注目トピックス
守りに入ったハリウッド? 第85回アカデミー賞の結果を読む! (その2)
2013年3月1日
“やっぱり”と“またもや”の連続
各受賞結果から見えてくる裏事情とは?
守りに入ったハリウッド? 第85回アカデミー賞の結果を読む! (その1)からの続き
次に各主要部門の受賞結果を見ていきたいと思います。個人的に作品賞は第2期に突入したオバマ政権と米国史上最も偉大な大統領を重ね合わせるという意味で「リンカーン」を予想していたのですが、オスカー前哨戦を勝ち抜いてきた「アルゴ」に軍配が上がりました。ベン・アフレックが監督賞にノミネートすらされなかったことへの同情票が集まったのかもしれません。これがもし「リンカーン」だったら、ミシェル・オバマ大統領夫人が作品賞のプレゼンターを務めたわけですし、よりドラマチックにセレモニーを締めくくることが出来たでしょう。
その代わり・・・といいますか、主演男優賞は「リンカーン」で大統領を演じたダニエル・デイ・ルイス。現在のハリウッドでアカデミー賞に最も愛されている俳優の一人ですが、今回で実に3度目の受賞となりました。これは主演男優賞として史上最多記録になります。一方の主演女優賞は「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンス。今年の主演女優賞候補は全体的に小粒な感じが否めませんでしたが、近年躍進の目覚しいジェニファーの受賞はその中でも業界的に一番妥当な線だったと言えるでしょう。
候補者全員がオスカー受賞経験者という異例の事態となった助演男優賞は、「ジャンゴ 繋がれざる者」のクリストフ・ヴァルツ。前回と同じタランティーノ作品での受賞というのも珍しいといえば珍しいのですが、やはり主演男優賞と同じく“またか・・・”という印象も拭えず。助演女優賞は「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイでしたが、こちらは最も下馬評が高かったこともあって、”やっぱりね”という感じでありました。
恐らく最も意外だったのは「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のアン・リーの監督賞受賞でしょう。「ブロークバック・マウンテン」以来となる2度目の栄誉。しかし、これもまた消去法の結果みたいな感じがします。なにしろ他の候補といえば、既に2度獲っているスピルバーグ、ハリウッドで人望の薄いデヴィッド・O・ラッセル、まるっきりの新人ベン・ザイトリン、そして外国語映画で候補になった外国人のミヒャエル・ハネケ。その中で、まあ台湾出身の外国人とはいえアメリカ映画でノミネートされたリー監督が一番の安全牌として選ばれたという印象が強いわけです。
そんなこんなで、「愛、アムール」の外国語映画賞受賞を含めて、“やっぱり”と“またもや”の連続だった今年のアカデミー賞。それだけ選択肢が少なかったことの表れでもあるとは思うのですが、先ほど述べたセレモニーの華やかさや受賞結果のバランスの良さと併せてみると、なんとなく守りに入った現在のハリウッド業界というものを浮き彫りにしているようにも感じられます。
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各受賞結果から見えてくる裏事情とは?
守りに入ったハリウッド? 第85回アカデミー賞の結果を読む! (その1)からの続き
次に各主要部門の受賞結果を見ていきたいと思います。個人的に作品賞は第2期に突入したオバマ政権と米国史上最も偉大な大統領を重ね合わせるという意味で「リンカーン」を予想していたのですが、オスカー前哨戦を勝ち抜いてきた「アルゴ」に軍配が上がりました。ベン・アフレックが監督賞にノミネートすらされなかったことへの同情票が集まったのかもしれません。これがもし「リンカーン」だったら、ミシェル・オバマ大統領夫人が作品賞のプレゼンターを務めたわけですし、よりドラマチックにセレモニーを締めくくることが出来たでしょう。
その代わり・・・といいますか、主演男優賞は「リンカーン」で大統領を演じたダニエル・デイ・ルイス。現在のハリウッドでアカデミー賞に最も愛されている俳優の一人ですが、今回で実に3度目の受賞となりました。これは主演男優賞として史上最多記録になります。一方の主演女優賞は「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンス。今年の主演女優賞候補は全体的に小粒な感じが否めませんでしたが、近年躍進の目覚しいジェニファーの受賞はその中でも業界的に一番妥当な線だったと言えるでしょう。
候補者全員がオスカー受賞経験者という異例の事態となった助演男優賞は、「ジャンゴ 繋がれざる者」のクリストフ・ヴァルツ。前回と同じタランティーノ作品での受賞というのも珍しいといえば珍しいのですが、やはり主演男優賞と同じく“またか・・・”という印象も拭えず。助演女優賞は「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイでしたが、こちらは最も下馬評が高かったこともあって、”やっぱりね”という感じでありました。
恐らく最も意外だったのは「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」のアン・リーの監督賞受賞でしょう。「ブロークバック・マウンテン」以来となる2度目の栄誉。しかし、これもまた消去法の結果みたいな感じがします。なにしろ他の候補といえば、既に2度獲っているスピルバーグ、ハリウッドで人望の薄いデヴィッド・O・ラッセル、まるっきりの新人ベン・ザイトリン、そして外国語映画で候補になった外国人のミヒャエル・ハネケ。その中で、まあ台湾出身の外国人とはいえアメリカ映画でノミネートされたリー監督が一番の安全牌として選ばれたという印象が強いわけです。
そんなこんなで、「愛、アムール」の外国語映画賞受賞を含めて、“やっぱり”と“またもや”の連続だった今年のアカデミー賞。それだけ選択肢が少なかったことの表れでもあるとは思うのですが、先ほど述べたセレモニーの華やかさや受賞結果のバランスの良さと併せてみると、なんとなく守りに入った現在のハリウッド業界というものを浮き彫りにしているようにも感じられます。
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