子供たちに「イカゲーム」を視聴させることが、将来的に「いじめ」を助長することになると、イギリスの専門家が警鐘を鳴らしている。
ロンドン在住の社会心理学者サンドラ・ウィートリー博士は、暴力的なシーンが含まれる「イカゲーム」を子供たちに視聴させることによって、子供たちの「社会的・感情的な発達」を妨げ、他人がいじめられていても見て見ぬふりをしたり、一緒になっていじめをする可能性があると指摘している。
9月17日に公開されて以降、ネットフリックス史上最大のヒットを記録している「イカゲーム」。多額の借金を抱えた大人なたちが、子ども向けのゲームで戦い、トーナメントで勝利したものは大金を獲得できる一方、敗者は命を奪われてしまうというストーリーだ。
サバイバルドラマであることから、ほぼ全てのエピソードに肉体的にも精神的にも残酷なシーンが含まれている。
しかし、サンドラ・ウィートリー博士によると幼い子どもたちにはこのドラマの内容が理解しきれない可能性があるという。
「このドラマは、子どもたちに『なぜ誰も助けようとしないんだろう?』という疑問を抱かせかねない内容です。子供たちに受け取ってほしくないメッセージが含まれているでしょう」と語ったウィートリー博士は、「学校で教わる『人々は互いに助け合うもの』という道徳的な考え方を根底から揺るがしてしまうかもしれません」と続けた。
なおベルギーの小学校では今月初め、生徒たちが校庭で「イカゲーム」ごっことして「だるまさんが転んだ」で遊んでいた結果、生徒同士が殴り合いのケンカになったという。これを受け学校側は保護者に注意をうながした。この学校のフェイスブックには「この不健康で危険なゲームをやめさせるため、私たちは警戒を続けなければなりません」とつづられている。
ウィートリー博士は、公共の場で暴力やいじめを目撃した際の対処法について、「イカゲーム」は誤った情報を発信していると語る。ベルギーの小学校で起こった事態についても「正しくないことを目撃したとき、私たちは黙っていてはいけません。だれかが暴力をふるわれたり、傷つけられたりしたときは、教師に伝えなければなりません。行為に加担したり、何も言わずにその場から立ち去ってはいけないのです」と訴えた。