世界中の映画ファンから愛されている映画監督のひとり、ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作に2名の日本人女優が抜てきされたことがわかった。
ポール・トーマス・アンダーソン監督が製作・脚本・監督・撮影まで手がけた最新作『リコリス・ピザ』(原題: Licorice Pizza)が、12月25日のクリスマスに全米で拡大公開され『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』『マトリックス レザレクションズ』『ウエスト・サイド・ストーリー』などの大作がひしめくホリデーシーズンの週末の興行成績で7位に浮上。コロナ禍の2年間に公開されたインディーズ映画としては一館あたりの売り上げ記録も更新し、大健闘をみせている。
【動画】『Licorice Pizza』予告編
主演を務めるのは、3姉妹バンド「ハイム」としても活動している新星アラナ・ハイムと、名優フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン。また、共演にはブラッドリー・クーパー、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ベニー・サフディ、マヤ・ルドルフ、ジョン・C・ライリーら豪華キャストが名を連ねている。
Keep on truckin’ to a theater near you. #LicoricePizza opens everywhere Christmas. pic.twitter.com/n15hTcmNcj
— Licorice Pizza (@licoricepizza) December 19, 2021
物語の舞台は、『ブギー・ナイツ』『マグノリア』に続き、アンダーソン監督自身が生まれ育った、思い入れの深いロサンゼルスのサンフェルナンド・バレー。1970年代、子役として活躍し、高校生となったゲイリー・ヴァレンタイン(ホフマン)は、ある日ふとしたきっかけで出会った年上の女性アラナ・ケイン(ハイム)に一目惚れしてしまう。社会に翻弄されながら大人への階段を上がって成長していく2人と、彼女たちを取り巻く友達、兄弟、家族、地域の大人たち――。彼らの70年代の姿を、色褪せない名曲のメロディーに乗せて贈る青春群像劇となっている。
本作は本年度の米国映画のアワード・シーズンにおいて現在までに、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の作品賞・監督賞・ブレイクスルー演技賞(アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン)の3賞、ニューヨーク映画批評家協会賞の脚本賞、ボストン・オンライン映画批評家協会賞の作品賞などを受賞し、クリティックス・チョイス賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・主演女優賞・キャストアンサンブル演技賞など8部門でノミネート。さらにゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門でも作品賞・主演女優賞・主演男優賞・脚本賞の4部門にノミネートされるなど、アカデミー賞前哨戦となる賞レースで好成績をあげている。
アンダーソン監督はこの意欲作に向けて、日本人役をオーディションで選考し、ミオコ役にミズイユミ、キミコ役に安生めぐみを抜てきした。2人とも米国で活動の場を広げてきた女優である。
ミズイユミは本作のほか、日本を題材にして大ヒットを記録したゲーム「ゴーズト・オブ・ツシマ」やディズニー映画『ベイマックス』などに声優として出演。また、「HEROES/ヒーローズ」「TOUCH/タッチ」「リベンジ」「ザ・ラストシップ」などのドラマシリーズでは日本語セリフや文化のコンサルタントも担当。米国のCMにも50本以上出演し、幅広い活動を続けている。
安生めぐみは、日本国内で女優として舞台やTVなどで活動した後に渡米。芸能エージェントと契約後も学業を続けながら、映画の名門校の短編映画などにも参加。渡米10年目にして、アンダーソン監督による本作の撮影に臨み、その直後にNBCの人気ドラマ「グッドガールズ:崖っぷちの女たち」シーズン4にも出演。映画とテレビでのデビューを果たした。
本人コメント
◎ミズイユミ(ミオコ役)
パンデミック真っ只中での撮影でしたが、クルー全員が色々な面で気を配って下さっていたので安心して撮影に挑めました。 一言でポールさんのことを語るのは難しいですが、私の話を真剣にしっかり目を見て聞いてくださる方でしたし、短時間で私の全てを知られてしまったような不思議な感覚を覚えています。心地よい現場でしたし、スムーズにシーンが撮れました。 クーパーくんは、誰もが一瞬で好きになってしまう子だと思います。
私の大好きな監督ポール・トーマス・アンダーソンの作品だと知らずにオーディションしたので、受かったと連絡が来たときは、パンデミック中だったので撮影があるということだけでも驚きました。ポールさんの作品だと知ったときは飛び回って喜んで興奮が収まりませんでした!まさか夢にも彼とお仕事できると思っていませんでしたし、作品に日本人を起用するということ自体驚きでした!彼は日本が大好きなので、こだわりをもってキャラクターやシーンを描いています。ぜひ一人でも多くの映画ファンの方に観てもらいたいです。
◎安生めぐみ(キミコ役)
ポール監督は気さくで日本人の私にもとても丁寧に接してくれたので、思ったよりもリラックスして臨めました。出演は長いシーンではありませんが、意欲的にいろいろ試し、何度もテイクを重ねて時間をかけてくれました。アラナさんは、音楽の分野ではすでにスターでありながら、同級生のような親しみやすさで明るく飾らず、自然体に振る舞う姿がとても魅力的です。現場には彼女のバンド「Haim」の姉妹が来ていて、仲良さそうにはしゃぐ姿も印象的でした。 私も音楽が大好きなので、アラナと共演できて本当に楽しく幸せでした。
独自のパンチの効いた作風で、世界中の観客をも魅了してきたポール監督の作品に、日本人女優として出演できて本当に光栄ですし、私の長年の夢を叶えてくれた監督でもあるので、感謝してもしきれません。彼の長年のパートナーであるマヤ・ルドルフさんの義理のお母様が70年代から米国でも活動してきた日本人ジャズ歌手の笠井紀美子さんで、役名の「キミコ」は彼女にちなんで名づけられています。マヤさんも日本語を話せますし、監督からも日本への理解と愛を感じます。日本での公開時は、楽しんで頂けましたらうれしいです。