10月4日(月)から放送がスタートしたポッドキャスト番組「Fallen Angel」。この番組ではジャーナリストのバネッサ・グリゴリアディスとジュスティーヌ・ハーマンが、アメリカの大手下着メーカー「ヴィクトリアズ・シークレット」の劣悪な企業体質を暴露するべく、モデルや元従業員らから話を聞いている。
最新エピソードでは、かつて専属モデル「ヴィクシー・エンジェル」として活躍したエリン・ヘザートンが、不健康とも言えるほどのスリムな体型を維持するべく会社側から過酷な要求をされたことを打ち明けている。多くのモデルたちがそのプレッシャーのあまり、摂食障害やうつ、不安症などの健康問題を抱えていたそうだ。
ジュスティーヌ・ハーマンは番組の中で、エリン・ヘザートンから聞いた話として、「彼女は『フェンテルミン』という薬を毎日服用していたの」と語り、「彼女が言うには、その薬は1日1ポンド(約500g)の減量を手助けする作用があるそうなのよ」と続けた。
エリンは25歳になった頃、自分の体型が「少しふくよかになった」ことに気がついたという。
「このことが少しだけ私を追い詰めたわ。栄養士のところへ駈け込んで、『フェンテルミン』というダイエット薬を処方してもらう日々が始まったの。私のセラピストはその薬のことを『覚せい剤』と呼んでいたわ」と当時を振り返ったエリンは、「当時は自宅を改装中で仕事を失うわけにはいかなかったから、こんな『ドーピング』でもするしかなかったのよ。それからHCG(妊娠すると増加するホルモン)の注射も自分で打つようになったの」と告白した。
HCGには体に妊娠していると勘違いさせることにより、脂肪をエネルギーに変えて痩せさせるという作用があるとされているが、すでに痩せている人に対して処方するのは危険だと言われている。
さらにエリンは「筋肉まで落ちてしまうと、テレビで視聴している人たちに『このモデル不
健康そうだな』と思わせてしまいかねない。でも、腹筋や腕が引き締まって入れば、どんなに痩せていたとしても『この人はアスリートだから、こんな体型なんだ』って思い込ませられるでしょ」と付け加えている。
実際、ファッションショーを目前に控えたモデルたちが激しい筋力トレーニングに挑む様子は何年にもわたって「Train Like an Angel(天使のように鍛えよう)」というキャッチフレーズで紹介されてきた。
エレンはこのようなPR手法について、「最も邪悪だ」としたうえで、「若い女性や少女たちが、『女性はこうあるべきだ』という間違ったメッセージを受け取ってしまう。まるで飢えているような体型の『ヴィクシー・エンジェル』でさえ、このようなバカげた手段で健康的であることをアピールしないといけないのだから」と訴えている。
なおかつての「ヴィクトリアズ・シークレット」が提唱していた非現実的な美の基準については、ブリジット・マルコムをはじめとする他のモデルたちからも批判の声が挙がっていた。
今年に入って以降、「ヴィクトリアズ・シークレット」は大幅なリニューアルを行い、ありえないほどに細かったエンジェルたちに代わり、様々な体型の女性をモデルとして起用。「ボディポジティブ」を受け入れる姿勢を打ち出している。