんは、お客様への感謝を述べると同時に、理解と協力を求めていた。
現在DOMOレストランでは、外で待つ人々に待ち時間の目安を表示しているという。現代ではSNSでインフルエンサーにわざわざ以来してお店の宣伝をしてもらうということもあるのだが、バズりすぎてこういったデメリットも生じてしまっているようだ。