注目トピックス
Vol.40 語学力は想像力、翻訳力はコミュニケーション力
2003年4月8日
4月ですね! テレビやラジオの語学講座も一斉にスタートしました。各種語学学校や翻訳学校などに入学申し込みをして、第1回目のクラスをわくわくしながら待っている方々もたくさんいらっしゃるかと思います。今回は、そんな方々の勉強のヒントになればいいなあ、なんて思いつつ、書いてみます。
あるとき、英語塾教師歴30年のうちの母と、英語の得手不得手について話していたときのこと。ふと、母がこんなことを言いました。「やっぱりね、語学力は想像力なのよ」。それを聞いて、即座に「お-っ! そのネタ、エッセイで使わせてもらうよ!」と叫んだ私。エッセイのネタを提供してくれるなんて、ホントにいい母です。語学力は想像力…。さて、その意味とは?
母いわく、「いままで長年英語を教えてきたけど、想像力が乏しい人は、どうしても伸びないわね。英文を見たとき、状況が頭の中にぱっと一枚の絵として思い浮かべられる人が、伸びる人よ」とのこと。私は、それを聞いてなるほどなあ、と思いました。そういえば、以前のエッセイでも書きましたが、母には、小さいころから「英語を読むときは、辞書なんか引かなくていいから、前後の英語から単語の意味を想像して読む癖をつけなさい」と言われましたっけ。
やっぱり、語学は暗記だけじゃないんですよね。「私は、ボキャブラリーが少なくて、英語ができない」という方がよくいらっしゃいますが、それは受験勉強の話。論文などを書かれる方なら別かもしれませんが、普通のビジネスの場や、旅行や異文化コミュニケーションを楽しむという場では、ボキャブラリー不足をコンプレックスに感じる必要なんてないと思うんです。知らない単語は想像力でカバーしてしまえ! というくらいの図々しさがあってもいいんじゃないでしょうか? どうも、日本人は「発音」と「ボキャ貧」で引っ込み思案になる人が多いのですが、もったいないなあ、と思います。
私ですか? えーと、ボキャブラリー、あんまり多くないです。(^^;;) 想像力は、割とあるほうなんじゃないかな、と思います。
そして次は翻訳の力に関するお話を。先日、ネットを徘徊中、英語教育用の教材の開発などで有名なアルクの主催で「あこがれの翻訳家になる第一歩はここから!」というセミナーが開催されることを知り、ホームページで申し込みをして、ミステリー翻訳家の田口俊樹氏のお話をうかがってきました。(一般向けセミナーで、どなたでも出席できます。)いや別に、私はミステリー翻訳に進出する野望はないのですが、一流翻訳者の先生がたのお話が聞ける場なので、こういうセミナーがあると、ときどき出席しています。
出版翻訳界のギョーカイ裏話や、翻訳者が誤訳しやすい言葉の例の説明など、とても楽しくかつタメになるお話をたくさん聞けましたが、その中で印象に残ったのが「翻訳者にはおしゃべりが多い」というお話でした。とかく家にこもりがちの仕事なので、無口になりそうですが、実際には話し好きな方のほうが圧倒的に多いそうです。やはり翻訳もコミュニケーションの1つの形であり、人に何かを伝えたいという思いが強くなければ、いい翻訳はできないと、田口先生はおっしゃっていました。
私は教室のすみっこで拝聴しつつ、確かにそうだわ、と思い“翻訳力はコミュニケーション力!”とメモを取りました。以前、私が派遣社員として翻訳の仕事をしていたときや、字幕の制作会社でアルバイトをしていたとき、多くの方の翻訳文を拝見したのですが、同じようなことを感じたことが多々あったのです。
ビジネス翻訳では「あれー、この人、英語力も日本語力もあるのに、どうしてこんな言い回しをしてしまうんだろう…」とつぶやきつつ、チェックを入れることがよくありました。そういう翻訳文を見ていて気付くのは、どうも“読む側の気持ち”を考えながら文章を書いていないらしいということ。英文和訳としては正確でも、読み手にちっとも伝わらない文なのです。
そして映像翻訳では“監督の意図”を汲み、伝えるということがとても大事です。台詞で俳優のカラーを出すことや、細かなニュアンスを伝えることももちろん大切ですが、監督の意思を伝えようという意識が常に翻訳者になくてはダメです。そうしないと、台詞の意味を取り違えたり、ポイントとなる大事な情報を字幕に反映できず、観客を混乱させることになります。もちろん、観客の気持ちになって、自分の訳文を客観的にチェックできる能力も大切です。これもやはり、「伝えたい」と思う心、つまりはコミュニケーション能力なのではないかと私は思うのです。
なーんて、ずいぶん偉そうなことを書いていて、書きながら恥ずかしくなってきましたが、私自身も、実際にはまーだまだ未熟者です。想像力はそこそこありますが、おしゃべりはそんなに得意なほうではありません。部屋にこもってないで、もっと外に出てコミュニケーション能力を磨かなくては! …ということで、そろそろ、お互い忙しくて疎遠になっている翻訳者仲間に声を掛けて、飲み会でも開こうかな~。なんて考えはじめました。それではまた!
あるとき、英語塾教師歴30年のうちの母と、英語の得手不得手について話していたときのこと。ふと、母がこんなことを言いました。「やっぱりね、語学力は想像力なのよ」。それを聞いて、即座に「お-っ! そのネタ、エッセイで使わせてもらうよ!」と叫んだ私。エッセイのネタを提供してくれるなんて、ホントにいい母です。語学力は想像力…。さて、その意味とは?
母いわく、「いままで長年英語を教えてきたけど、想像力が乏しい人は、どうしても伸びないわね。英文を見たとき、状況が頭の中にぱっと一枚の絵として思い浮かべられる人が、伸びる人よ」とのこと。私は、それを聞いてなるほどなあ、と思いました。そういえば、以前のエッセイでも書きましたが、母には、小さいころから「英語を読むときは、辞書なんか引かなくていいから、前後の英語から単語の意味を想像して読む癖をつけなさい」と言われましたっけ。
やっぱり、語学は暗記だけじゃないんですよね。「私は、ボキャブラリーが少なくて、英語ができない」という方がよくいらっしゃいますが、それは受験勉強の話。論文などを書かれる方なら別かもしれませんが、普通のビジネスの場や、旅行や異文化コミュニケーションを楽しむという場では、ボキャブラリー不足をコンプレックスに感じる必要なんてないと思うんです。知らない単語は想像力でカバーしてしまえ! というくらいの図々しさがあってもいいんじゃないでしょうか? どうも、日本人は「発音」と「ボキャ貧」で引っ込み思案になる人が多いのですが、もったいないなあ、と思います。
私ですか? えーと、ボキャブラリー、あんまり多くないです。(^^;;) 想像力は、割とあるほうなんじゃないかな、と思います。
そして次は翻訳の力に関するお話を。先日、ネットを徘徊中、英語教育用の教材の開発などで有名なアルクの主催で「あこがれの翻訳家になる第一歩はここから!」というセミナーが開催されることを知り、ホームページで申し込みをして、ミステリー翻訳家の田口俊樹氏のお話をうかがってきました。(一般向けセミナーで、どなたでも出席できます。)いや別に、私はミステリー翻訳に進出する野望はないのですが、一流翻訳者の先生がたのお話が聞ける場なので、こういうセミナーがあると、ときどき出席しています。
出版翻訳界のギョーカイ裏話や、翻訳者が誤訳しやすい言葉の例の説明など、とても楽しくかつタメになるお話をたくさん聞けましたが、その中で印象に残ったのが「翻訳者にはおしゃべりが多い」というお話でした。とかく家にこもりがちの仕事なので、無口になりそうですが、実際には話し好きな方のほうが圧倒的に多いそうです。やはり翻訳もコミュニケーションの1つの形であり、人に何かを伝えたいという思いが強くなければ、いい翻訳はできないと、田口先生はおっしゃっていました。
私は教室のすみっこで拝聴しつつ、確かにそうだわ、と思い“翻訳力はコミュニケーション力!”とメモを取りました。以前、私が派遣社員として翻訳の仕事をしていたときや、字幕の制作会社でアルバイトをしていたとき、多くの方の翻訳文を拝見したのですが、同じようなことを感じたことが多々あったのです。
ビジネス翻訳では「あれー、この人、英語力も日本語力もあるのに、どうしてこんな言い回しをしてしまうんだろう…」とつぶやきつつ、チェックを入れることがよくありました。そういう翻訳文を見ていて気付くのは、どうも“読む側の気持ち”を考えながら文章を書いていないらしいということ。英文和訳としては正確でも、読み手にちっとも伝わらない文なのです。
そして映像翻訳では“監督の意図”を汲み、伝えるということがとても大事です。台詞で俳優のカラーを出すことや、細かなニュアンスを伝えることももちろん大切ですが、監督の意思を伝えようという意識が常に翻訳者になくてはダメです。そうしないと、台詞の意味を取り違えたり、ポイントとなる大事な情報を字幕に反映できず、観客を混乱させることになります。もちろん、観客の気持ちになって、自分の訳文を客観的にチェックできる能力も大切です。これもやはり、「伝えたい」と思う心、つまりはコミュニケーション能力なのではないかと私は思うのです。
なーんて、ずいぶん偉そうなことを書いていて、書きながら恥ずかしくなってきましたが、私自身も、実際にはまーだまだ未熟者です。想像力はそこそこありますが、おしゃべりはそんなに得意なほうではありません。部屋にこもってないで、もっと外に出てコミュニケーション能力を磨かなくては! …ということで、そろそろ、お互い忙しくて疎遠になっている翻訳者仲間に声を掛けて、飲み会でも開こうかな~。なんて考えはじめました。それではまた!
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