人権団体「Human Rights Foundation(HRF)」が、歌手のジャスティン・ビーバーに対し、来月予定されているサウジアラビアでの公演を中止するよう求めている。
団体の会長ギャリー・カスパロフとCEOのトール・ハルボセンは、11月2日(火)、ジャスティン・ビーバーの代理人にあてて手紙を送付。その中で、来月5日に予定されている「F1サウジアラビアグランプリ2021」におけるジャスティンのパフォーマンスについて言及した。
この手紙は、「私たちは、サウジアラビア国内における人権危機について緊急にお知らせしたくこの手紙を書いております」という書き出しからはじまり、「現ムハンマド・ビン・サルマン皇太子政権はこれまで、何百万人ものサウジアラビア国民の人権を侵害する行為を行なってきました。あなた方には、この政権に関与することで国内に不幸な結果を招きかねないことをお知らせしたいのです」とつづられている。
さらに、この手紙の中でHRFのリーダーたちは、現政権による反体制派やLGBTQ+コミュニティのメンバーの扱い、個人の権利の侵害、情報統制、女性の権利活動家の投獄などを批判。さらに今年、国境なき医師団が発表した「世界報道の自由度指数」において、サウジアラビアが180カ国中170位にランクインしたことも指摘している。
そのためHRFは、このようにエンターテイメントやスポーツ事業を国内で展開することはサウジアラビア政権が権力の乱用から国民の目を逸らすためのものだとし、さまざまな慈善活動を支持する発言をしてきたジャスティンが現時点で、サウジアラビアでのパフォーマンスを行うことは矛盾する行為だと主張している。
「サウジ政権は国内の人権問題を無視しながら、国際的な著名人に大金を支払うことで王への尊敬の念を失わせないようにしている」と付け加えている。
この手紙に関し、現時点でジャスティン側からのコメントは得られていない。