2019年エミー賞にて2部門受賞した社会派ドラマ「「メディア王〜華麗なる⼀族〜(原題:Succession)」。現代のメディア王一族の後継者争いなど、ドロドロの関係を描き話題となったが、その待望のシーズン3が2月、U-NEXTにて見放題で独占配信予定だ。それに先駆け、tvgrooveはキャストにインタビューを決行。このドラマが成功した感想や、それぞれの役柄について伺った。
ローガン・ロイ役:ブライアン・コックス
Q. まずゴールデングローブ賞ほか、エミー賞受賞おめでとうございます。シリーズは非常に人気を博していますが、今振り返ってみて、この成功どのように受け取っていますでしょうか?
A. もちろん、うれしいよ。昨夜ファーストエピソードを見たところだったんだけど、自分は端役なのかなと思っていたら、思いのほか出番が多くてびっくりした。撮影は細切れに来るから、エピソードを丸ごと俯瞰することが難しいんだ。だけど、シリーズは非常にレベルアップしている気がする。でもこれは何よりも脚本によるところが大きい。多分とても古典的なバックグラウンド・・・というか、英国的なセンスだと思うんだが、俳優は、何よりも脚本家を敬うべきだと教え込まれるんだ。
しかし、アメリカの場合は必ずしもそうではない。脚本家の地位というのは、最近では例えばシェーン・ブラックやトニー・ギルロイが注目を集めているが、全然違うゲームなんだ。でもこのシリーズに関しては、本当に脚本を書いてくれた皆さんがすばらしいと思う。そして何よりもジェシー・アームストロングは天才だ。驚くような才能を持っていて、本当に贅肉が全くないような脚本や、非常にパンチの効いた脚本を書くことができる人だと思う。
編集もスコアも、クラシック音楽を使うというアイディアもすばらしい。本当に良い出来なので、ついつい自分の目を疑うような、それほど良い出来になっていた。
Q. ブライアンさんはローガンというキャラクターに未だに驚かされっぱなしでしょうか? それとももうローガンを熟知しているという感じでしょうか?
A. いえ、私は驚かされっぱなしだよ。次に何をしだすかわからないかもね。でも、それこそが良い脚本のしるしなのではないかと思う。どうなっていくのか、知りたくもないという気持ちもある。俳優の視点から言うと想像力の源になるのは、「次どうなるかわからない。だからもう流れに身を任せてしまえ」という、そういった感覚なんだと思うよ。
コナー・ロイ役:アラン・ラック
Q. コナーのキャラクターはとても個性的で、毎回どのようなことを発言するのか予想ができなくて面白いです。役作りはどのようにされていますか?
A. なぜかわからないけど、キャストのタイプというか、ここ10年間、ダメージを食らった人間を演じる傾向にある。なんだろう、自分がそういう雰囲気を醸し出しているのかもしれない。でも多くが脚本によるね。ジェシーと、そして脚本家の皆さんが本当にすばらしいセリフを書いてくれるし、毎回驚いているよ。なのでセリフを言うときは、それがどんなにおかしなセリフであっても、本気で信じているかのように、まっすぐ演じるように心がけている。そうすると、おのずと脚本の面白味がにじみ出てくるようになるから。
ジェリー・キルマン役:J・スミス=キャメロン
Q. ジェリーとローマンの関係についてです。非常に興味深い展開がシーズン2にはありますが、この関係性をどう思いますか?
A.とてもいい質問ね。私自身、この展開にとても困惑したわ。というのも、ローマンは、何をしでかすかわからないから。そこは納得がいったけど、ジェリーにとって、彼のどこが魅力なのかよくわからなかった。とても危なっかしく思えるし、少年時代から彼らを知っているわけだから、彼女にとって彼がセクシーに思えるわけがないと思ったの。もちろんキーラン自身はとてもセクシーな子だけどね。でもジェリーは昔、もしかしたら彼らのおむつを替えていたかもしれないわ。だからどのように受け取ったらいいのか、自分自身全然わからなかった。でも脚本が非常に上手く書けているの。例えば最初の電話のとき、ジェリーが少しずつ心情の変化を遂げていくのがわかる。最初は驚がくして、その後何かおもしろくなってきちゃって。そして、いじめればいじめるほど、彼が興奮していく。ジェリーはいたずら好きなところがあって、それを楽しんでいる部分があると思う。
ケンダル・ロイ役:ジェレミー・ストロング
Q.シリーズの一つのテーマとして、“コントロール”や“権力”がありますが、ジェレミーさん自身、俳優としての権力、あるいはそのようなパワーを身につけたと思えたのはいつでしたか?
A. 僕のキャリアと、このシリーズは別物だと思う。役者がどのようにして力をつけるのかというと、キャリアを成功させることによってではない。むしろ、それへのこだわりを捨てることからくるのだと思う。外からの賞賛に頼ってしまっては、そんなものは手に入らないし、身を滅ぼすことになると思う。例えば今のようにインタビューを受けるという夢のような話、こういうのをいちいち幻想として描くのではなく、その夢を一旦手放さないといけない。そうすることによって、自由にひたすらに演技することに集中できるはず。ある時点で、それに気づいたんだ。それこそがパワーだと思う。つまりステータスからくるパワーではなく、内なるパワー、自由からくるパワーなんだ。でもこのドラマで描いているのは、違う類の権力だと思う。
ローマン・ロイ役:キーラン・カルキン
Q. ローマンはとても楽しいキャラクターですが、ローマンの思考回路に入るときに、どういうアプローチを取っていますか? また、ジェレミー・ストロングやセーラ・スヌークとの共演で、すごく辛辣な言葉をお互いに浴びせますが、それについてもお聞かせください。
A. 実際のところ兄弟姉妹だからこそ、あそこまで言い合えるんじゃないかなと思う。だって家族だから。どんなひどいこと言い合っても、どんな辛辣な言葉で攻め合っても、クリスマスや父の誕生会とかで普通に再会するっていう流れになる。楽しそうなキャラクターってことだけど、実際そうなんだ。僕はローマンを演じててすごく楽しいし、フィルターがかかってないような、歯に衣着せぬ物言いが、演じていて楽しいんだ。パイロット撮影のときに覚えているのは、キャラクターをこういうふうに解釈しようって自分で決めたこと。つまり、「絶対に痛い目に合わない子」っていう、そんなイメージが自分の中にあった。だから彼はなんだって言える。そういったキャラクターを演じるのは、この上なく楽しいことだよ。
トム・ワムズガンズ役:マシュー・マクファディン
Q.グレッグとの関係性は、非常にダークで面白いですね。一緒に演じる時、どのようにアプローチしていますか?
A. 脚本家が本当にすばらしいキャラクター、そしてすばらしいセリフを書いてくれているので、そのおかげだよ。実は、そんなに入念に準備をするわけでもないんだ。我々が心がけることとしては、まずはちゃんと笑いをこらえておくっていうこと。つい吹き出してしまうことが多いからね。でも本当にやってて楽しい。これだけすばらしい脚本を書いてくれる人たちがいると、こちらとしてはそんなにチャレンジングなことではないんだ。あまり楽しみすぎないように、抑えなきゃっていう難しさはあるけどね。
シヴォーン・“シヴ”・ロイ役:セーラ・スヌーク
Q. シヴというキャラクターの原動力は、どこにあるのでしょうか?
A. これは他のファミリーメンバーもそうだと思うんですが、やはり父親の愛を勝ち取りたいというところにあるんだと思うわ。そして父親も尊敬されたいっていうことでもある。仮に父親から尊敬を得られたとしても、そして愛を得られたとしても、今まで親子関係が散々だったから、「本当かな?」という疑念が子供たちの中には浮かんでくるんじゃないかなと思う。例えば、ローガンが「シヴ、君にCEOをやってもらうよ。俺は君のこと信じているから」って言ったとしましょう。仮にローガンが亡くなったとして、それでシヴは気がかりで、ずっと自分の肩越しを振り返るというか、どこか警戒するような、そういう日々が続いていくんじゃないかな。まるで父親の影の中で生きていくかのような、そういう感覚なのかなと思うわ。
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