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GIMME A BREAK! アメリカンTV字幕翻訳者のひとりごと[連載終了]詳細

Vol. 1: 字幕翻訳者はつらいよ

2000年9月25日
はじめまして、字幕翻訳者のSIGGYです。

これから、こちらのコラムを担当させていただくことになりました。仕事の苦労話や、アメリカンTV番組の1ファンとして、日頃思っていることなど、ざっくばらんに、いろいろ書いていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いしますね。

「お仕事は?」「字幕翻訳です。」こう答えると、相手の方は、だいたい目を丸くして「すごいですね!」と驚きます。なんだか、字幕翻訳者って、すごく華やかなイメージがあるみたいですね。いったいナゼでしょう??

夢(?)を壊すようで申し訳ありませんが、はっきり言って、こんなに地味な仕事はありません。毎日毎日、人にも会わず、家にこもりっぱなし。部屋の中は、資料用の本やビデオテープだらけで、ホコリがたまりまくりです。締め切り直前ともなれば、徹夜も当たり前。着替えもせず、目の下にクマを作りながら、ぼさぼさ頭でひたすらパソコンに向かう姿は、とても他人にお見せできるものではありません。

テレビ番組の字幕の翻訳に、どのくらい時間がかかるか、ご存じですか? 私は、平均して、1日に7時間~10時間ぐらい働いてますが、その時間内に翻訳できるのは、わずかに10分間から20分間程度。特に、アメリカのテレビ番組は、しゃべりっぱなしで、展開も速いので、字幕作りは本当に大変です。アメリカでしか通じないギャグの翻訳に頭を悩ませたり、何げなく会話の中に出てくるCMのパロディや、政治家やタレントの名前を調べたりするだけで、あっという間に一日が終わってしまいます。特に、ドキュメンタリーの翻訳は、時間がかかります。

翻訳を始めたばかりのころは、10分の内容を、3日ぐらいかけて訳していました。はっと気付いて、翻訳料を時給に直してみたら、○クドナルドの時給を大幅に下回っていた・・・なんてこともしばしば。こんなときは、ホントに辛いです。

・・・なーんて、初回からすっかり愚痴モードになってしまいましたが、やっぱり、私にとって字幕翻訳とは、やめたくてもやめられないような大きな魅力を持った仕事です。大勢の視聴者の皆さんに、番組を楽しんでいただいているんだ、と思うと、とてもやりがいを感じます。私はまだ仕事を始めて3年ですが、一人前になるには、10年かかるそうです。さあ、これからも、はりきって、がんばらなくっちゃ!(^o^)