『バックドラフト』のロン・ハワード監督が手がける、新作映画『13人の命』。Amazonプライム・ビデオで8月5日に配信される本作のQ&Aオンライン記者会見が、開催された。
本作は、タイ北部のタムルアン洞窟で実際に起きた事故を題材にしている。2018年、タイのサッカーチームが、想定外の大雨により洞窟に閉じ込められてしまう事故が発生。世界屈指の技術と経験を持つダイバーたちが、水没した狭い洞窟の迷路を進みながら、タイ軍と1万人以上のボランティアとともに、12人の少年とコーチの救出に挑むストーリーだ。本作には、コリン・ファレルほか、ヴィゴ・モーテンセン、トム・ベイトマン、ジョエル・エドガートンなど豪華キャストが出演している。
オンラインQ&Aでは、映画評論サイト「RottenTomatoes」のレポーターが司会を務め、まずはロン・ハワード監督が登場。このタイの事故を題材とした映画はこれまで『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』など、何本か作られてきたが、なぜ今一度、このストーリーを伝えたいのかと聞かれたハワード監督は「私の妻と私はこの事件が起きた時、何が起こったのか注目していた」と当時を振り返った。「そして、ウィリアム・ニコルソンの脚本を読んだ時、私が知っていることだけでなく、実際にこの事件に関わった人々のさらに多くの英雄的な部分が表現されていた。そのストーリーにとても驚かされたんだ」「それで、わたしはもっと視覚的に脚本バージョンでこの真実の物語を伝えられると思った」と語り、今回のプロジェクトでタイの俳優を起用し、タイ独自の文化などにも触れ、監督にとってもすばらしい作品となったと説明した。
また、救助にあたった実在のダイバーであるリチャード・スタントンを演じたヴィゴ・モーテンセンは「今回の撮影は特別だった。水の中の撮影だったからね。実際の事故で救助にあたったダイバーも現場にいて、リハーサルをしたんだ。彼らのように泳ぐという訓練だけではなく、水面下の安全などについても指導してもらえた。水面下は、映画の撮影でコントロールされている状況だとしても危険が伴う。だから現場にいたすべての俳優たちは、彼らの指導を熱心に聞いていたよ。本物の救助隊に影響されて、チームワークもできていた。撮影は時にリアルに感じたし、リアルに感じすぎてしまうこともあった」と、実際に事故で活躍したダイバーから指導された経験を振り返った。
実際に発生した事故では、救助を試みたタイ海軍特殊部隊員1名が窒息死し、事故後に別のタイ海軍特殊部隊員が救助活動中に感染した血液の感染症で死亡している。ダイバーのジョン・ヴォランセンを演じたコリン・ファレルは、この救助に命を捧げた人への敬意も示し、撮影現場では「精神的な協力関係を築くことができた」という。
また、コリンといえば、『マイアミ・バイス』『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』『THE BATMAN-ザ・バットマン-』などの超大作でさまざまな役柄を演じてきたが、今回の撮影では、毎日水の中にいることで「恐怖」を感じたという。「ヴィゴの言った通り、コントロール下であってもそうでなくても、危険を常に感じていた。撮影は大変だったけど、ストーリーに対しての敬意を持ち、真実を伝えられる機会が与えられたことをしあわせに思う」と心境を明かした。
救助に貢献したリチャード・ハリス医師 を演じるジョエル・エドガートンは、彼自身、この事件についてよく知っていると思っていたが、撮影に入った時は「救助するための要素、そして方法にとても驚かされた」という。「これまでも実在する人物は演じてきたけど、リチャード・ハリスはとても影響力があってヒーローでもある。そんな彼を演じることは少し緊張もあった」と続けた。
この実際の事件をまた新たな視点から見ることができる『THIRTEEN LIVES(原題)』。ハワード監督が「まちがいなく偉業だった」と述べるほどの過酷な訓練に耐え抜いた、キャストたちの迫真の演技にも注目だ。
『13人の命』
8月5日(金)よりPrime Videoで独占配信開始