ハートフルなファミリードラマとして日本のお茶の間でも人気を博した海外ドラマ「フルハウス」のダニー・タナー役で知られるボブ・サゲットが、1月9日(日)に突然この世を去った。享年65。死因は依然として明らかになっていないが、奇しくもボブが他界したこの日は彼の亡き姉ゲイ(※1)の75歳の誕生日であった。
※1…ゲイは1994年に47歳で他界している。
一般的には俳優やコメディアンとして広く知られていたボブだが、プライベートではサンフランシスコを拠点とする非営利団体「強皮症研究財団(SRF)」の理事を務めていた。実は、彼の姉ゲイは生前、希少疾患である「強皮症(※2)」を患っており、この病気の治療法を見つけることこそが、ボブの長年の原動力になっていたという。
※2…強皮症は、皮膚や臓器が硬くなっていく病気。症状は人によって様々であるが、ホルモンの変化、免疫系の問題、環境要因、遺伝など、いくつかの要因が合わさって発症すると考えられている。治療法は現在のところなく、アメリカでは約30万人が罹患していると言われている。
SRFの委員長であるディーン・ライト氏は、米グッド・モーニング・アメリカの取材に対し「ボブは姉が良い治療を受けていないと感じていた。90年代当時は、(認知度の低い病気のため)診断をつけることが難しかった。(治療の)選択肢も少なく、理解も少なかった」と発言。この現状を知ったボブは、この病気への認識や理解を促したり、研究を後押しするようになったという。
なお、ボブは自身が亡くなる直前にSRFがインスタグラムに投稿した文書の中で次のようにつづっている。
「私の心は、この病気で愛する人を失ったすべての人のそばにあります。誰もゲイのように苦しむべきではありません。だから、私は治療法を見つけることに尽力し、強皮症研究財団の理事であることを誇りに思っています」
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ボブと20年以上の仲であるライト氏は同メディアに対し、「生命を脅かす希少疾患のコミュニティとして、私たちはたくさんの喪失に直面していますが、彼は人々のために常にそばにいました。彼はいつも快く、自分の肩を貸したんです」と、彼の人柄を絶賛している。
ライト氏はまた、ボブは姉ゲイが強皮症と診断される前から、そしてゲイが他界したあとも、強皮症の研究のために、募金活動に参加していたと告白。「彼は長期に渡り(活動に)参加していました。ボブはとても情熱的で、病気の原因を本当に気にかけていた。自分の遺産だと考えていたのです」とも述べ、生涯かけて強皮症の活動に尽力したボブの功績を称えている。