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「タイムレス」2時間フィナーレを控えた11月16日、スペンサー、ランター、バレットにインタビュー

「タイムレス」フィナーレ放送前に開催されたNBC昼食会で、インタビューに応じてくれた仲良し3人組。左から、マルコム・バレット、アビゲイル・スペンサー、マット・ランター (c) Meg Mimura COLUMNS
「タイムレス」フィナーレ放送前に開催されたNBC昼食会で、インタビューに応じてくれた仲良し3人組。左から、マルコム・バレット、アビゲイル・スペンサー、マット・ランター (c) Meg Mimura

2016年10月10日「SFは苦手でも『タイムレス』はおもしろい!」でご紹介したタイムトラベル・アクション・ドラマを覚えていらっしゃいますか? 日本では、AXNで「タイムレス」シーズン2が始まりましたが、米国では2018年12月20日に早目のクリスマス・プレゼントとして、2時間フィナーレ(シーズン3の代わりに11話と12話を一挙放送)がファンに贈られ、数奇の運命を辿ったシリーズが完となりました。

「タイムレス」フィナーレについて書いた英文評はこちら

シーズン2の最終話(=10話)が、信じられない崖っぷちに立つルーシー(スペンサー)、ワイアット(ランター)、ジヤ(クローディア・ドゥーミット)、フリン(ゴラン・ヴィンシュニック)、クリストファー捜査官(デニース・ジャフリー)、コナー(パターソン・ジョセフ)の6人が目にしたのは?!で終了します。その崖っぷちから国土安全保障省が集めたチームが如何に立ち直り、リッテンハウスの世界制覇を阻止、平和で平等な世界を築きあげる使命を果たして、シリーズ「完」とするか?を聞き出したかったのですが. . . 当然のことながら、結末は疎か、「謎は全て解ける」の一点張りでした。


左から、ルーシー(スペンサー)、ジヤ(ドゥーミット)、ワイアット(ランター)、フリン(ヴィンシュニック)、クリストファー捜査官(ジャフリー)、コナー(ジョセフ)が目にしたのは?でシーズン2は終了。ここから、2時間フィナーレで如何に完に持ち込むのか?お楽しみに! (c) Patrick Wymore/NBC

私が最も知りたかったのは、パイロットのエンディングに隠されていたルーシーの妹エイミーの行方です。どこでどう歴史が書き換えられたのか、ルーシーが朝家を出た時と帰宅した時とでは、家族構成が豹変していました。一体、エイミーの身に何が?

本作クリエイターの一人、ショーン・ライアンの意図したところは、「歴史上の異変の中でキャラがどう反応するかではなく、一見何も変化していないのに、もっとも私的レベルで異変が生じる方が、ドラマとしてはずっと面白い」と言う点です。エイミーが忽然と姿を消し、末期ガンで闘病生活をしていた母親キャロリン(スザンナ・トンプソン)は健在. . .で、パイロットは終了しました。更に、シーズン1を通じて母キャロリン、ルーシーの実父ベンジャミン・ケイヒル(ジョン・ゲッツ)はリッテンハウス幹部で、ルーシーが後を継いでくれることを熱望していることが判明します。ルーシーはエイミーを、ワイアットは妻ジェシカを取り戻す旅に出るのが、このドラマの鍵なのです。


あちこちで目にした番宣ポスター。(c) NBCUniversal

私も両親を亡くした今では、この世で頼れるのは妹一人になってしまいました。妹がある日忽然といなくなったら等、考えるだけでもぞっとします。このドラマに肩入れしていたのは、一心不乱に妹を探すルーシーに120%共感できるからです。と言う訳で、最初の質問は、「エイミーの行方は?」だったのですが、「パイロットでエイミーを演じた女優さんは健在よ!」とスペンサーにしっかりはぐらかされてしまいました。この手のサスペンスドラマは最終回のネタバレなど、どう逆立ちしても聞き出せないことくらい、「LOST」の経験上、重々わきまえているつもりだったのですが. . .「謎は全て解決するから、心配しなくて大丈夫!」と3人は口を揃えて断言します。は〜、それではインタビューの意味が. . . 仕方なく、急遽方向転換です。シーズン2について聞くしか手がありません。

ハーヴェイ・ワインスタインのスキャンダルが発覚した2017年10月以降、#MeToo(私も被害者!と名乗るセクハラ/職権濫用告発運動)や#Time’s Up(男どもに足蹴にされるのは、もう沢山!男尊女卑&セクハラ撲滅運動)等に代表される女性解放運動が進んで来ました。更に、トランプが選挙運動時から煽って来た差別や憎悪故のヘイトクライム(人種、民族、宗教、性的指向など特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪から起きる、 嫌がらせ、脅迫、暴行等の犯罪行為)の急増を鑑みて、「シーズン2はリッテンハウスを最右翼/白人男性至上主義を推進する秘密組織にして、歴史は白人男性の視点で語り継がれて来たので、女性やマイノリティ(社会的少数派)に焦点を当てる方針に切り替えた」と、スペンサーが説明。テレビが現況を巧みに捉えて、間髪を入れずに映像化できる媒体であることを実証しました。白人男性はあらゆる意味で肩身の狭い思いをしている筈です。年に二回プレスツアーに参加する白人男性の仕事仲間に聞いて見たところ、「何をするにも、何を言うにも、大丈夫かな?とチェックする間を置くようになった」と、皆かなり神経質になっていることが判明しました。いつまで続くかな?とは思いつつも、チェック機能を備えるようになったことはある意味で進歩だと思います。


キャロリン(トンプソン・左)は、娘ルーシー(スペンサー)をリッテンハウス幹部候補生として扱うが、ルーシーは白人至上主義を信仰するカルト教団的結社に飽くまで抵抗する。シーズン1では、キャロリンやエマなど女性幹部が動かしていたが、シーズン2は女性やマイノリティを駆除する秘密結社となり、矛盾が生じている。 (c) Justin Lubin/NBC

女性やマイノリティ(社会的少数派)が語る米国の歴史と言う点に注目して、「歴史のカリキュラムを「タイムレス」シーズン2に合わせて組んだと言う歴史の先生に多々お目にかかったわ」とスペンサーは嬉しそうに話してくれました。又、ランターは「娯楽性だけじゃ物足りない、何かを学べるドラマが受けるってことかな?」と付け加えました。

シーズン2の10話の中で特にお気に入りの回について聞いてみました。

バレットは、「第6話『ブルース界の伝説』と第10話『運命のチャイナタウン』」の2話を挙げました。


ブルースの生みの親のレコーディングに立ち会う歴史的一瞬に図らずも参加したコナー(ジョセフ・左)とルーファス(バレット)。師弟の関係がここで逆転する感動の場面。(c) Justin Lubin/NBC

ランターは、「第2話『ダーリントン500』と第3話『求めあう夕べ』。だけど、タキシードのシャツのカラーがキツくて、拷問だった」と述べました。これを受けて、スペンサーは、「男って、本当に弱虫なんだから。『女性たちの闘い』で着けたコルセットで、内臓の形が変わったのよ!コルセットこそ、拷問以外の何ものでもないわ!」と笑います。


ランターが選んだ第2話『ダーリントン500』のシーン。ルーファス、ルーシー、ワイアットが使命をどう果たすかを相談中。(c) Paul Drinkwater/NBC

ハリウッドにタイムスリップして、パーティーに参加したルーシーとワイアット。これが問題のタキシード姿だが、よく見るとカラーがきつかったからボタンをはずしている。「求めあう夕べ」は、スペンサーもお気に入り第2番に挙げた。(c) Paul Drinkwater/NBC

スペンサーは、「第7話『女性たちの闘い』。ワシントンにあるアリス・ポールが設立した国民女性党の本部であり、現在Belmont-Paul Women’s Equalilty National Monument (=ベルモント・ポール女性平等国立記念館)で、アリス・ポールの世界にどっぷり浸かってリサーチさせてもらいました。光栄の至り!」と述べました。第7話は、女性なら涙せずに観られない感動の一話です。女性参政権を獲得するのに命を賭けて闘った旧世代の勇気ある女性たちに大いに感謝しなければ!と、米国市民ではない私まで深く反省、国会議事堂のすぐ側にあると言う記念館を訪ねたくなりました。

仕事納めの日は「涙、涙、すっごく辛かった」と言うスペンサーに対して、ランターもバレットも、別々のシーンを撮影したので、ほとんどのキャストがおらず、「そっか。こんなもんか?」で終わってしまったと言います。仲良し3人組の未来は?と尋ねたところ、3人は顔を見合わせて、「意外とすぐだったりして. . .」と意味深な答えが返ってきました。日本でフィナーレが放送される頃には、吉報が舞い込んで来るかも知れません。余り期待せずに待ちましょう。

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