注目トピックス
Vol.5 科学捜査官(CSI)の地位を脅かすのは、“必死”なハウスワイフたち…!?
2004年11月30日
先月のコラムで、「現在のアメリカTV局対抗視聴者数獲得レースは、CBS(『CSI』シリーズを放送している局)の独壇場! 『CSI』の放映権を逃したABCはほぞをかんでいる」と書いたばかりだが、この秋、いきなりABCの大逆襲が始まった。
『CSI』の好調っぷりは、相変わらず。11月18日に放送された100回目エピソード「’Ch-Ch-Changes」は、3500万人という過去最高の視聴者を獲得。先シーズンに引き続き、現在も常に視聴者数トップを走り続けている。が、そんな『CSI』に肉薄しているのが、この秋から始まったABCの新ドラマ『Desperate House Wives』(直訳すると『必死な主婦たち』)。10月に始まった、この「アメリカ郊外に住むハウスワイフたちのあんな性向、こんな性行……」をテーマにしたドラマは、これまでに平均で2000万人の視聴者を獲得。「ハウスワイフたちは、死に掛けていたABCの救世主」といった評価を受けている。
人気ドラマ『Sex and The City』のファンをがっちりキャッチ!!
この『Desperate House Wives』は、様々なバックボーンを持ちながらも、現在はハウスワイフとして郊外に暮らす4人の女性の人間関係を軸に展開される。スーザン(Teri Hatcher)は、愛に飢えるバツ一のシングル・マザー。元キャリアウーマンのリネット(Felicity Huffman)は、主婦としての退屈すぎる日々にうんざし、“働きたいパワー”を持て余し気味。Marcia Cross演じるブレー・ヴァンは、“超”がつくほどに完璧なハウスワイフ。だが、その強迫観念にも近い家事への執着は、家族を辟易とさせている(だが実際のMarcia Crossは、家事が大の苦手とのこと。最近はファンの人たちが、彼女のことまでも家事上手だと思って見てくるので、その視線に少々戸惑い気味だとか)。そして、リッチな夫を持ちオープンカーを乗り回す元モデルのガブリエラ(Eva Longoria)は、若い庭師と秘密の関係に……と、それぞれ悩みや問題を抱えたまま“ご近所付き合い”を続けている。
この“個性的な4人の女性の友情”と言って思い出されるのが『SEX AND THE CITY』。放送日時も、かつての『SEX AND THE CITY』のそれと同じということもあり、客層がかぶっている感は強い。
だが『Desperate House Wives』のプロデューサーは、このドラマを「アンチ『SEX AND THE CITY』」と語っている。というのも、『Desperate House Wives』に登場する女性たちは、みな表面的には楽しく・仲良く・美しく友情関係を築いているが、実はお互い抱えきれないほどの秘密を隠し持っているからだ。とは言え、本家とアンチは、コインの裏と表。かつてNYに暮らすスタイリッシュな女性の生き方に共感していた、あるいは彼女たちを通じて未知の世界を垣間見ていた女性たちは今、郊外で暮らす主婦たちの姿を通じて未知の世界を知ったり、あるいは共感しているのかもしれない。
思わず調子に乗りすぎ、問題に発展!? でも、宣伝効果は上々
と、この秋のTVドラマ界最大のトピックとなっている『Desperate House Wives』だが、最近は別のカタチで物議をかもしている。原因は、ABCがアメリカン・フットボール(NFL)中継の冒頭部分で流した『Desperate House Wives』のパロディ番宣。このフットボール中継の際に流れた2~3分の映像では、『Desperate House Wives』のキャラクターであるエディ(Nicollette Sheridan)が、試合直前のロッカールームにバスタオルひとつというあられもない姿で現れ、実際のスター選手を、「(アメフトの)ゲームなんかより、わたしとのゲームを楽しみましょうよ」と誘惑する。さらにそのシーンをテレビで見ていたメインキャラクターたちが、「まあ、彼女ったらなんて、必死なのかしら」と嘲笑する…というもの。
ドラマのタイトルと、自分たちの行為をひっかけたやや自嘲気味の番宣だったのだが、ところがこのシーンが、家族でアメフト観戦を楽しもうとしていたアメリカの良識的ご家庭の大ひんしゅくを勝ってしまった。ABCには抗議の電話がひっきりなしに掛かり、翌日にはNFLサイドも「非常に不適切かつ不快なシーン」と怒りを露にするほど。思わぬ大反響にビビッたのか、はたまたこれも計算のうえか、いずれにしろABCはすぐに謝罪表明をした。
NFLは、先のスーパーボールのハーフタイムショウでジャネット・ジャクソンが“おっぱいポロリ”をかましたばかりということもあり、この手の事件には非常に過敏になっている模様。このときもすぐに遺憾の意と放送局に対する厳重注意を表明し、スーパーボールを放送したCBSには55万ドルという異例の高額罰金が課されだ。だが一部には「CBSは話題づくりのために意図的にやった」という声もある。
NFLの中継は、アメリカで最もコンスタントに高視聴率が稼げるコンテンツ。CBSもABCも、この放送枠を利用して番宣をしようと“必死”なのかもしれない。事実、この「選手誘惑シーン」さわぎがあった直後の『Desperate House Wives』は、2420万人という番組史上2番目の視聴者数を獲得。お叱りをうけたとはいえ、宣伝効果は上々だったと言えるかも。もちろんNFLだって、そんな放送局側のあざとい宣伝戦略を防ごうと“必死”。
アメリカのテレビ界には、“必死”があふれかえっている。
『CSI』の好調っぷりは、相変わらず。11月18日に放送された100回目エピソード「’Ch-Ch-Changes」は、3500万人という過去最高の視聴者を獲得。先シーズンに引き続き、現在も常に視聴者数トップを走り続けている。が、そんな『CSI』に肉薄しているのが、この秋から始まったABCの新ドラマ『Desperate House Wives』(直訳すると『必死な主婦たち』)。10月に始まった、この「アメリカ郊外に住むハウスワイフたちのあんな性向、こんな性行……」をテーマにしたドラマは、これまでに平均で2000万人の視聴者を獲得。「ハウスワイフたちは、死に掛けていたABCの救世主」といった評価を受けている。
人気ドラマ『Sex and The City』のファンをがっちりキャッチ!!
この『Desperate House Wives』は、様々なバックボーンを持ちながらも、現在はハウスワイフとして郊外に暮らす4人の女性の人間関係を軸に展開される。スーザン(Teri Hatcher)は、愛に飢えるバツ一のシングル・マザー。元キャリアウーマンのリネット(Felicity Huffman)は、主婦としての退屈すぎる日々にうんざし、“働きたいパワー”を持て余し気味。Marcia Cross演じるブレー・ヴァンは、“超”がつくほどに完璧なハウスワイフ。だが、その強迫観念にも近い家事への執着は、家族を辟易とさせている(だが実際のMarcia Crossは、家事が大の苦手とのこと。最近はファンの人たちが、彼女のことまでも家事上手だと思って見てくるので、その視線に少々戸惑い気味だとか)。そして、リッチな夫を持ちオープンカーを乗り回す元モデルのガブリエラ(Eva Longoria)は、若い庭師と秘密の関係に……と、それぞれ悩みや問題を抱えたまま“ご近所付き合い”を続けている。
この“個性的な4人の女性の友情”と言って思い出されるのが『SEX AND THE CITY』。放送日時も、かつての『SEX AND THE CITY』のそれと同じということもあり、客層がかぶっている感は強い。
だが『Desperate House Wives』のプロデューサーは、このドラマを「アンチ『SEX AND THE CITY』」と語っている。というのも、『Desperate House Wives』に登場する女性たちは、みな表面的には楽しく・仲良く・美しく友情関係を築いているが、実はお互い抱えきれないほどの秘密を隠し持っているからだ。とは言え、本家とアンチは、コインの裏と表。かつてNYに暮らすスタイリッシュな女性の生き方に共感していた、あるいは彼女たちを通じて未知の世界を垣間見ていた女性たちは今、郊外で暮らす主婦たちの姿を通じて未知の世界を知ったり、あるいは共感しているのかもしれない。
思わず調子に乗りすぎ、問題に発展!? でも、宣伝効果は上々
と、この秋のTVドラマ界最大のトピックとなっている『Desperate House Wives』だが、最近は別のカタチで物議をかもしている。原因は、ABCがアメリカン・フットボール(NFL)中継の冒頭部分で流した『Desperate House Wives』のパロディ番宣。このフットボール中継の際に流れた2~3分の映像では、『Desperate House Wives』のキャラクターであるエディ(Nicollette Sheridan)が、試合直前のロッカールームにバスタオルひとつというあられもない姿で現れ、実際のスター選手を、「(アメフトの)ゲームなんかより、わたしとのゲームを楽しみましょうよ」と誘惑する。さらにそのシーンをテレビで見ていたメインキャラクターたちが、「まあ、彼女ったらなんて、必死なのかしら」と嘲笑する…というもの。
ドラマのタイトルと、自分たちの行為をひっかけたやや自嘲気味の番宣だったのだが、ところがこのシーンが、家族でアメフト観戦を楽しもうとしていたアメリカの良識的ご家庭の大ひんしゅくを勝ってしまった。ABCには抗議の電話がひっきりなしに掛かり、翌日にはNFLサイドも「非常に不適切かつ不快なシーン」と怒りを露にするほど。思わぬ大反響にビビッたのか、はたまたこれも計算のうえか、いずれにしろABCはすぐに謝罪表明をした。
NFLは、先のスーパーボールのハーフタイムショウでジャネット・ジャクソンが“おっぱいポロリ”をかましたばかりということもあり、この手の事件には非常に過敏になっている模様。このときもすぐに遺憾の意と放送局に対する厳重注意を表明し、スーパーボールを放送したCBSには55万ドルという異例の高額罰金が課されだ。だが一部には「CBSは話題づくりのために意図的にやった」という声もある。
NFLの中継は、アメリカで最もコンスタントに高視聴率が稼げるコンテンツ。CBSもABCも、この放送枠を利用して番宣をしようと“必死”なのかもしれない。事実、この「選手誘惑シーン」さわぎがあった直後の『Desperate House Wives』は、2420万人という番組史上2番目の視聴者数を獲得。お叱りをうけたとはいえ、宣伝効果は上々だったと言えるかも。もちろんNFLだって、そんな放送局側のあざとい宣伝戦略を防ごうと“必死”。
アメリカのテレビ界には、“必死”があふれかえっている。
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