人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」デナーリス・ターガリエン役で知られる女優のエミリア・クラークが、過去に大病を患い、生死の淵をさまよった壮絶な体験を告白した。
「ゲーム・オブ・スローンズ」では若き女王を熱演しているエミリア・クラーク。もうすぐ最終シーズンの放送が開始されファンが胸を熱くしている中、彼女はNew Yorker誌に長文のエッセイを寄稿。彼女は同ドラマを撮影中に「死んでもおかしくない」病で倒れていたことを告白した。
子供の頃からひどい偏頭痛持ち
「子どもの頃からの夢が全て叶ったと思えたときに、私は全て、命をも失いかけた。どこにも話したことはないけど、話すときが来ました」
幼い頃から偏頭痛持ちだというエミリア。血圧や心拍数も低いそうで、14歳のころには頭痛で数日ベッドから出られないこともあったという。
「たまにひどい時があったけど、まだ大丈夫だと思ってた。でも今思うと全部これから起こることの警告だったのかもしれない」
第一シーズンを撮り終えた後の2011年、ジムでトレーニングをしている際に初めて異変に気がついたという。
「輪ゴムに頭を強く締め付けられているような痛みを感じたの。痛みを無視してトレーニングを続けようかと思ったけど、無理だった。どうにかロッカールームまで這っていって、トイレまで行ったけど、膝から崩れ落ちて、またたく間に最悪の状態になった。そこで、“脳がダメージを受けている”って気がついた」
その場にいた女性が「大丈夫?」と声をかけ、救急車を呼んでくれたという。
「全てがうるさくて、視界がぼやけたのを覚えている。サイレンの音や、誰かが私の脈拍が弱まっているって言ってた声が聞こえた。誰かがわたしの携帯から親に電話して、緊急治療室に来るように伝えたの」
自分の名前すらわからない日々
MRIを撮った結果、エミリアはクモ膜下出血であることが発覚したのだ。クモ膜下出血とは、脳の血管が破裂し脳内に出血してしまうという病気。約3分の1の確率で死に至るという恐ろしい病だ。
病院に運ばれた彼女は脳内の出血を止めるため、緊急で脳の手術を受けたという。幸い手術は大成功したが、その後もエミリアは耐え難い痛みに苦しみ、さらにはなんと失語症も発症。人々の言っている意味が分からず、自分もしゃべることが難しかったという。
「意味の通じない言葉が口から出てきて、急に目が見えなくなってパニックになった。自分のこの先の人生を考えると、生きる価値のないものだと感じていた。私は女優で、セリフを覚えなくてはいけない。でも今、自分の名前も思い出せない。最悪の時には、自分に繋がっているプラグを全部抜いてやりたかった。病院スタッフに、『死なせて』とお願いもした。私の人生の全ての夢は、言葉を話すことになってしまったのだ」
その後1ヶ月入院し、無事に失語症も回復したというエミリア。また小さなクモ膜下出血が起きる可能性はあるが、経過観察をしっかりしていればおおよそ大丈夫だろうと医者に言われた。
退院したとはいえ、脳の手術を受けたばかりの彼女はすでに「GOT」のプロモーション活動の仕事をしていたという。
「インタビューの合間にモルヒネ(薬)を飲んでいた。頭は常に痛いし、疲れはいつもの100万倍もあった」
悪夢の再発
2013年、定期診断を受けたエミリアはなんと前回の約2倍の大きさの動脈瘤(脳の血管のコブのようなもの)が発見された。医師は、すぐに手術すれば前回のような大規模な手術にならないだろうと言ったという。しかしそうは行かなかったようだ。
「起こされた時、痛みで叫んだわ。手術は失敗に終わった。医者にはすぐにもう一度手術しないと生存できるかわからないと言われて、しかも今回は頭蓋骨を開けて手術する必要があると言われた」
2度目(合計3度目)の手術を受けた後、エミリアは今まで以上の痛みを感じたという。
「自分がデナーリスより、戦争に行った後の人のようだった。頭蓋骨の一部にチタンを入れて、自分が抜け殻のように感じたわ。もうおかしくなり過ぎて、この頃のことは思い出せない。頭がシャットアウトしていた。でも、もう生きられないって確信していたことは覚えている」
このころ、メディアはエミリアの健康状態が良くないといった内容を報道していたが、彼女自身は強く否定。まだ当時は世間に知られたくなかったのだという。
この数回に渡る、想像を絶する病を乗り越えたエミリアは、嬉しいことに現在100%回復しているという。
「2回目の手術をした当時からは想像もつかないけど、今は100%回復しています」
エッセイの最後に、彼女は脳の病気を患った人々の回復を支援するチャリテイ「Same You」を立ち上げたことを発表した。
クモ膜下出血や壮絶な痛みを乗り越え、「GOT」に最後まで出演したエミリア、彼女は本物のクイーンだ。
チャリティをインスタグラムでも発表
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