12月10日よりアメリカで上映開始となった、不朽の名作ミュージカル作品の劇場版『ウエスト・サイド・ストーリー』。監督のスティーヴン・スピルバーグが、作品内のスペイン語セリフに英語字幕をつけなかった理由を明らかにしている。
この作品は、大部分が英語のセリフや歌で占められている。しかしラテン・アメリカ系の人々が話すセリフはスペイン語で、一切の英語字幕が添えられていないのだ。
スティーヴン・スピルバーグはIGNのインタビューに対し、この映画を製作する上でオーディションを行うにあたり、「両親や祖父母、もしくは本人がラテン系の国出身でない人物のオーディションは受け付けないようにした」と語り、「僕たちはとくにプエルトリコでたくさん探すことにしたんだ。この映画には、20人ものプエルトリコ出身、もしくはニューヨーク出身のプエルトリコ人パフォーマーが出演しているよ」と続けた。
そして、「これはとっても重要なことで、今回スペイン語のセリフに英語字幕をつけなかったことにもつながってくるんだ」としたスピルバーグは、「もしスペイン語のセリフに字幕をつけてしまったら、英語のセリフに英語を添えているようなものだし、英語がスペイン語を支配してしまうことになる。そんなことはこの映画にあってはならない。字幕をつけないことで、その言語を尊重したんだよ」と、字幕をつけなかった意図を説明していた。
またスピルバーグは、Digital Spyのインタビューにも答え、「これを問題にする人なんているんだろうか。今のところ、『字幕をつけたほうがいい』なんて人は聞いたことがないよ」と語ると、「僕はアメリカの第二言語であるスペイン語に字幕をつけるなんて、失礼だと思っている」と付け加えた。
さらに、「これは英語がまるで支配的な言語だと思われてしまいかねないし、キャラクターが話している(第二言語であるはずの)スペイン語に対して英語の字幕をつけるなんて、おかしな話じゃないか」と語ったスピルバーグは、「我々は、スペイン語に対して敬意を表したんだよ」と続けた。