半世紀以上に渡り一線で活躍を続ける名優にして、『許されざる者』『ミリオンダラー・ベイビー』で監督として 2 度のアカデミー賞®に輝くクリント・イーストウッド。監督デビューから 50 年・40 作目となるアニバーサリー作品『クライ・マッチョ』は、彼が監督・主演を兼任する新たなマスターピースだ。落ちぶれた元ロデオスターと少年の旅を通して語られる“人生”とは。喜びや悲しみを背負い、なお人生を歩み続ける、生きる上で必要な[強さ]とは何かを温かく、時にユーモラスに時に切なく語りかける。40 年前から検討されていた原作の映画化に、イーストウッドが満を持して向き合った本作は、まさに彼の集大成にして新境地。2022 年の年明けは、この感動から始まる!
絶賛公開中のクリント・イーストウッド監督・主演最新作『クライ・マッチョ』より、約 5 分の本編冒頭映像が到着した。クリント・イーストウッドはいつも崖っぷちにいる。1976 年「最後の西部劇」と銘打って製作された『アウトロー』は、愛する妻と息子を奪われすべてを失った農夫が復讐に立ち上がる。約 10 年後の『ペイルライダー』(85)では、祭服を着たイーストウッドは、メキシコの金採掘城をめぐる利権闘争で虐げられた“崖っぷち”の人々の前に神父姿で現れた。『センチメンタル・アドベンチャー』(82)は、再起を賭けてオーディションを目指すカントリーシンガーを演じた。
初のオスカー受賞作『許されざる者』が全米公開されたのは 1992 年。年老いた元悪党マーニーには子どもがふたり。夭折した妻との出会いで心を入れ替え、貧しい土地を耕し、豚を飼って生計を立てている。このままでは幼い子どもたちの将来はない。人生崖っぷちの男の前に若きガンマンが現れて「娼婦を傷つけた男」に懸賞金がかかっていると囁いた。二度目のオスカー受賞作『ミリオンダラー・ベイビー』(04)では、逸材を育てながらも他のジムに移籍されてしまったボクシングジムを経営するトレーナーを演じた。ある日、毎日教会に通う彼の前に、人生の“崖っぷち”から這い上がろうとする女性ボクサーが現れる。
老い先を見定めることの出来ない退役軍人が、モン族の少年と出会うことで生きる意味を見出した『グラン・トリノ』(08)。農園も自宅も抵当に入り、疎遠となった家族からも見放された“崖っぷち”の男はメキシコの麻薬カルテルの『運び屋』(18)を引き受ける。実話の映画化作品『リチャード・ジュエル』(19)では、爆破物を発見して英雄とされた警備員が、メディアによってテロの容疑者とされ崖っぷちに追いつめられた。イーストウッドは、人生の“崖っぷち”にいる人物を描いてきた。現在公開中の『クライ・マッチョ』でイーストウッドが演じているのは、落馬事故で人生が暗転した元ロデオスターのマイク・マイロだ。
今回、イーストウッド作品史上初解禁となる『クライ・マッチョ』5分の本編冒頭映像は、朝日を浴びながらテキサスの広大な白然を悠々と走る一台のピックアップトラックの描写で始まる。牧場に到着したマイクが車から降りる。1979 年、いつものように仕事場に到着した彼を、雇用主のハワード(ドワイト・ヨーカム)が待ち受けている。腕時計を確認し、遅刻だと文句をつける。彼の横にはカウボーイがひとり。「昔は競争相手がお前を狙ったよ。2 歳馬レースで 5 度も優勝。“今度こそマイクを失う”と毎回おびえたぜ。“引き抜かれる”って。遥か昔の話だよ」と一気呵成にまくし立てる。ハワードの勢いは止まらない。「そうとも。馬での事故の前だ。薬漬けになる前。酒におぼれる前。今、うちの厩舎には二流の馬しかいない。調教師も同じだ。もうお前を失っても構わん。何の価値もない。新しい血が必要だ」「荷物の整理だ。済んだら出ていけ」とクビを宣告する。「あんたは昔からケチでヤワな根性なしだったな。だが、今さら言っても直りゃしねえだろう」とマイクはもはや未練はないとばかりにその場を後にする。
場面はマイクの家に変わる。庭で夕刻のひとときを過ごすマイクをとらえたカメラは、ロデオの受賞メダルや写真が飾られた部屋の中へと移動する。“マイク・マイロ ロデオ連勝”、“マイク・マイロ 華麗なるロデオの復活”など、かつての栄光を伝える新聞記事が並ぶ。そして“テキサスのロデオスター落馬で負傷”の記事へとフォーカスされ、彼の人生を一変させた落馬事故、人生転落の瞬間をモノクロの映像で見事に映し出す。マイクの過去と半生が伝わるこの映像は僅か 1 分、イーストウッドの手腕が冴える見事な描写となっている。
一年後、マイクの前に現れた元雇用主が「メキシコにいる息子を連れ戻して欲しい。金も用意した」と依頼する。ハワードへの恩義を返すためにマイクはメキシコへと向かうことを決意する。少年ラフォ (エドゥアルド・ミネット)とアメリカ国境を目指すふたりの旅路には、どのような結末が待ち受けるのか?映像の続きは、ぜひ劇場でご確認頂きたい。
日本公開後、SNS 上でもファンの熱い声が続出している。「どこまでもカッコイイ。」、「演出は相変わらず力強く、濃厚な満足感を得られた」「イーストウッド的なるもののてんこ盛りでとにかく楽しめる。にしても億面ない…老人力の漲る快作」など、91 歳にして“現役”のイーストウッドを讃える声や、「人と関わることによって癒し癒されてく優しい強さの物語」「喪失から立ち上がり、大切で価値あるものが何かを語り合いたくなる、シンプルで真摯な映画」と、主人公マイクがラフォとの旅を通して見つける新たな出会いと成長に、大きな共感と感動が広がっている。勇気、希望、友情、そして愛…。これまで数々の人生を描いてきたイーストウッドが描く真の[強さ]とは。イーストウッドが満を持して放つ集大成にして新境地『クライ・マッチョ』は、大ヒット上映中!
監督・主演・製作:クリント・イーストウッド
原作:N・リチャード・ナッシュ「CRY MACHO」扶桑社より、2022 年1月 13 日発売予定
脚本:ニック・シェンク(『グラン・トリノ』『運び屋』)、N・リチャード・ナッシュ
製作:アルバート・S・ラディ(『ゴッドファーザー』『ミリオンダラー・ベイビー』)、ティム・ムーア(『グラン・トリノ』『アメリカン・スナイパー』)、ジェシカ・マイヤー(『グラン・トリノ』『アメリカン・スナイパー』)
出演:クリント・イーストウッド、エドゥアルド・ミネット、ナタリア・トラヴェン(『コラテラル・ダメージ』)、ドワイト・ヨーカム(『ローガン・ラッキー』)、フェルナンダ・ウレホラ(『ブルー・ミラクル』)
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