イギリスのオーディション番組「Xファクター」2012年度の優勝者にして、過去に発売された3枚のアルバムのセールスが累計3000万枚を超える実力派SSWのジェイムス・アーサー。日本デビュー盤となった『バック・フロム・ジ・エッジ』からのシングル曲「セイ・ユー・ウォント・レット・ゴー」は2016年のリリース以来、10か国以上でチャート1位を獲得し、MVのYouTube再生回数が1億回を超えるなど世界中で愛され続けている。
そんな特大ラヴ・ソングから5年、ジェイムス・アーサーが4枚目のアルバムとなる最新作『イット・ウィル・オール・メイク・センス・イン・ジ・エンド』を発表した。復帰トラックとなった「メディスン」やアコースティックとトラップ要素の掛け合わせに挑戦した「セプテンバー」、真っすぐな歌詞世界が拡がる「アヴァランチ」など、ジェイムス自身が体験した喪失感や傷ついた気持ち、人を愛する尊さを共有しようと思ったところ生まれた全14曲が収録されている。過去に発売されたアルバムよりも、さらにパーソナルな心をさらけ出しシンガー・ソング・ライターとして新たなステージへと進んだジェイムスの甘い歌声を楽しめる作品となっている。
今回の特集では、ジェイムス・アーサーがこれまで歩んできた波乱万丈の道のりを振り返ると共に、待望の最新作『イット・ウィル・オール・メイク・センス・イン・ジ・エンド』の聞きどころを紹介する。
ジェイムス・アーサー 波乱万丈の道のりを振り返る
今では実力派シンガー・ソング・ライターとして知られるジェイムスだが、2度にわたる母親の離婚など、不安定な家庭環境で育ち、想像を絶する波乱万丈な人生を送ってきた。当時14歳でギターを手にして音楽活動をスタートさせるも、16歳で母親に決別を言い渡され、荒んだ生活を送る。
しかし、ジェイムスは夢を諦めずにオーディション等に繰り返し挑戦。そして2012年にワン・ダイレクション等を輩出した英オーディションTV番組「Xファクター」でみごと優勝。サイモン・コーウェルのレーベル Syco (サイコ)との契約を勝ち取った。
【動画】James Arthur’s audition – Tulisa’s Young – The X Factor UK 2012※予選時の様子
【動画】James Arthur sings Shontelle’s Impossible – The Final – The X Factor UK 2012*最終選考時の様子
同年リリースしたデビュー・シングル「インポッシブル」(「Xファクター」優勝ナンバーでションテルのカバー曲)はいきなり全英初登場1位を獲得。2013年のデビュー・アルバムは初登場2位を記録するという華々しいデビューを飾った。
どん底の中で生まれた、 最大のヒット曲「Say You Won’t Let Go」
デビューアルバムの成功を受け、順風満帆に思えたジェイムスだがSNSへ投稿した動画歌詞の一部が誤解を招き、社会批判騒動へ発展。アーティスト活動の一時休止を余儀なくされる事態となってしまう。
そんななかサイモン・コーウェルからもSycoとの契約の打ち切りを告げられてしまう。再び人生のどん底へ転落したジェイムスはまたも自滅的な生活に溺れかける。しかし、今まで自分を支えてくれた兄妹と音楽を支えに踏みとどまり、2015年に独 Columbiaと契約。実生活も更正し、自身最大のヒット曲の一つであるリード・シングル「セイ・ユー・ウォント・レット・ゴー」を発表する。
「セイ・ユー・ウォント・レット・ゴー」は、ひたすら大事な人のことを真っすぐに想ったラヴ・ソング。リリースと同時に多くの関心を集めた同曲はチャートインから、わずか3週目にして全英1位を獲得という快挙を達成。これを受け、サイモン・コーウェルもジェイムスを再びSycoファミリーへ迎え入れることを表明した。
【動画】James Arthur “Say You Won’t Let Go” MV
最新アルバム『It’ll All Make Sense In The End』ではさらに赤裸々な感情をつづる
そんな大ヒット曲「セイ・ユー・ウォント・レット・ゴー」から5年。同曲よりもさらに赤裸々な感情が綴られた新アルバム『It’ll All Make Sense In The End』がリリースされた。
ジェイムスは2016年に発表されたアルバム『Back from the Edge』に収録されている楽曲「Train Wreck」を共に制作したAndrew Jacksonとともに、アルバムの大半をコロナ禍によるロックダウン中の自宅で書き上げた。当時を振り返りジェイムスはのびのびと自宅でのレコーディングを楽しめたと語っている。
「突然、音楽が素晴らしく聞こえる瞬間が訪れたんだ。初日から音楽は自分の思い通りに響いた。最初期の段階からこのアルバムは本物のアルバムになるぞ。と思い、しっかりとした作品になると思ったんだ。このアルバムが僕にとって1つの場所に留まって始まりから終わりまでを制作した初めての作品となった。きっと、音を聞けばそれがわかると思う。自分の家にいて仕事をするということは、とても快適なことで今まで以上に無防備になることができたよ」(ジェイムス)
『It’ll All Make Sense In The End』の聞きどころ
アルバムの1stシングルとなった自伝的な楽曲「メディスン」は、ジェイムス自身が体験した喪失感や傷ついた気持ちを共有しようと思ったところから生まれたという。2020年のヨーロッパツアー中に酷いパニック発作に苦しめられたジェイムスは、インフルエンザが悪化し病院に運ばれ、残りのヨーロッパツアーとアメリカツアーのキャンセルを余儀なくされた。
地元のロンドンの病院に移った後は、自宅での療養を開始し、3月のイギリスツアーで大復活を果たす。本人も「今までで最高のステージだった」と言える程の出来だったが、コロナウィルス感染症によるイギリス都市のロックダウンで、ライブ活動が急遽中断となった。規制が少し緩和された後、ジェイムスは自身のスタジオを建設し音楽活動を再開。新しいアルバムの制作にとりかかり、1番初めにできた作品が「メディスン」だという。
【動画】James Arthur “Medicine” MV
アコースティックサウンドとトラップミュージックを混ぜ込んだ2ndシングル「セプテンバー」は、さらに自叙伝的な内容となっている。一方、「エミリー」は、彼がいつか持つかもしれない娘に向けた、優しくて親密な楽曲だ。
同曲に対し、ジェイムスは「この曲は、子供を持つことについての会話から生まれたんだ。僕は良い父親になれるだろうか?僕が起こした酷いことを子供が読んだらどうしよう?でもそれは問題じゃないと気づいたんだ」と話し、「最終的に僕は子供の人生にずっと寄り添う男になるから」という気持ちを込めたそうだ。
【動画】James Arthur “September” MV
【動画】James Arthur “Emily” MV
「エス・オー・エス」は少し曲調が違った楽曲で、ジェイムスはこの楽曲を「アルバムを象徴する曲かもしれない。僕が表現したかったことをこの楽曲で成し遂げた。ヘビーロック的で、30セカンズ・トゥマーズ的な。サビ部分はミゲルのようラップ的フロウを入れ込んで、最後には聖歌隊のように人々がコーラスを歌う」「(コロナ禍で)1年間家に閉じ込められていた心の傷ついた人たちに歌っている(自分のMV)映像が目に浮かぶんだ」と語り、自由や希望を、人のために歌う楽曲となっていると説明している。
【動画】James Arthur “SOS” MV
また今回、彼はお気に入りのバンドであるTaking Back Sundayと仕事をしたMatt Radを追加プロデューサーに加え、アルバム全体を調和のとれたサウンドに仕上げている。「サウンドはとてもシンプルなんだ。基本的には、騒々しいギターにトラップ・ビート、そして強いメロディー」。これは、彼がTy Dolla $ign, Machine Gun Kelly、Juicy J.といったスーパースターとのコラボレーションで何年もかけて磨いてきた音楽的アプローチでありトラップビートを採用した理由はヒップホップの感性を彼のボーカルに落とし込みたいというところがあったそうだ。
「Travis Scottはこの曲にどうアプローチするだろう?Post Maloneなら『メディスン』のセカンド・ヴァースでどうするか?このアルバムを表現するとしたら、ラップのヴァースにロックのコーラスを乗せる。そんな感じさ。このアルバムはまさに僕が求めていたものなんだ」(ジェイムス)
不安定な家庭環境で育ち、「Xファクター」で優勝を勝ち取ってからも、一時は自滅的な生活に陥ってしまいアーティスト活動を中断するなど波乱万丈な人生を送ってきたジェイムス。そんな彼だからこそ、傷ついた体験や人を愛する気持ちを題材にした曲がよりリアルで、たくさんの人の共感を得てきた。新しいアルバムも世界的に明るい年とは言えなかった2020年を乗り越えたジェイムスの体験が反映された楽曲が収録されている。
リリース情報
『It’ll All Make Sense In The End イット・ウィル・オール・メイク・センス・イン・ジ・エンド』
2021年11月5日(金)配信、輸入盤発売 全14曲収録
1. Running Away| ランニング・アウェイ
2. Wolves | ウルヴズ
3. Medicine | メディスン
4. September | セプテンバー
5. Always | オールウェイズ
6. Emily | エミリー
7. Last Of The Whiskey | ラスト・オブ・ザ・ウィスキー
8. Never Let You Go | ネヴァー・レット・ユー・ゴー
9. 4000 Miles | 4000マイルズ
10. Deja Vu | デジャ・ヴ
11. Ride | ライド
12. Avalanche | アヴァランチ
13. SOS | エス・オー・エス
14. Take It Or Leave It | テイク・イット・オア・リーヴ・イット
購入・再生リンクはこちら
https://JamesArthur.lnk.to/ItllAllMakeSenseInTheEnd_AL
ジェイムス・アーサー ディスコグラフィ
2016年 1st アルバム 全英2位獲得
『James Arthur ジェイムス・アーサー』
https://JamesArthur.lnk.to/JamesArthur
2017年 2nd アルバム 全英1位獲得
『Back From The Edge バック・フロム・ジ・エッジ』
https://JamesArthur.lnk.to/BackfromtheEdge_al
2019年 3rd アルバム 全英2位獲得
『YOU ユー』
https://JamesArthur.lnk.to/YOU_al
ジェイムス・アーサー プロフィール
1988年イギリス生まれ。母親の2度の離婚など不安定な家庭環境の中、14歳でギターを手に取り音楽活動をスタートされる。2012年、ワン・ダイレクション等を輩出した英オーディションTV番組「Xファクター」にて優勝。同年サイモン・コーウェルのレーベルSyco(サイコ)からデビュー・シングル「インポッシブル」をリリース。全英初登場1位を獲得する。
2013年、デビュー・アルバム『James Arthur | ジェイムス・アーサー』は全英チャート初登場2位をマークするも、SNSへ投稿した動画歌詞の一部が誤解を招き、社会批判騒動へ発展。サイモン・コーウェルからSycoとの契約打ち切りを告げられ、アーティスト活動の一時休止を余儀なくされる。
2015年、自滅的になっていた生活を更生し独Colombiaと契約。2ndアルバムのリリースを発表。2016年、リード・シングル「セイ・ユー・ウォント・レット・ゴー」がチャートイン3週目にして全英1位を獲得。3週連続1位に輝き、英ソロ・アーティストとして2016年1番のセールスを記録する。
同年10月に発売されたアルバム『バック・フロム・ジ・エッジ』が全英チャートにて初週で1位を獲得し、2016年度の英ソロ・アーティストとして4番目の初週セールス数を記録した。 数々の快挙をうけてサイモン・コーウェルに再びSycoファミリーへと迎え入れられる。
2017年、3rdアルバムに収録される楽曲「ネイキッド」を発表。2019年、待望の3rdアルバム『YOU | ユー』を発売、全英チャート2位を獲得。2020年、シガーラとのコラボシングル「Lasting Lover | ラスティング・ラヴァー」をリリースし総ストリーミング数が全世界で1億2000万回再生を超える。
2021年11月5日4thアルバム『Itʼll All Make Sense In The End | イット・ウィル・オール・メイク・センス・イン・ジ・エンド』をリリース。
Shaine(シェーン)プロフィール:
1996年埼玉県生まれ。幼い頃からディズニー映画が大好きで、ディズニーチャンネルや海外のドラマをよく見ていた事がきっかけで、海外エンターテイメントに興味を持ち始めました。大好きな音楽、ファッションやメイクアップの知識を活かして、ライターとして活動しています。