人気スパイ映画『007』シリーズ最新作『007:ノー・タイム・トゥー・ダイ』にて監督をつとめたキャリー・フクナガが、かつてショーン・コネリーが演じた初代ジェームズ・ボンドについて、基本的に「レイプ魔だった」と語っている。
キャリー・フクナガは「The Hollywood Reporter」のインタビューの中で、1960年代の『007』映画で描かれたセックスシーンに言及。問題点を指摘した上で、自身がメガホンをとった『007』は現代の「 #MeToo(ミートゥー)」運動を考慮したものだと語っている。
「『007/サンダーボール作戦(1965年)』や『007/ゴールドフィンガー(1964年)』には、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが女性をレイプするような内容が含まれていなかったかい?」と切り出したフクナガは、「女性の方は、『ノー、ノー』って言っているのに、男の方は『イエスだ、イエスだろ?』って。これは現代に通用しない」と続けた。
フクナガが語っているのは、おそらく『サンダーボール作戦』で描かれた、ボンドが看護師に無理矢理キスするシーンのことだと思われる。ことあと、女性が「ノー」と言っているにもかかわらず、ボンドが「イエスだろ?」と服を脱がせるシーンが続くのだ。
なお1995年から『007』シリーズをプロデュースしているバーバラ・ブロッコリは、フクナガが時代に沿ったボンド像を描いているとしてその功績をたたえている。
彼女は昔の映画で描かれている性的描写やセックスシーンについて、「かつて受け入れられていたものは、もう受け入れられなくなっているのよ。ありがたいことにね」と語り、「ボンドは1952年に初めて登場したキャラクターで、第1作が映画化されたのは1962年のことよ。すごく長い歴史がある。それでも現代の彼は、過去の彼とはまったく違う描かれ方をしているの」と述べた。
フクナガは最新作で描いたボンドについて、「一晩でボンドをまったく別人にすることはできない。でも彼を取り巻く世界や、彼がその世界で役割を果たす方法は変えられる」とした上で、「これは現代でスパイとして活動する白人男性の物語だ。しかし女性のキャラクターを単なる飾りではなく、より魅力的に描くための努力を惜しむべきではない」と語った。